挿話116 夜這いの風習がある村の娘リンダ

 今朝、アレックスさんにしていただいたけど、まさかアレがあんなにも気持ち良い事だというのは知らなかった。

 なので私と一緒で、アレックスさんに悦びを教えて貰ったお友達とも話が弾む。


「アレックスさん、凄かったねー! 私、初めてがアレックスさんで良かった」

「皆で一緒にっていうのも良かったのかもねー。結局、皆興味はあっても、怖くて最初の一歩が踏み出せなかったもんね」

「まぁそういう関係になりたいって思う相手も居なかったけどね」


 そうなんだよねー。

 私に言い寄って来たのは、私と倍近く歳の離れた村長さんの息子だけ。

 正直に言わせてもらうと、かなり気持ち悪くて、何度断っても諦めてくれないし、何度も夜這いをしようとやって来る。

 村長の息子って事で平手打ちをする訳にもいかず、結果お父さんを呼んで追い払ってもらう事に。

 私だけでなく、お父さんからも二度と来るなって言っているのに。


「でもリンダちゃんは本当に災難だったわね。あの村長の息子に目を付けられちゃったもんね」

「ん? どういう事?」

「リンダちゃんは気付いていなかったかもしれないけど、実は男の子たちから物凄くモテていたんだよ? ただ、あの村長の息子が、リンダちゃんは俺の彼女だって言い回っていたからね……」

「えっ!? 待って、待って! 私、あの人の恋人でもなんでもないし、もっと言うなら、嫌いなんだけど!」

「うん。それは皆分かってるんだよ。でも、あの人はネチっこいというか、リンダちゃんの事を好きな素振りを見せただけでも、その人に嫌がらせするから」


 えぇーっ! 何それっ! 無茶苦茶だよーっ!

 ……あ、でも考えようによっては、そのおかげでアレックスさんに初めてをあげられたっていう可能性があるかも。

 まぁどっちにしろ、あの人が気持ち悪いのは変わりないけどね。

 それから、夕方にアレックスさんともう一度出来て……身体が熱い。

 一度目の後とはまた違い、身体の奥からアレックスさんを求めているというか……もう我慢出来ないよーっ!


「ごちそうさまでした」


 夕食を終えると念入りに身体を洗い、シャツとスカートだけを着て、こっそり外へ。

 パ、パンツを履かずに外へ出るのはドキドキするけど、アレックスさんへ夜這いしに行く訳だし、下着なんて要らないわよね。

 えっと、確かアレックスが今晩泊まられるのは、あの小屋よね。

 あれ? でも、アレックスさんが人魚さんや娘ちゃんたちを連れて、何処かへ行っちゃう?


「……あそこなら部屋も多いし、水があるからラヴィニアも大丈夫だろう。そこへ行こうか」

「わーい!」


 アレックスさんと娘ちゃんが話しているのが聞こえてきたけど、部屋が多くて水のある所と言ったら……地下の水車小屋ねっ!

 先回りしたり、先に見つかっちゃったら夜這いっぽくないし、見つからないように隠れながら……まずはアレックスさんたちが小屋に入った。

 あの中は暫く階段が続くから少し待って……もう良いかな? まだ早過ぎ? そろそろ、良いよね?

 小屋に向かって駆け出したい気持ちを抑えて隠れていたら、誰かが小屋に向かって走って行った。

 えっ!? ……私以外にも、アレックスさんに夜這いしようとしていた人が居るのっ!?


「待ちなさいよっ! 抜け駆けはダメよっ!」

「あの人が行くなら、ウチだって!」

「えぇっ!? 他にも居た……というか、いっぱい居るっ!?」


 私だけがアレックスさんに夜這いしようとしているのかと思ったら他にも大勢居て、数十人の女性たちが水車小屋に突撃する。

 アレックスさんが分身スキルっていうので増えるのは知っているけれど、それでも数は限りがあるし、私も行かなきゃっ!

 先頭集団から少し遅れて小屋に入ると、皆が手前から順に扉を開けていく。

 私は奥の方から開けていくと……ベッドで眠るアレックスさんの上に、小さな女の子がいた!

 ……独り占めはズルい!


「あー、残念。ご主人様の独占タイムが終わっちゃいましたね。ご主人様。分身ですよ、分身」

「……へ? ≪分身≫? ……ぐぅ」


 アレックスさんは娘ちゃんたちと一緒に寝てしまったけど、分身さんは出たーっ!

 ……あぁぁぁ、これっ! これよぉぉぉっ!

 すぐに他の女性たちもやって来たけど、私は分身さんに沢山注いでもらって……ふぅ。幸せ。

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