第610話 クリスティーナのジョブ
「お、お客様って凄いんだね。こんなの知っちゃったら、お仕事どころじゃないよー」
「ご、ご主人様……ご、ごめんなさい。もう、ダメですぅ……」
「あ! じゃあ、クリスと交代しよー! えへへー、これ凄いよねー!」
クリスティーナがテイムした姉妹の姉に代わって俺のところへやって来た。
ちなみに、妹の方は既に気を失っているのだが、困ったのが風呂場に居た猫耳族の女性だ。
一体何があったのか、自ら物凄く激しく動き続け、突然気を失ったかと思うと、少ししたら復活してきて、また求めて来る。
ちょっとナズナとコルネリアが引いているのだが。
「何て言うか、アレックス様にご奉仕するという気持ちが欠けていて、自分の事しか考えていない感じがしますね」
「そうだよねー! アレックス様に気持ち良くなっていただいて、僕たちも気持ち良くなる。思いやりが大切だよねー」
「コルネリア様の仰る通りです。ですが、私もそろそろ~~~~っ!」
コルネリアにテイムされた猫耳族の女性が気を失い、猫耳族で動いているのはクリスティーナだけに。
クリスティーナからもらったスキルは、猫耳族を気絶させるスキルだったりするのだろうか。
……あ、違うな。元から得ている、ビーストキラーという獣に対する攻撃力が強化されるスキルのせいか。
「んっ! ……お客様は、同じ姿のお客様と比べて、ちょっと動きが違うんだね」
「あー、すまないな。俺と同じ姿をしているが、他のは俺の分身なんだ。自動行動というスキルで、俺の意思とは関係無しに動いている」
「そうなんだー。あ、ちなみに、分身さんたちは凄く激しいけど、クリスはお客様みたいに優しい方が好きー!」
「そ、それはどうも」
「ただ、さっきまでは分身さんたちがガツガツ来てくれたけど、自分で動くのってコツがいるのかな? 難しいよね」
いや、そう言いながら、クリスティーナは最小限の動きで的確に……って、何の話だよっ!
「ところで、クリスティーナは何のジョブを授かっているんだ?」
「クリス? クリスはね、花魁っていうジョブだよ。ただ、同じジョブの人が居ないから、どういうジョブなのか良く分からないんだー」
花魁? 確かに聞いた事が無いし、どういうジョブかも想像がつかないな。
まぁこれはまたシェイリーに教えてもらおうか。
そんな事を考えていると、
「アレックス様。お食事の準備が……えぇぇぇっ! い、一体これは何が!?」
「あ! いっけなーい! すっかり忘れてたーっ! で、でも今止められないし……も、もう少しだけ」
「クリスティーナ様!? しっかりスキルは発動しているようですが、他の者たちは……っ!? こ、これは……か、身体が熱いっ! わ、私も……私も混ぜてくださいっ!」
どういう訳か、食事だと呼びに来た猫耳族の女性が走りだし、近くにいた俺の分身に抱きついた。
うーん。まるで魅了スキルが発動していた時の様だけど、あれはランランに封印してもらっているしな。
……まさか、もう封印の効果が切れたのか!?
「~~~~っ! はぅ……な、名残惜しいけど、お仕事があるから、クリスは行くね。お客様も、来てね」
「あぁ、わかった」
「じゃあ、待ってるね!」
とりあえず、いい加減に風呂を上がろうと思って分身を解除すると、
「えぇぇぇっ!? まだ一回しか……ご主人様発見っ!」
凄い勢いで先程の猫耳族の女性が抱きついて来て、離れてくれない。
仕方がない。とりあえず、脱衣所までこのまま行くか。
「おぼぉっ! お、奥にっ! 刺さるっ! こんなの……凄すぎるぅぅぅっ!」
気を失ってしまったので、脱衣所のベンチに寝かせ、着替えようとすると、
「アレックス様。綺麗にしますね」
「あ! それは私が!」
「僕も僕もー!」
どこからともなく現れた結衣とナズナとコルネリアが綺麗にしてくれて、ようやく部屋へ。
そこには凄い食事が並べられているのだが、
「パパー! これと、これと、これはダメだよー! どくー!」
席に着く前に、ユーリが盛られた毒を見破る。
「えぇぇぇっ!? す、すみません。腐っていたのかなー!? これらのお料理は、取り換えますね! 本当にごめんなさい」
それを聞いたクリスティーナが、指摘された皿を持って部屋を出て行き……
「……抱いてくださいっ!」
残っていた給仕担当と思われる猫耳族の女性が突然抱きついて来た。
いや、本当にどうなっているんだよっ!
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