第587話 やらかしアレックス

「アレックスさん! 今は、どういう状況なのですか? メイリンさん経由で、ユーリちゃんから第一魔族領に居ると聞いているのですが」

「いや、その通りだ。モニカの所へ行く為に、天后のスキルで転移してもらったんだが……そこに大きな黒い雲があってな。一先ずレヴィアに確認してもらったら、当たりだったんだ」

「そ、そうですか」


 逢瀬スキルでリディアの許へ意識を飛ばし、現状を説明する。

 と言っても、既にユーリから聞いているようなので、それ以上の情報はないのだが。


「今晩は、第一魔族領にあった小さな村に泊めてもらい、明日の朝に玄武を救出するつもりだ」

「なるほど。分かりました……では、明日は忙しくなりそうなんですね?」

「まぁそうなあるな。まだ何とも言えないが、玄武が捕らえられている場所は、かなり広そうだったしな」

「そういう事なら、今日はしっかり愛してくださいね。アレックスさん」


 いや、どうしてそうなるんだ。

 とはいえ、リディアの様子で俺が来ている事が分かったらしく、サマンサやチェルシーを始めとした、アマゾネスの女性たちが集まって来ている。

 何というか、無言の圧が凄いのだが。

 ……仕方ないか。


「≪分身≫」


 結局、いつものように分身スキルを使ったところで、逢瀬スキルでは視界に映って居なかった、女性たちの姿が見えた。


「アレックス来てたんだ。レヴィアたんも混ぜて」

「我も混ぜてもらうのじゃ」

「アレックスさん、プルムもー!」


 レヴィアにミオに、プルム……という事は、当然ラヴィニアも戻ってきているよな?


「良かった。レヴィアたちは、あの灯台で待っているのかと思っていたよ」

「待つつもりだった……というか、暫くレヴィアたんが動けなかったから、あのまま灯台に居た。けど、上手く雲の中に入ったのが見えたし、動けるようになったのと暗くなったから船に戻ったら、転移してた」

「いや、それで構わない。ユーリが俺と一緒に居るから、レヴィアたちとは連絡が取れないし、大丈夫かと心配していたんだ」

「ん……また明日、ユーリからの連絡で迎えに行く。レヴィアたんたちの怒りを、あの風の魔族にぶつけてきて」

「あぁ、任せろ……って、レヴィア!?」

「今ので情報交換は終わり。次は、レヴィアたんへのご褒美。レヴィアたん、本気で魔法頑張った」


 あー、そういえば、黒い雲を砲撃した際にそんな話をしていたな。

 約束だから仕方ないか。


「わかった。とりあえず、分身たちを本気モードにしておくよ」

「ん……了解。あと、アレックスの本体でちゃんとしてもらう。だから、無事に戻って来て」

「そうだな。約束しよう」


 レヴィアなりのエールを貰い……逢瀬スキルの分身はそのままに、意識を第一魔族領にある俺の身体へ戻す事に。


「~~~~っ!」

「しゅ、しゅごい……アレックス様ぁ! ら、らめれすぅ」

「こ、これが子作り……す、凄い。私たちも早く大人になって、やってみたいなー」


 ……って、しまったぁぁぁっ!

 逢瀬スキルで分身を使ったら、本体でも分身するんだった!

 しかも、本気モード状態で……オリヴィアが気絶しており、クロエとシャーロットが物凄く激しく動いている。

 更に、オリヴィアたちの母親に……だ、誰だ!? 参加こそしていないものの、物凄く幼い子供たちが見ているんだが。


「ねぇねぇ、私たちも混ぜてもらおうよー」

「ダメだよー。だって、私たちは未だ子供だもん。子供が作れる身体になるまでは見学だけって、お母さんに言われてるでしょー」

「そうだけどー……シャーロットちゃんとか、すっごく気持ちよさそうだよー? 私たちと一歳しか違わないのにー」


 あー、クロエとシャーロットがオリヴィアのを見学していたように、この野菜村の女の子たちが見学に来ているのか。

 ……いや、良いのか!? いやまぁ、この村の文化というか、風習だと言われてしまったら、俺は何も言えないのだが。

 実際、村全体がそういう考え方の様だし、この子供たちの親がここへ来るように言っているみたいだし。

 改めて考えると、とんでもない事なのだが、村の状況的に仕方ないのかもしれない。

 とりあえず、分身たちが見学の子供の所へ行かないようにと、結衣がかなり頑張ってくれていたようだ。

 レヴィアには申し訳ないが、子供たちを守る為、分身の本気モードは解除しておく事にした。

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