第116話 ご立腹のタバサさん
「タバサ、俺たちを呼んだか?」
「呼んだか? ……じゃ、ありませんよっ! 前回の連絡から約十日間も、どうして応答してくれなかったんですかっ! 何かあったのかと思って心配したじゃないですかっ!」
あー、タバサの通話魔法はこの小屋でしか話せないのに、手狭になったからと、ノーラが作ってくれた家に皆で移動してしまったから、呼ばれていたのに気付けなかったのか。
それはタバサに悪い事をしてしまったな。
とはいえ、通話魔法の場所を南の家に変更は出来ないだろうし、この小屋で過ごすには人数が増えすぎてしまった。
一先ず対策としては、誰かの人形にここで暮らしてもらい、タバサから連絡があったら、メイリン経由で教えてもらう……とかか?
どうすべきかと考えて居ると、
「で、アレックスさん。この数日間、どうしていたんですか? 連絡が取れないから、物資も送ってしませんでしたが」
「あぁ、それなら順調に開拓を行っているからな。実は、食料に関しては送ってもらわなくても大丈夫なくらい、こちらで耕した畑で賄えているんだ」
「えぇっ!? す、凄いですね。そちらへ行かれてから、まだ一か月程だというのに……流石はアレックスさんですね」
まぁ俺の力ではなくリディアの力なのだが、それを説明する前に、タバサが話を続ける。
「ところで、アレックスさん。開拓作業は非常に順調のようですが、一つお聞きしたい事があります。数日前、フィーネちゃんをそちらへお送りした際に、私からお願いさせていただいた事を覚えてらっしゃいますか?」
フィーネが来た時の事?
おそらくだが、フィーネが来たのは約二週間程前だ。
確か、ジョブを授かった直後の新米冒険者を送るから、よろしく頼む……っていう話だった気がする。
「その時、アレックスさんしか居られず、エリーさんとモニカさんは居られなかったのですが、私はフィーネちゃんに、モニカさんとの夜の営みを見つからないようにして欲しいとお伝えしました」
「……あ! そうだな。確かにそんな話をしていたな」
「はい。全裸で首輪だけをつけたお散歩プレイや、授乳プレイがしたければ、モニカさんとは好きにしてくださいと言いましたが、何故成人したてのフィーネちゃんを巻き込んだのですか!?」
「いや、流石にそこまでの事はしてない……って、モニカは脱がなくて良いよっ! 夜の散歩なんてしないぞっ!」
タバサの言葉を聞いて早速モニカが服を脱ぎだしたので、全力で止めつつ、フィーネが来た時に事を思い出す。
確か、初対面にもかかわらず、俺のアレの匂いが気になると言い出し、フィーネが俺の股間に顔を埋めてきたんだ。
今なら、フィーネがサキュバスの血を引いているから……というので納得なのだが、おそらくタバサはそれを知らない。
というか、ここに居るエリーやモニカですら知らない事だ。
「アレックスさん! フィーネちゃんとは合意の上ですか? 私は、アレックスさんとモニカさんが、二人してフィーネちゃんに無理矢理教え込んだのではないかと思っているのですが」
合意の上……って、俺は合意なんてしてないぞっ!
朝起きたら、フィーネが俺の上に乗っていて……むしろ俺が襲われたんだからなっ!?
とはいえ、フィーネは未だ十三歳だし、サキュバスの事を知らなければ、俺が襲ったと思われても仕方ないだろう。
一先ず、フィーネを守ると決めたのだから、サキュバスの事は絶対に隠し通さなければならない。
例え、俺が何と思われようとも。
「……すまない。無理矢理フィーネを襲った訳ではないのだが、俺とモニカがしている所を見られたのは事実だ」
「なるほど。フィーネちゃんは好奇心旺盛な年頃ですから、興味を持ってしまったという訳ですか。ところで避妊は……って、そのようなアイテムを送っていませんね。今後は、定期便で避妊に必要なアイテムを送るように致します」
「わかった」
「今更そういう事をするな……とは言いませんが、今後はお送りする物をちゃんと使用してくださいね」
それから、定期便の中身について、小麦粉の代わりに調味料や衣類を増やして欲しいという話を伝え、タバサとの会話が終了する。
「うーん。避妊って言われても、私はアレックスの子供を産みたいんだけど」
「私だって、ご主人様と子が欲しいです。あと、先程の全裸お散歩プレイ……ご主人様。今晩いかがですか?」
「フィーネは、よく分かんないけど、アレックス様のが欲しいなー」
……うん。エリーやモニカはちゃんと理解した上だから良いとして、やはりフィーネにそういう知識を教えないとダメだよな。
まぁ教えた所で、サキュバスの本能的な所があるから、どうなるか分からないけど。
とりあえず、モニカの戯言をスルーしつつ、改めてエリーにフィーネへの教育をお願いする事にした。
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