第630話 シーナ国巡り
「あ、アレックスちゃぁぁぁんっ!」
「久しぶりのアレックス様、凄かったポン!」
一先ずジュリとマミを満足させ、ようやく話が出来る状態になった。
さて、どうやって切り出そうかと思っていると、
「アレックスちゃん……もう放したくないのぉぉぉっ!」
「その通りポン! アレックス様は中々来てくれないポン! 寂しいポン!」
「あー、それなんだが……マミ。ちょっと手伝って欲しい事があって、北の大陸に住む気はないだろうか。マミが来ると、マミもジュリも会う回数が増えると思うんだが」
ジュリとマミから、中々来ないと言われたので、そこに便乗してマミを誘ってみた。
「どういう事ポン? 説明して欲しいポン」
「あー、話せば長くなるんだがな、第一魔族領で玄武という者を救ったんだが……」
「げ、玄武って、四神獣の!? ど、どういう事ポン!?」
「玄武を知っているのか?」
「当たり前ポン! マミは魔物を使役する妖術師ポン! 知らない訳がないポン!」
なるほど。そういうものなのか。
まぁマミはミオとも知り合いだったしな。知っていてもおかしくないか。
「まぁその、玄武が居る場所が空なんだ。で、マミは空を飛ぶ魔物を使役出来るし、来てくれればいろいろと行き来が出来るかと思ってさ」
「は、話が大きすぎてついて行けないけど、とりあえず第一魔族領へ来て欲しいって事ポン? でも、凄く遠い場所ポン」
「いや、第四魔族領に天使族の魔法陣を再現したものがあって、一瞬で行き来出来るんだ」
「相変わらず無茶苦茶ポン。でもまぁ、わかったポン」
「すまないな」
それからマミが自身の宿へ戻り、荷物を纏めてウララドの街の外へ。
「アレックスちゃん。私はウララドの街を守る役目があるの。でも、ちゃんとまた来てくれるわよね?」
「あぁ。マミがこっちにくれば、ウララドとの行き来も容易になるし、来る頻度はきっと上がると思う」
「わかりました。絶対、絶対だからね?」
ジュリから何度も念押しされ、いつもの鳥の魔物を呼び出すと、マミの後ろに変化スキルで小さくなった俺とグレイスが乗ろうと思ったのだが、
「改めて見ると、凄い量の荷物だな」
「まぁ、仕方ないポン。結構長い期間、この街に居たポン」
マミが持って来た荷物が多過ぎて、俺はともかくグレイスは乗る事が出来ない。
流石にグレイスはカスミたちのように走って戻って来るというのは無理だろうし、どうした物かと思っていると、
「アレックス様。大丈夫です。今こそ、クラスチェンジした私の力を見せる時ですね。……≪空間収納≫」
グレイスが手をかざすと、マミの荷物が全て消えてしまった。
「なっ……グレイス、凄いじゃないか!」
「えへへ。生き物とかは無理なので、人を運んだりは出来ませんが、見ての通り荷物系はかなりの量を収納出来ます」
「凄いポン。そのスキルは羨ましいポン。激レアだポン!」
という訳で、マミの大量の荷物が消え、空いたスペースにグレイスと変化スキルで小さくなった俺が乗る。
普段はいつもジュリが乗っていたけど、今回はウララドの街へ戻って来ないので、きっと大丈夫だろう。
「お兄さん。じゃあ、私たちはウラヤンカダの村経由で第四魔族領へ戻るわね。鍛錬不足の修行を兼ねて」
「……一応聞くが、走って帰るのか?」
「勿論。大した距離でも無いしねー」
カスミは笑っているが、サクラはげんなりしていて、ナズナに至っては泣き出しそうなんだが。
さっき、メチャクチャスクワットをさせられていたもんな。
「じゃあ、ジュリ。一旦マミと共に、第一魔族領へ行くよ」
改めてジュリに挨拶を済ませると、
「アレックスちゃん。必ず……必ず来てくださいね? 出ないと、アレックスちゃんの子供と、あんな事やこんな事を……」
「ジュリはいつも、アレックスの人形と一緒にお風呂へ入るのが日課だって聞いたポン」
「あぁぁぁ、それは言っちゃダメぇぇぇっ!」
マミがジュリの日課をバラしたが……おそらく、人形たちは全員知っているんじゃないかな。
知識や体験を共有するから。
そんな事を考えつつ、マミの召喚した鳥に乗り、第四魔族領へ戻って来た。
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