第768話 白虎の救出方法
「≪属性付与≫……おぉ、この聖水の品質の高さ……素晴らしい」
「は、ははは。えっと、俺の剣に聖属性を付与してくださってありがとうございます」
イベール国の王女が自ら錬金魔法を使って、俺の剣にモニカの聖水を付与してくれた。
これによって、剣に都度聖水をかけなくても良くなり、かつこれまで同様に聖水をかける事によって、更に効果を高める事が出来るようになるそうだ。
「アレックスよ。どうだろうか」
「全く違和感がありません。流石です」
「はっはっは、そうであろう。私の父は優れた鍛冶師であるからな。私も王女であるものの、その血を受け継いでいるからな」
王女から受け取った剣を軽く振ってみたが、剣のバランスなどが悪くなっている訳でもなく、使い勝手には一切影響を与えずに、聖属性の付与だけしてくれたらしい。
お世辞でも何でもなく、本当に良い仕事をしてくれた。
「さて……その剣自体が聖属性を帯びている訳だし、毎回聖水を節約出来るであろう。……という訳で相談なのだが、この聖水を少しで良いから分けてもらえないだろうか」
「え!? えーっとですね……」
「いや、これ程の高貴な聖水だ。非常に貴重だというのはわかっている。しかし、これほどの聖水を前にしてしまうと、ドワーフの血が疼いて仕方がないのだ」
「……そ、そうまで仰るなら、どうぞ」
「おぉ、すまない。感謝する。お主たちとは、是非とも有効な関係を築かせてもらいたいな」
いやあの、品質の良い聖水だという事はともかく、高貴で貴重かと言われたら……うん。とりあえず、モニカが余計なボロを出す前に、王女の関係者から遠ざけようか。
「ご主人様、こちらでしたが。レミ殿のお陰で大量の聖す……」
「モニカ。聖属性は王女様に付与していただいたから、ひとまず戻ろうか」
「え? ですが、他にも使い道が……」
「分かっている。分かっているが、戻ろう……それでは、失礼します」
王女たちの前からモニカを連れて、逃げるようにして去ると……これからどうすべきかを考える。
この聖属性は、あくまで対レイスの為の準備だ。
肝心の白虎をどうすれば良いかは検討もついていないし、魔族領を支配する魔族に至っては、その姿さえも確認出来ていない。
とりあえず、白虎を操っており、火の攻撃を放つという事まではわかっているのだが。
「モニカ。白虎はどうすれば良いと思う?」
「そうですね。グレイス殿が見つけた文献によると、操られているという事ですから、状態異常のようなものかと思われます。ですので、状態回復を治す事が出来れば良いのではないのかと」
「という事は、ステラが適任だが……流石にエリーやユーディットたちの傍に居てもらいたいんだよな」
プリーストであるステラの高位の神聖魔法を使えば、状態異常系は回復可能だが、身重のエリーたちから暫く離れる事になるのは避けたいところだ。
だったら……と、エリーたちも一緒にこっちへ来てもらう事にすれば、ステラとは一緒に居られるが、そもそも妊婦を船で長距離を移動させるという時点で本末転倒だからな。
天使族のユーディットも妊娠しているし、俺と同じ中位の神聖魔法までしか使えない。
ユーリは、レミと同じでおそらく第二魔族領へ入る事が出来ないだろう。
となれば……どうすれば良いんだ?
「うーん。ステラ殿がダメであれば……そうだ! ご主人様、白虎を操っている者は火を使うのですよね?」
「一応、そのようだが……」
「でしたら、水の使い手はどうでしょうか。白虎に然程ダメージを与えず、かつ魔族には火の苦手とする水で攻撃する。良いと思いませんか?」
「なるほど。それならレヴィアにラヴィニア、プルムか……ラヴィニアは里帰り中だし、レヴィアが最適か?」
ただレヴィアの場合、強すぎて洞窟が崩壊しかねない気もする。
白虎も操られている白虎が致命傷を負っていまいそうだし、最悪大量の水で俺たちも危険な事になってしまうかもしれない。
俺一人なら水中呼吸スキルがあるが……いや、万が一水中でレイスが襲ってきたら、剣を振るうどころではないか。
ひとまず、何らかの治癒魔法や聖属性が扱える者、もしくは水属性の攻撃が出来る者を連れて行くという事を検討しつつ、何か情報が無いか、俺も文献を調べる事にした。
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