第637話 機織り士のキアラ
「そ、そろそろ終わりで良い……よな?」
キアラたちがやってきて、分身を使う事になってしまったものの、キアラたち三人が気を失ってしまったので分身を解除すると、
「ふふ……アレックスよ。中々良かったのじゃ。まさかアレックスに、あのような趣味があるとは知らなかったのじゃ」
「……以外、だった。アレックス、いつもより凄かった」
「アレックス。私も、服……買いに行きたい」
ミオ、レヴィア、ザシャが嬉しそうに顔を綻ばせる。
「いや、俺としてはいつも通りだと思うんだが」
「そんな事はなかったのじゃ。キアラが自分で作った衣装を着たままして欲しいと言った辺りから、いつもより激しかったのじゃ」
「……アレックスが自分で気付いていないだけ。凄かった。だから、みんな気絶してる」
ミオとレヴィアに言われてしまったが、起きているのは二人に加えてザシャとプルムだけ。
いや、結衣とユーリも居るか。
うん。やっぱりいつも通りなんだが……レヴィアたちが違うというから、違ったのかもしれない。
全く自覚は無いが。
「キアラが着ていた、自分で作ったという純白のドレス……アレックスは肌の露出が少ない方が良いのかもしれないのじゃ」
「……レヴィアたんは全裸派だけど、服を着たら、もっと激しくしてもらえるなら、着る」
「ドレスは何処で売っているんだろ。キアラみたいに、肌は隠しつつも身体のラインはしっかり映える方が良いのか? くっ……キアラの機織り士というジョブが羨ましいっ!」
えっと、三人とも何の話をしているんだ?
まぁ確かに全裸で居られるよりも、チラリズムが……げふんげふん。
「アレックスさん。いっぱい飲んだから、プルム分裂しちゃった。キアラちゃんたちに預けても良いー?」
「あ、あぁ。任せるよ。とりあえず、キアラたちを起こそうか」
ユーリにも手伝ってもらい、神聖魔法で気絶している者たちを起こすと、
「アレックス様! キアラさんのドレスを見て思い出したんですけど、六合様の教会でも、祭服を着ていた司祭さんに激しかったですよね? 白い服がお好きなんですか?」
「グレイス。そんな事は無いと思うんだが……」
「……やっぱり。レヴィアたん、白い服欲しい!」
いやあの、牛じゃないんだから、色を見て興奮したりしないぞ?
本当に。本当だってば。
「アレックス様。私が作ったウエディングドレスでしていただけるなんて……天にも昇るような気持ちです」
「キアラ、いいなー。マントも差し上げたんだよね?」
「アレックス様、また是非村へお越しください!」
キアラたち三人組がお礼を言って、プルムの分裂体を連れ、プルムにジャンプ台になってもらって対面の岸へ帰って行った。
それから、レヴィアに船を引いてもらい、ララムバ村へ到着する。
「とりあえず、俺とユーリだけで行って来るよ。すぐ戻るから、皆は船で待っていてくれ……って、どうして全員ついて来ようとするんだ?」
「だって、アレックス様。温泉ですよね? もう、この後どうなるか分かりますよ。という訳で、私も行きます!」
「うぅ。流石に温泉は私は無理ですね。残念ですが、先程キアラさんたちが来た時に沢山したので、河で待っています」
グレイスの言葉に皆が頷き、ラヴィニアを除いて全員ついて来た。
この後どうなるか……って、ニースを連れて西の大陸へ出発するだけなんだが。
不思議に思いながら船を降り、グレイスが空間収納に船を格納した後、そのままララムバ村へ行くと……温泉施設が出来たというだけあって、大きな建物がある。
いや、違うな。建物というか、大きな屋根と外から中が覗けないようにするための塀か。
だが、それにしても随分と広い範囲まで塀があるな……と思っていると、ニースがやって来て、抱きついてくる。
「パパー! 見てー! 遂に完成したの!」
「凄いな、ニース。僅か数日でこんな物を作る事が出来たのか」
「……うーん。いろいろあって、計画通りではないんだけどね。まぁ結果的に良かったんだけど」
あれ? 何故かニースの歯切れが悪いな。
どうしたのかと思っていたら、
「パパー。ちょっとついて来てー」
ニースに声を掛けられ、ついて行く事にしたのだが……温泉施設から、どんどん離れて行ってしまった。
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