第49話 リディアとノーラ……とニナ

「ご馳走様でしたっ! ねぇ、お兄さん。一先ず鉄がいっぱいあるし、ニナはこれからレール作りで良いかなー?」

「そ、そうだな。悪いが宜しく頼む」


 エリーが作ってくれた昼食を美味しくいただき、後片付けを済ませると、ニナを地下洞窟の探索から、地上でのレール作りへと変える。

 ただ、今回は大量にレールを作るので、そこまで消費が激しくないニナの錬金魔法でも、魔力枯渇が起こってしまうかもしれないそうだ。


「という訳で、ニナはお兄さんの近くでレールを作るね」

「分かった。俺たちは南の方で作業をするんだが、レールも南側まで敷く必要があるし、構わないんじゃないか?」

「わーい! お昼からは、お兄さんと一緒だー!」


 喜ぶニナの近くで、


「くっ……最も危険なニナ殿が、ご主人様の傍に……」

「えぇ……要注意ね」


 モニカとエリーが小声で何か言いながら、地下洞窟へ出発して行ったのだが、何だったのだろうか。

 結局、エクストラスキルの事を話せないまま、俺たちも、色々あったせいで午前の作業が終わっていないので、再び南へ。

 その道中で、


「ノーラは抱っこしてもらって、リディアも手を繋いで……ニナも、お兄さんと手を繋ぐっ!」


 すかさずニナが小さな手で俺の右手を握ってきた。

 そこまでは別に良かったのだが、


「あ、そっか。ニナちゃんも、お兄ちゃんの事が好きなんだよね?」

「えっ? ……う、うん。好き……だよ?」

「あのね、さっきノーラとリディアお姉ちゃんは、お兄ちゃんの恋人にしてもらったの」

「……ど、どういう事っ!?」

「こういう事だよー」


 俺にしがみ付いていたノーラが、素早く唇を重ねてきた。


「あっ! ノーラさん。独り占めはダメですよっ! アレックスさん、私ともキスしてください」

「……という訳なの」

「えっ!? えぇっ!? ……に、ニナもっ! ニナだって、お兄さんの事が好きだし、仲間ハズレはイヤーっ!」


 ノーラと交代するかのように、リディアにキスされ、離れた後、ニナが抱っこを求めるように大きく手を上げて飛び付いて来る。

 流石にこのまま落とす訳にもいかず、ニナの身体を支えると、ノーラよりも小さな唇を押し付けてきた。


「ニナちゃん。お兄さんの口の中に舌を入れて絡め合うと、すっごく気持ち良いんだよ」


 ノーラが無邪気にアドバイスをして、ニナが素直に実践し……あ、淡く光りだした。


「……お兄さん。これ、凄いね。もっと……」

「ニナさん。それくらいで……そろそろ代わって下さい」

「待って! ニナちゃんの次はボクだからねっ!」


 まだ南の畑へ辿り着いていないというのに、三人から代わる代わるキスをされ、


「三人とも、一旦落ち着こう。俺たちにはやるべき事があるんだしさ」

「……はーい。じゃあ、お兄さん。また後でしようねー」

「……ノーラとリディアには確認したが、ニナは良いのか? その、こんな状況で」

「うんっ! だって、ニナは仲間ハズレがイヤだもん。皆と一緒が良いんだもん! ……でも、お兄さんを好きな気持ちは、仲間ハズレとか関係ないからね?」


 ニナとも恋人関係になってしまった。

 それからは、時々……いや、結構キスを求められつつ、新しい畑に作物を植え、収穫し、ニナが細長いレールを作成する。


「お兄さん……えへへ。えっとねー、沢山レール作ったから、次はこれを敷いていくのを手伝って欲しいんだー」

「分かった。任せ……こほん。ニナ……喋っている時にキスするのはやめような」

「えへへー……はーい」


 リディアに西側の壁を開けてもらい、ニナが作ったレールを運んでいく。

 時折現れるシャドウ・ウルフをサクッと倒し、リディアにレールの外側へ壁を作ってもらい、


「日も暮れてきたし、そろそろ切り上げようか」

「じゃあ、小屋に戻る前に、もう一度チュー!」


 ノーラがそんな事を言うから、当然のようにリディアとニナも抱き付いて来る。

 というか、小屋に戻りながらも三人がキスしてくるので、さっきのキスは何だったのかと思わなくもないが……好意を向けられるのが、当然嫌な訳は無い。


「おかえりなさいませ、ご主人様。まだるっこしい事は抜きにして、今すぐ私を……な、何でも無いです」


 小屋でモニカが出迎えてくれたけど、俺の左隣――リディアの顔を見て、声が小さくなっていった。

 それから、先ずは皆でお風呂に入り……って、ニナもノーラも全裸の時に抱き付くのはダメだっ!

 流石にリディアは控えてくれているが、その隣に居るエリーの視線が冷たいんだけどっ!

 一先ず身体の汚れを落とし、夕食となったのだが、


『アレックス。ニナちゃんとノーラちゃんと裸で抱き合うって、どうなの?』


 口には出していないものの、付き合いが長いからか、エリーの視線で何を言いたいのかが、概ね分かってしまった。

 到底エクストラスキルの事を話せる感じではないのだが、一つだけ言わせて欲しい。

 確かに俺は、お風呂で全裸のニナとノーラから抱きつかれたが、断じて俺から手は出していない!

 抱き付かれただけであって、抱き合ってはいないんだっ!

 ……と、心の中で思っていたのだが、


「お兄ちゃん、おやすみ……んっ」

「お兄さん、おやすみー……えへへー」

「アレックスさん。おやすみなさい……っ」


 昨日と同様に、リディアが風の魔法で上のベッドの音を遮断した後、三人からキスの嵐に。

 えっと……三人とも、そろそろ落ち着こうか。

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