第500話 北の大陸で奴隷解放

 村長の家に大勢の女性が詰め寄り、村長の娘の部屋、寝室、風呂、リビング、玄関に廊下、トイレに至るまで女性と俺の分身で溢れかえる。

 後ほど皆で大掃除だなと考えていると、


『エクストラスキル≪奴隷解放≫のクールタイムが終了しました。再使用可能です』


 こ、こんな状況で奴隷解放が利用可能になってしまった。

 ネーヴの時のパターンもあるし、家の中はマズい。

 早く奴隷から解放してあげたいが、俺は全裸だし……いや、どんな酷い目にあっているかわからないし、解放が先だ!

 玄関は女性たちでいっぱいなので、リビングから裏庭へ。

 幸い、外でしている者は居ないようだし、生垣で他の家からは見えないはずだ。


「≪奴隷解放≫」


 早速スキルを使用すると……青い髪の小さな女の子が現れた。

 四歳くらいだろうか? ニースやユーリよりも幼い全裸の女の子が、じっと俺を見上げてくる。


「こんな格好ですまない。俺はアレックスだ。あるスキルで君を助け出したんだが……分かるだろうか」

「……おなかすいた」

「そ、そうか。家の中に何かあると思うから……くっ! い、今はダメだっ! あっ……」


 幼女と目線を合わせて話す為、しゃがみ込んだところで、分身たちと感覚が繋がっている為、思いっきりアレが出てしまった。

 幼女の綺麗な髪の毛から、小さな顔、平らな胸にお腹や脚など、全身に俺のが掛かっている。


「すまん! えっと、食事の前に風呂へ……」

「これ、おいしー!」

「えっ!? あ、あれ? 大きくなったし、綺麗になっている?」


 確かに、俺ので全身が汚れていたはずなのに、幼女は少しも汚れていなくて、しかも六歳くらいの姿になっていた。


「あ、あのね。プルム、いまのもっとたべたい!」

「えっ!?」

「ここからでたよねー? すったらでてくるー?」

「こ、こら……って、ダメだぁぁぁっ!」


 分身たちの……あくまプルムという名の幼女ではなく、分身たちと女性たちによりまた出てしまい、幼女の口の中へ。

 全部入りきらず、顔や手、胸や脚にも溢れるが……どれも綺麗に消えたっ!?

 そして、幼女が八歳くらいの姿に。


「君は……夢魔族なのだろうか? いや、でもテレーゼは飲んで大きくなったし、身体に付いたものが消えたりはしなかったな」

「プルムは涅族っていうんだけど……スライム族って言った方がわかりやすいかもー?」

「スライム!? えっと、あの魔物の?」

「ぷ、プルムはプリンセススライムって言って、魔物じゃないのー! 人間族とゴブリンくらいちがうもん!」


 いや、自分でスライム族って言ったよね?

 人間もゴブリンも人型で、二足歩行だし道具を使うけど、俺たちからすると全然別物で……まぁプルムも魔物ではないと言いたいのだろう。

 実際、普通に喋っているし、姿は人間そのものだしな。


「って、プルム? いつの間に、そんなに大きくなったんだ? 俺と同い年くらいの姿じゃないか」

「え? お兄さんが沢山ご飯をくれたからだよ? でも、これがプルムの本来の姿にだから、これ以上は大きくならないけど……それにしても、こんなに濃厚な魔力の塊は、そうそう無いよ? お兄さんのここから出てくるこれって、一体何なのー?」

「……今のプルムは、俺と同い歳くらいの見た目だが、何歳なんだ? 成人なのか?」

「もちろん成人だよー! 百十歳だもん!」


 百十歳……と言われても、種族によって年齢が全然違うから何とも言えないが、まぁ成人だというなら良しとしよう。


「ねーねー、お兄さん。この家の中から、さっきの美味しい白いやつの匂いがするんだけど、入って良いよね?」

「え? ちょっと待った! 今は立て込んでいるというか、余り良くないんだ……って、プルムーっ!」


 俺の制止を聞かずにプルムが家の中へ。

 そのすぐ先、リビングではリンダたちと俺の分身たちが凄い事になっている。


「わぁ。お兄さんに似た人がいっぱーい! 何してるのー? 楽しそう!」

「お、おい。プルム!」

「皆、それぞれの相手が居て忙しそうだし、プルムの相手はお兄さんがしてよー! ……えっと、こんな感じかな? ……ふぁっ! 何これすごーい!」

「なっ!? くっ……な、何だこれはっ!?」


 プルムが見よう見真似でリンダたちと同じように抱きついてきたのだが、今までの誰とも違う、ムニムニでプルプルで、物凄い弾力と柔らかさを兼ね備え、かつ一切の隙間が無い程の密着っぷり。

 俺もプルムも一切動いていないというのに、中だけが唸り、搾り取るかのように激しく動く。

 正に一体化……む、無理だっ!


「プルムっ! もう、無理だっ!」

「ん? 何が無理なのー? それより、これいーねー! お兄さんに抱きつくと、すっごく幸せー! ……あっ!」


 我慢出来ずに吐き出すと、プルムが大きな声と共に、俺の胸へくてっと倒れてきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る