第781話 ゲーアハルト討伐証明
「モニカ、すまない。ゲーアハルトは厄介な敵なので、ここで絶対に倒したという事を確認しておきたいんだ」
「それで、先程の水か?」
「あぁ、すまない。しかし今更だが、これも微妙だったな」
セオリツヒメのスキルで、憑依を解除しても、ゲーアハルトがそのままモニカの中へ戻ったら同じ話だからな。
「アレックスよ。乳女に聖水を出させれば良いのじゃ。聖水でダメージを負えば、奴なのじゃ」
「なるほど。ミオの言う通りかもしれないな」
「ま、待った! 私の聖水生成スキルは……聖水は人前で作る事が出来ないのだ! 別の方法にしようではないか」
怪しいな。
モニカなら、躊躇なく……というか頼まなくても勝手に聖水を作るのに。
「アレックスよ。どうやら、こやつはゲーアハルトのようじゃの」
「ど、どうしてそうなる! ミオ殿も、人前でアレを……せ、聖水を出すなどという変態行為は出来ないであろう!」
「……いや、当然我はやらぬが、お主は普段から普通にやっているのじゃ」
「なっ!? 何を言う! 私がそんな事をする訳がないっ! ……お、おい。どうして、皆でジト目になるんだ!? まるで私がそんな事を本当にしているみたいではないか!」
「みたい……ではなく、いつも平然としているのじゃ」
モニカの言動を見る限りは、モニカではない何か……な気がする。
だが嘘を吐いていたり、演技をしているようには見えないんだよな。
「えぇい。面倒なのじゃ! 乳女よ、これを見よっ!」
何を思ったのか、ミオが突然叫んだかと思うと、俺の後ろへやって来て……俺のズボンを下ろしたっ!?
「ミオっ!?」
「な……み、ミオ殿っ!? な、何という事を! な、何故そのようなモノを見せるのだっ!」
「ほれほれ。お主の好きなアレックスのアレなのじゃ。欲しいであろう?」
「そんな訳あるかっ! いきなりそんなものを女性に見せつけるなど、変態ではないかっ!」
「お主がそれを言うのは、どうかと思うのじゃ」
ミオがモニカに呆れながらも、俺のアレに手を伸ばしてきたので、とりあえず止める。
いや、マジで何をしているんだよ。
「ほぇー。初めて見たけど、大きいアル。私の腕くらいの長さアル」
「いや、白虎よ。これはまだ大きくなるのじゃ。そうじゃな、白虎の脚……は言い過ぎじゃが、まだまだこんなモノではないのじゃ」
「ミオ。流石にそれは大袈裟アル。そこまでいったら、人間族ではなく巨人族アル。ただ、ちょっと見てみたいアル」
「ふふふ、白虎も気になるか。シェイリー……青龍も玄武も、アレックスのは大好物なのじゃ。凄いのじゃ」
「青龍! 玄武! 懐かしいアル。会いたいアル」
「では、会いに行くのじゃ。アレックスの子種を飲むと、魔力が回復するのじゃ。沢山飲めば、一時的に離れられるかもしれぬのじゃ」
ミオと白虎がよくわからない事を言いながら、ジッと俺を見つめてくる。
いや、本気でそんな事をしている場合じゃないんだ。
ゲーアハルトの消滅を確認しないといけないんだって。
ザシャとシアーシャも近寄って来たが、しないぞっ! しないからなっ!
「アレックス殿! そんな事より、早くそれをしまうんだっ!」
「あ、すまない。そうだな」
「えぇっ!? 私はミオの言う事が本当か確認したいアル」
モニカが真顔で冷たい目を向けてくるので、慌ててズボンを上げ……いや、どうして白虎は溜息を吐くんだよ。
「しかし、ゲーアハルトを倒した事を確認する為にはどうすれば……」
「そうだ。私がエクストラスキルを……光魔法を使えれば、証明になるのではないか?」
「……確かに、その通りだな」
マジック・ナイトであるモニカは、光魔法を使う事が出来ない。
そのモニカが光魔法を使えたら、これ以上ない証明だろう。
「モニカ。エクストラスキルで光魔法を使えるようになったと言うが、どんな魔法が使えるんだ? 俺やステラが使う神聖魔法ではないんだよな?」
「うむ。エクストラスキルを授かった時の声は、古代魔法の光魔法と言っていた」
古代魔法は、エリーやモニカが使う、詠唱を要するタイプの魔法だな。
詳しい事は俺も知らないが、自身が持つ魔力を詠唱が意味する現象に変換するとかってエリーが言っていた気がする。
「では、いくぞ……≪ライト・アロー≫」
モニカの言葉に応じて、光の矢が飛んで行く。
「ふっ、これで証明になっただろう」
「あぁ。ゲーアハルトを倒し、モニカがエクストラスキルを授かったのは間違いなさそうだ」
「最初からそう言っていたのだがな」
「すまない。ただ、モニカの言動が普段と違い過ぎてな」
「いや、いつも通りではないか」
モニカが少し不機嫌そうにしているが……どこをどう見ても、モニカの言動が変なんだよ。
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