挿話47 アレが欲しい薬師のレイ

 あてがってもろた調合室で、ユーディットはんが作った聖水を使って薬を調合していると、


「じゃあ、俺は今作ってくれた分を、ゴレイムと一緒に東の家へ運んでおくよ」


 アレックスはんの声が聞こえて来た。

 昨日のリザードマンの村と、何やら取引を始めるらしく、朝からニナはんを中心に慌ただしくバタバタしている。

 ニナはんは、えぇなぁ……朝からずっとアレックスはんと一緒やん。

 でも、あんな小柄で子供にしか見えへんニナはんやけど、アレックスはんと一緒にお風呂へ入っていたし、女にしてもらってるんやろ?

 それに比べて、おそらくニナはんの倍近く生きているのに、ウチは未だ乙女。

 昨晩はお風呂の後、皆で同じ部屋で寝るから、こっそりアレックスはんの所へ夜這いに行く事も出来んかったし、このムラムラしている想いはどうしたらえぇねん!


「せや! アレックスはんのお手伝いっちゅー事にして、ウチも一緒に行ったらえぇんや!」


 早速行こうと思って部屋を飛び出したら……既にエリーはんとモニカはん、リディアはんまで居た。

 くっ……流石に三人も居るのに手伝うっていうのはおかしいか。

 けど、エリーはんとモニカはんはともかく、リディアはんは、朝食の直後にアレックスはんとソフィはんの三人でどこかへ行っていた。

 しかも、戻って来た時、三人から昨日のお風呂で嗅いだ、生臭い変な匂いが微かにしててん。

 もしかして三人で……いや、朝からはせーへんか。流石に考えすぎやな。


「あ、しまった! 考え事してたら、調合失敗してもーたっ!」


 貴重な聖水を……ウチとした事が。

 えっと、ユーディットはんは地下の洞窟に行っているから、聖水が足りなくなったら、フィーネはんに言えば貰える……やったかな?

 フィーネはんが使っている、魔物除け作りの部屋に言って、聖水が欲しい旨を伝えると、


「わかったー。えっとねー、これくらいで良いー?」

「え? こんなにあるん!? 十分。十分やわ」


 回復薬が何個作れるねん! っていうくらいの聖水を貰ってしまった。

 ついでなので、ちょっと気になる事も聞いてみる。


「フィーネはんは、その、アレックスはんと恋人関係にあるんやんな?」

「うん! フィーネはアレックス様のお嫁さんなのー!」

「さ、さよか。で、一緒にお風呂へ入っているっていう事は、その……こ、子作りもしているんやんな?」

「子作り? 子作りって?」


 あれ? とぼけている様子はないし、フィーネはんはアレックスはんとはしてないんかな?

 そういえば、お風呂を覗いた時も、フィーネはんとノーラはんは姿が見えへんかった気がするし。


「えーっと、アレックスはんと一緒に気持ち良い事をしたり……」

「あ、それなら沢山してるよー! あのね、アレックス様のをここに入れたり出したりすると、すっごく気持ち良いんだよー!」

「…………フィーネはんって、何歳なん?」

「フィーネは、十三歳だよー!」


 な、何やて!?

 子作りが何か分かってないのに、でもその行為はしている……って、大丈夫なんか!?


「あのね、凄いんだよー。頭の中が真っ白になってね、ふわふわーってなるのー!」

「そ、そーなんや」

「いつも気持ち良いんだけど、昨日は特に凄かったかな」

「き、昨日な……そ、そうか」

「そうだ! レイちゃんも一緒にしようよー!」


 えぇっ!? こない簡単に混ざれるもんなんか!?

 世界は広いな。ウチの故郷とは大違いや。


「せ、せやな。じゃあ、せっかく誘ってもらった訳やし、今度は混ぜてもらおかな」

「うんっ!」


 ……っしゃーっ!

 これでウチも生娘卒業やっ!

 あとは、精力剤を作る為にマンドラゴラを……って、リディアはんは、どこかへ行ってもーたから、先ずはマンドラゴラ以外の材料の準備をして、あと聖水の分も……お、何やら騒がしいけど、戻ってきたんか!


「リディアはん。悪いんやけど、またマンドラゴラをくれへんやろか」

「え? またですか? 昨日差し上げたばかりですけど、一体何に使うんですか?」

「いやー、その言いにくいんやけど、昨日アレックスはんに飲ませた精力剤を、もう一回作りたいなーって」

「精力剤!? 昨日アレックスさんに飲ませた……って、じゃあ、あの獣のように、私たちを求めてくださったのは、レイさんの薬のおかげ……作りましょう! マンドラゴラは何ダース要りますか? 何でしたら、マンドラゴラよりも効力の高い薬草をお渡ししますよ」

「えーっと、リディアはん? 急にどないしたんや?」

「あ、いえ……さっきまでアレックスさんにしてもらっていたんですけど、昨日みたいに激しくして欲しいって言ったのに……その、激しいのは激しいんですが、昨晩の私たちが果てても、お構いなしに続けるような無理矢理さは無くて……」


 えーっと、リディアはん?

 アレックスはんとしてた? こんな時間から? というか無理矢理されたい……って、リディアはんは、もしかして変態なんか!?

 それともアレックスはんとし続けて、変態になってもーたとか?

 ……とりあえず、マンドラゴラを十二本も貰った。

 さて、精力剤を作ろか。

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