第115話 綺麗になるシミ付きパンツ
「ニナ、ありがとう。まさか、こんなに早く完成するとは思わなかったよ」
「えへへ……頑張っちゃった」
東の家でエリーたちと色々している間に、ニナが鉄器の作成を終わらせてくれていて、申し訳ない気持ちになりつつも、一先ず皆で昼食に。
ちなみに、もう一方の地下洞窟探索組――サクラとユーディットも戻って来ている。
昼食を食べながら、午後からリザードマンの村へ鉄器を運ぶ話をしていて、
「ところでアレックス。東の家まではゴレイムに運んでもらうとして、そこから先はどうするの? 大きなゴレイムは、トンネルを通れないと思うんだけど」
エリーから思わぬ言葉が出てきた。
しかし、よく考えたら当然か。
ゴレイムは俺の倍くらいの背丈があるし、トンネルをそんな大きさに拡張するのは無理だろう。
「とりあえず、何回かに分けて俺が荷車で運ぶしかないだろう」
「お待ち下さい。マスター、それなら私が運びます」
「ソフィ? 何を言っているんだ?」
「マスター、私は魔導少女です。見た目はひ弱な少女ですが、パワータイプのゴレイム程ではないものの、それなりの力を出力可能です」
「そ、そうなのか?」
「はい。ただ、いつもの活動分に加えて、別途魔力の補給をお願いしたいですが」
ソフィの言葉を聞いた途端、サクラとフィーネが俺を見つめてくる。
あー、うん。まぁ仕方ないか。
エリーたちは、午前中に東の家でしたしな。
とりあえず了承すると、
「では、以前より作っておりました、自動洗濯装置の設置後に出発とさせてください」
「おぉ、あの装置が完成したのか!」
「はい。後ほど皆様にも説明致しますが、衣類を入れて起動させれば、そのまま放置しているだけで、洗濯、脱水、乾燥まで行います」
サラッと凄い事を言ってきた。
洗濯については皆が行う事だし、先ずは皆でソフィの装置の使い方を聞く為、大きな装置と共に最初の小屋の側にある風呂の近くへ。
ここは、ソフィが作ってくれた装置のおかげで、常に綺麗なお湯が張られている。
その近くに、運んできた自動洗濯装置をソフィが置き、
「ニナ様。ここに拳大の小さな穴を開けていただけないでしょうか。外の堀へと繋がるように」
「いいよー。任せてー」
排水用の穴とやらが作られる。
その穴と、風呂へ何かの管を繋げ、
「マスター、設置完了致しました。実際に動かして説明したいのですが、何か汚れた服などはございますか?」
「それなら私の下着を。朝から色々あって、シミが……」
モニカが履いているパンツを脱いでソフィに渡す。
……ソフィが一瞬嫌そうな顔をしたけど、流石にこれは断って良いぞ。
だが、
「それでは、この変な白い物が付着したモニカ様の下着を、綺麗に洗濯致します」
ソフィがモニカの脱ぎたて縞々パンツを広げ、皆に汚れた部分を見せる……って、さっき俺がモニカの中に出した物かよっ!
それが時間と共に漏れてきてパンツに……という事は、実はエリーたちも同じ状態なのか!?
こそっとモニカを除いた朝の三人を見てみると、エリーは俺から顔を逸らし、リディアはニコニコと笑顔を崩さず、メイリンは顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。
……うん。触れない方が良さそうだ。
ソフィがモニカのパンツを大きな箱型の装置に入れ、スイッチを押すと、
「なるほど。風呂のお湯を取り込んで、回転させて洗うのか」
「はい。中の水は何度も入れ替えますので、汚れが他の衣類に付く事もありません」
最初に説明してくれた通り、洗濯が始まり、そのまま脱水と乾燥が行われた。
「ご主人様! パンツが……パンツが綺麗な上に、暖かいです」
「そ、そうか。良かったな」
「実際に触って確認してください。ほらほら」
「押し付けるなっ! しかも顔にっ! ……まぁ確かに、太陽の下で干したみたいに暖かいな」
押しつけられたパンツをモニカに突き返すと、その場で履こうとしたので、とりあえず小屋の中で着替えるように伝える。
……今更なのは分かっているが、ユーディットやレイが目を丸くしているからな。
一先ず、ソフィのおかげで洗濯の労力が減るので、改めて感謝の気持ちを伝えていると、モニカが戻って来た。
「ご主人様。小屋で通話魔法を使っていると思われるタバサ殿が、ご主人様とエリー殿に、私とフィーネ殿を呼んでいますが」
「え? 私?」
「フィーネもー?」
転送装置で来たメンバー全員と会話がしたいと言う事か?
何の用事だろうかと思いつつ、四人で小屋へ移動した。
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