第631話 ようやく戻って来た第四魔族領
「アレックスよ。これはまた……いろんなスキルを得て来たな」
「あー、まぁいろいろあってな」
「そうであろうな。活動拠点がある箇所だけとはいえ、シーナ国を一周してきたのだからな」
シェイリーが俺のスキルを確認してくれたのだが、呆れているのかジト目になってしまった。
まぁシェイリーの社をメチャクチャ汚してしまったからな。
というのも、マミに第四魔族領まで送ってもらったのだが、昨晩帰って来なかったからと、エリーやメイリンたちに……というか、シェイリーや第一魔族領に居るはずのヴァレーリエに、クワラドの街から戻って来たザシャやシアーシャも混ざり、大変な事になってしまった。
終盤にはカスミたちも混ざっていたので、かなり時間が経っていたようだ。
ちなみに、久々にメイリンが混ざっていた事もあり、また人形が増えているのだが、個人的にはイネスに人形を是非増やしてもらいたい。
「はぁ……まぁ掃除は誰かに頼むとして、このアレックスの匂いはなかなかとれないから、アレックスが戻って来ない間、切なくなってしまうではないか」
「いや、一応定期的に戻って来るつもりなんだ。そ、そういう約束だから」
「今回は玄武を助ける為とはいえ、かなり時間が開いたからな。まぁそういう約束もさせられるであろう。まぁそれはさておき、我も満足させてもらった故、スキルについては教えてやろう」
沢山増えているので、シェイリーが主だったものだけ説明を初めてくれたのだが、
「まずは、出発前に言いかけたスキルから。セイント・キラーという闇系のスキルがあるな。まぁそこで魔族が気絶しておるし、納得なのだが……まさか魔族までアレで屈服させるとは」
「いや、ザシャについては俺というより、玄武の力に驚き、降伏した感じなんだが」
「今となっては、結果は同じであろう。ひとまずこれは、神に仕える者――聖職者に対する攻撃力が上がるようだ」
シェイリーの説明で、状態異常耐性があるはずのクララが気絶してしまった理由がわかった。
あの六合の教会に居た司祭も、すぐに気を失ったのも、このスキルが影響していそうだな。
ちなみに、おそらくその司祭から得たのだろうが、反対に魔族に対する攻撃力が上がる、デモンズ・キラーというスキルも得ているらしい。
「そうだ。時々、女性から白い霧が出て来るようになったんだが。しかも、それが俺の身体の中に入ってくるんだ」
「あぁ、おそらくヴァージン・ブラッドというスキルであろう。本来は初めての女性と交わると若返るというスキルなのだが、アレックスは既に不老長寿スキルを持っているからな。女性の初めてを貰う度に寿命が延びるスキルだと思って良いだろう」
「……何となく、吸血族から得たような気がするな」
「まぁそうであろうな。いずれにせよ、アレックスにも女性にも何も悪い事は起こらぬ。よって、これからアレックスは初めての者を沢山嫁にし、長生きするのだ! 今でエルフと同等の寿命だ。せめて天使くらいにはなってもらわないとな」
えーっと、エルフの寿命でも十分長すぎるんだが、天使族って……確かユーディットが千歳を超えているって言っていたよな。
それで、あの容姿なのだから……か、考えるのは止めておこうか。
「それから、あのグレイスという少女。面白いスキルを持っておるな」
「空間収納だろ? あれは確かに凄いな」
「うむ。おそらく、小さな船くらいなら収納出来るだろうな」
「船を……凄いな」
待てよ。という事は、グレイスがいてくれれば、船を持ち運び出来るという事か?
これは西の大陸の探索にあたって、かなり重宝する気がするな。
「ちなみに、その空間収納だが、アレックスも得ておるぞ。グレイスの容量が大なのに対し、アレックスは小らしいが」
「えっ!? 小とはいえども、俺も使えるのか!?」
「うむ。今、確認してみてはどうだ?」
シェイリーから言われ、早速確認……と言いながら、シェイリーが俺の上から降りる気がなさそうなので、挿れたまま抱きかかえて立ち上がり、近くにあった誰かの衣服に向かって手を向ける。
「≪空間収納≫……おぉ、消えた!」
しかも、頭の中で意識すると、空間収納の中に何が入っているかが、整理されて把握出来る。
とりあえず、空間収納に格納されているのは、「女児服」、「女児用下着」……って、今のは誰の服だったんだ!?
「マスター。私の服で何をする気なのでしょうか? 服よりも、中身の方がもっと良いと思いますが」
俺の分身と一緒に居るソフィが声を掛けて来たが……空間収納スキルが女児服って判定したのであって、俺がそう思っている訳ではないからな?
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