第843話 マージャの街で支部の討伐完了
助けたドワーフの少女に聞くと、この牢に他のドワーフは居ないらしい。
そうは言っても、元は何人もドワーフの女性が捕らえられていたそうで、何処へ連れて行かれたのかは分からないそうだ。
ひとまず、このドワーフの少女を連れて地上へ戻り、フョークラや若手騎士たちの元へ戻る。
「すまない。待たせたな。一人、無事に保護する事が出来た」
「お疲れ様でーす! 流石はアレックス様ですー! ……まぁアレックス様とオティーリエさんが一緒に行ったので、何の心配もしておりませんでしたが」
フョークラと話していると、若い女性騎士が俺の傍へとやってきた。
「さ、流石はアレックス殿です。こ、こんな短時間で、メリナ商会を……っ! じ、事後処理は、我々にお任せくだ……さい」
「あぁ、よろしく頼むよ。昨日の街では、商会の建物の中に顧客リストがあったので、それを探して欲しい。それを元にして、既に何処かへ連れて行かれてしまった者たちを助け出して欲しいんだ」
「しょ、承知致しました! そ、その任務が完了した暁には、是非……ご、ご褒美を賜りたくっ! ……はっ! い、いえ何でもありません!」
何だろうか。女性騎士の顔がずっと紅いし、何かモジモジしているし、様子がおかしいのだが。
もしかして、フョークラが何か飲ませたのかと思い、こっそり聞いてみる。
「……フョークラ。この女性に何か薬や毒を飲ませたのか?」
「え? まさか。そんな事しないよー?」
「だが、何か様子がおかしいのだが」
「あー、もしかしたら、アレックス様のアレを嗅いだからかも」
「……どういう事だ?」
確かに、ここへ来るまでの間にいろいろあったけど、結衣が頑張ってくれていたし、今は分身も出していないのだが。
「いやー、アレックス様のアレに凄い魔力が含まれているから、薬の材料として使ったら凄い効果が出るんじゃないかなーって思ったんだよねー。で、あの女性がアレックスさんのアレに興味を示していたので、容器に保管していたものをあげたんだー」
「……って、おい。何をしているんだよ」
「先程の搾りたてだし、まだ新鮮だと思うんだけど、匂いを嗅いだだけで止めてしまったから、あの女性はきっと中途半端に発情しているんじゃないかなー?」
レイといい、フョークラといい、薬を作る者はどうしてあんな物を保存するんだ。
ちなみに、作った薬を倒れている男たちに飲ませた所、軒並み吐き出したらしいが、まぁそれはそうだろうな。
ひとまず、魅了スキルが発動してしまった時のような事はならなかったので、事後処理は任せる事にした。
「では、俺たちはメリナ商会の本部へ行くよ」
「アレックス様。この度は本当にありがとうございました。あの、お礼と言ってはなんですが、良ければ私の家で食事でも……」
「いや、先を急ぐから。あと、助け出したドワーフの少女は、俺たちで責任持って国へ送り届けるよ」
「うぅ……その、本部を潰した暁には、是非またこの街へ寄ってくださいね? 絶対ですよ!?」
先程の女性騎士が抱きついてくるので、オティーリエにやんわりと引き剥がしてもらい、ドワーフの少女を馬車に連れ帰る。
俺たちがドワーフの国から依頼を受けて助けに来た事と、海で船が待っている事を伝え、
「……って、昨日助けたドワーフたちを連れ帰ったから、今は船がいないんだった」
「そうなんだー。じゃあ、何処かで待って居れば良いのかな?」
「それはそうなんだが、流石に一人で待たせるのも……君さえ良ければ、一緒に来てもらった方が安全な気もするんだが」
「助けてもらったし、もちろん断る理由はないよー。えっと、何処へ行くの?」
「ターナの街という所だ。君を攫ったメリナ商会の本部があるらしい」
「あ、もしかして、あの崩壊していた建物みたいに、本部も潰しちゃうの? いいねー! 行こう行こう! かなり長い間、穴掘りをさせてもらえなかったし、ウチも物理的に潰すのを手伝うよー!」
助けた少女は、相当ストレスというか恨みが溜まっているようで、自身もメリナ商会潰しに加わりたいと……ひとまず、危険な事は避けてもらい、安全になったら参加かな。
昨日の遅れを取り戻すべく、街の人たちに道を聞き、ターナの街へ急ぐ事にした。
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