第114話 仕事が早いニナ
「お兄さん。そろそろストックしていた鉄が無くなりそうだよー」
「わかった。じゃあ、地下洞窟での鉄採取組パーティの片方に一旦帰って来てもらおう」
「はーい!」
リザードマンの村との交易のため、朝からニナに鉄の剣や盾を作ってもらっているのだが、鍛冶師のスキルがあるので、とにかく製造が早い。
現在ニナの人形が三体居るのだが、一体目と二体目の人形が、二手に別れた地下洞窟組にそれぞれ入り、三体目の人形がニナと共に鉄器の製造を行ってくれている。
メイリン経由でエリーが居る方のパーティに戻って来てもらうように伝え、暫くすると、
「ただいまー。洞窟に入って私たちと、サクラさんパーティとで左右に分かれて採取したんだけど、こっちはそこそこの量が採れたわよ」
エリー、モニカ、一体目のニナの人形ニアのパーティが戻って来た。
ちなみに、もう一方のパーティはサクラ、ユーディット、二体目のニナの人形というパーティなのだが、それはさておき、ニアが早速ストレージスキルを使って、鉄を出してくれる。
「おー、凄いな。これだけあれば、かなりの数が作れるんじゃないか?」
「そうだねー。でも、たぶんこの半分くらいで、依頼された量は作れるよ」
「え!? もう? 凄いな」
「この子が手伝ってくれているし、ニナも沢山作れて楽しいからねー」
「そうか、ありがとうな。じゃあ、俺は今作ってくれた分を、ゴレイムと一緒に東の家へ運んでおくよ」
事前にノーラが作ってくれていた荷車へ、剣や盾、鍋といった鉄器を積み込み、ゴレイムに引いてもらう。
俺はゴレイムが通る道を指示したり、近くに居る人へ離れるように呼び掛けるだけの簡単な作業しかしないのだが、エリーとモニカが手伝うと言ってくる。
「いや、ゴレイムが引いてくれるし、特に手伝ってもらう程の事でもないんだが」
「アレックスはゴレイムの前に居るんでしょ? 後ろが見えないじゃない。万が一、荷物が落ちた時の為に、私が後ろを見ておいてあげるわよ」
「わ、私は横を。曲がる時に、落ちたりしたら大変ですから」
後ろはともかく、横は不要だろうと指摘したのだが……結局俺が押し負け、三人で行く事に。
家を出て東に向かっていると、リディアが近寄って来た。
「……アレックスさん。私もお手伝いします」
「リディア? いや、見ての通り大した作業じゃないんだが」
「お手伝いします」
なんだ? どうして皆、強引について来るんだ?
途中でリディアも加わり、東エリアの人形たちの住居へ。
「こ、このメンバーは……妾も! 妾も参ります!」
「メンバー? メイリン何の話だ?」
「旦那様。妾も旦那様のお傍に居たいのです」
何故かメイリンも加わり、結局五人で東の家へ。
無事に到着したのだが、メイリンは荷車に乗って運んでもらって……って、えっと何しに来たんだっけ?
もう一つ、小型の荷車をノーラが作ってくれていたので、この荷車は東の家の横へ置いておいて、ニナの所へ戻ろうとしたのだが、
「アレックス。沢山歩いたから疲れちゃった。ちょっとだけ休憩していきましょう」
「ご主人様。リディア殿も居られますし、お風呂で汗を流しましょう」
「じゃあ、私はお風呂へお湯を入れて来ますね」
エリー、モニカ、リディアが唐突に連携して、俺の手を引いて家の中へ入ろうとする。
「旦那様。その……昨日の夜が凄すぎて、身体が火照ってしまっているのです。どうか昨日のように、熱烈な抱擁を」
「き、昨日の事か。あ、あれはちょっと色々あって、緊急事態だったというか、俺も少しおかしかったというか……」
「さぁ旦那様。妾たちを愛してくださいませ」
エリーとモニカに手を引かれ、後ろからメイリンに背中を押され……いや、本気で抵抗すれば勝てるけど、そういう訳にもいかず、
「……頑張ってくれているニナを待たせる訳にはいかないから、それぞれ一回ずつだからな?」
「はいっ! あの、昨日みたいに、は、激しいのをお願いします」
昨日の風呂と同じ事を……うん。よく考えたら、昨日みたいに精力剤を飲んでいなくても、四人に一回ずつでは収まらなかった。
その結果、
「じゃあ、ニナの所へ戻るか。それぞれ落ちないようにな」
「メイリンさんだけズルい。私だって体力は無いのに」
「その割に、エリーさんはモニカさんに次いで、沢山出してもらっていたじゃないですか」
エリーとリディアがゴレイムの右腕と左腕に座り、一番体力の無いメイリンを俺がおんぶして歩いて行く事に。
「旦那様の背中……嬉しいです」
「あの、ご主人様。私だけ自分で歩けって、酷くないでしょうか。いや、確かに気持ち良過ぎてお漏らししてしまいましたが、あれは聖水ですし……ご主人様? ご主人様ーっ!」
予定よりもかなり遅れてニナの所へと戻ると、既にリザードマンたちと決めた分量が完成していた。
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