第629話 真面目な話がしたいアレックス
「いやー、孤児院では危なかったわねー。流石のカスミちゃんも、あの女児たちに見せちゃマズいのは理解してるわよー」
「とりあえずカスミは、自重しようか」
エリラドの孤児院で、女児たちに変な物を見せないように何とか頑張り……シーナ国最後の目的地、ウララドへ向かう馬車に乗っている。
カスミ、サクラ、ナズナ、グレイスと俺の五人なのだが、グレイスはもう少し女児たちを撒いてから来るとか、何かしらの気配りを頑張って欲しかった。
いろいろと見られてはいないのものの、ケイトが女児から変な匂いがすると言われて、必死に誤魔化していたからな。
「お母さん。あの子供たちの数と無限の体力……アレはお母さんじゃないと無理だよー! ナズナ、泣きそうになったもん」
「あら? ナズナちゃん。それは修行不足という意味かしら。シノビの基礎修行……当然、毎日しているわよね?」
あ、サクラとナズナの顔が真っ青になった。
これは……たぶんマズい発言だったんだろうな。
その結果、サクラとナズナが半泣きでスクワットをさせられているが……いくら貸切の馬車とはいえ、あまり暴れないようにな。
「うぅ……私もグレイス殿の方へ行きたい」
「お母さん。アレックス様の上でスクワットなら、喜んでするよ?」
「ナズナちゃん。スクワット一万回追加ね。もちろんサクラちゃんも連帯責任で」
とりあえず、ナズナは余計な事を言うのは止めておいた方が良いのではないだろうか。
「あ、アレックス様。女児たちの相手をしたご褒美……最高ですっ!」
グレイスはグレイスで、このタイミングで言わなくても。
ご褒美というか、マッサージ用の分身を消せない為、アレが出続けるのをグレイスが俺の上に座って何とかしてくれているだけなのだが……っと、ようやくウララドの街が見えてきた。
馬車を降り……しかしグレイスが離れてくれず、そのまま大急ぎでジュリの家へ。
「ジュリ、久しぶりだな。マミは居るか?」
「アレックスちゃん! 今日はいつもの格好ではないの?」
「いや、むしろ今がいつもの格好なんだが」
「それより、そっちの女の子と楽しそうな事をしているし、私ともして欲しいなぁ。アレックスちゃんの姿で」
ジュリは、どういう訳か変化スキル姿を好むよな。
ひとまずジュリが俺を見る目がちょっと危なく、あの姿にならないと話を聞いてくれなさそうなので、先に姿を変える事に。
「≪変化≫」
久しぶりに使う気がするが、変化スキルで子供の姿になると、
――変化のレベルが二になりました――
変化スキルもレベルが上がってしまった。
これも分身スキルと同様に、レベル五まで上がったら、何かしらの効果があるのだろうかと考えていると、
「アレックスちゃぁぁぁんっ!」
ジュリがグレイスから俺を奪い取り、即服を脱いで……グレイスは大丈夫か!?
以前のグレイスなら前衛職だが、今は後衛職だと言っていたし、ジュリのタックルは危険な気がしたので、
「≪分身≫……≪ミドル・ヒール≫」
分身を一体だけ出して、治癒魔法を使う。
「グレイス、大丈夫か?」
「はい。ビックリしただけですので、問題ありません」
「そうか、良かった。……ジュリ。流石に今のはダメだ」
ちょっとキツめに怒ったつもりなのだが、
「怒ったアレックスちゃんも可愛い……アレックスちゃん! アレックスちゃぁぁぁ~~~~っ!」
えっと、ちょっと怖いんだが。
やっぱり、定期的に来ないとダメだよな。
ひとまず、ジュリには元の姿へ戻ったら改めて注意しようと思ったところで、
「ふぅ。今日のパトロール終わり……って、アレックス様っ!? ジュリだけずるいポンっ! マミにもするポンっ!」
帰って来たマミに、グレイスの傍にいた俺の分身が襲われたっ!
とりあえず、マミには北の大陸、第一魔族領へ来てもらいたいという話をしたいのだが……今の状態だと話は難しいか。
先ずは二人を満足させて、真面目な話をしようと思ったのだが、
「アレックスちゃん。カスミちゃんも混ぜてねー」
「母上っ!? わ、私もお願いします!」
「ナズナも、アレックスちゃんとしてみたいですーっ!」
結局、カスミ、サクラ、ナズナと、グレイスに結衣も混じる事になったのだが、この五人は体力があり過ぎではないだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます