挿話125 最前線で勇者パーティと戦うローランド

「ふう。俺様に傷を負わせた罪は、この程度では消えん。これから、毎日俺に奉仕してもらうからな」

「……」


 放心した様子の少年を立たせると、仲間の弓使いが持っていたロープで両腕を結び、罪人のように引っ張って行く。

 ちなみに、少年の武器や防具は全て潰し、服も切り刻んだので、一矢纏わぬ全裸なのと、歯切れを猿ぐつわにして、魔法も使えないようにしている。

 尻からいろいろと垂れ流しており、とぼとぼと歩いているが、留めていた馬に俺が乗ると、流石に表情が変わった。


「さて。お前の体力と脚力はどれくらいだろうな」

「……っ!」

「まぁ頑張って走ってくれ」


 そう言って、少年が繋がれたロープを鞍に結びつけると、馬を走らせる。


「――っ!」


 少年が必死になって走っているが……実際のところ、具合は悪く無かったからな。

 白い肌を傷付けたくはないし、ゆっくり走ってやろう。

 とはいえ、傷物に興味はないので、この程度の速度で倒れ、身体に傷が付くようであれば、そこからは全速力で馬を走らせるがな。

 果たして、この少年は俺の屋敷まで耐えられるか?

 耐えきれば、天国に連れて行ってやるが……どうかな?


「――っ!?」


 全裸で走る少年が、何かに躓きかけ……おぉ、何とか耐えた。

 少し速度を上げてみると、少年の顔がみるみる絶望に染まっていく。


「ふふふ。これはこれで一興だな」


 少年の苦しそうな顔を見ながら、緩急をつけてギリギリ力尽きない速度で馬を走らせ……あぁ、これはダメだ。

 苦しいはずの少年が何故かアレを大きくして、涎を垂らしながら走っている。

 そうかそうか。そんなに俺のが欲しいのか。仕方が無いな。

 手頃な大きさの岩があったので、そこで馬を止めると、少年の猿ぐつわを外してやる。


「……はぁ。や、休ませてくれるの?」

「あぁ。お前がそんなに物欲しそうにしているからな」

「ま、待って! それ、痛いから嫌だ……うぐぅっ!」

「ふっ! こんな状態にして、期待していたのだろう?」

「違……っ!」


 なるほど。これが、嫌よ嫌よも好きのうち……という奴か。

 口では抵抗しようとしているものの、身体は完全に俺を受け入れているからな。

 岩に腕を突かせた少年を暫く愛でてやると、激しくし過ぎたのか、ガクガクと脚を振るわせて地面に倒れ、四つん這いになる。


「ほほぉ。犬のようなスタイルが良いのか」

「……ぁぐっ!」


 少年の望むように愛でてやると、満足したのか気を失って倒れてしまった。

 まったく。俺へ奉仕せずに、一人で満足するとは何事だ。

 とりあえず馬に乗せてやり、今度こそ屋敷へ。

 この少年は七人の天使には勝てぬが、執事として傍に置いてやっても良いかもしれない。

 そう考えながら、屋敷へ入ったのだが……様子がおかしい。


「戻ったぞ」


 声をかけても誰も俺を出迎えに来ないし、それにこの匂いは……血か。

 嫌な予感を抱きながら自室へ行くと、巨大な斧を持った、見た事の無い男が居た。


「お。もしかして、お前がこの屋敷のボスか? こいつら全員、ボスが外出中だとしか言わなくて、お前が逃げる時間稼ぎの為に言わされているのかと思ったぜ」

「ローランド様! 助け……っ!」

「なっ!? き、貴様ぁぁぁっ!」


 男が、斧で俺の天使の頭を割り、ゴミでも扱うかのように床へ蹴飛ばす。

 そこには、俺好みの美少年だったものが七体……


「おぉぉぉっ! 許さぬぞっ! お前は、この俺様が、塵になるまで切り刻んでやるっ!」

「はっ! そんな剣の腕で、この俺を倒せるとでも思っているのか? ……≪サンダー・ブローバー≫」

「……うるさいっ! よくも……よくも俺の天使たちをっ! 楽に死ねると思うなよっ!」


 剣で男の武器を破壊すると、続いて腕を斬り、足を斬り、腹を突く。

 簡単には殺さず、男が苦しみ、もがく様を冷たい目で眺めるが、俺の天使たちが生き返る訳ではない。


「……飽きた」

「……ま、待ってぐれぇぇぇ! 慈悲をぉぉぉ……」


 叫び狂う男の頭に剣を振り下ろして黙らせると、更に怒りが湧き上がる。

 勇者をこの世界から、一人残らず消し去ってやる!

 七人の天使の弔いに、七十七人の勇者の亡骸を捧げるのだっ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る