第632話 ようやく北の大陸へ

 ひとまずシェイリーが満足したので、マッサージ用の一体を残して分身を解除すると、突然マミが驚きだす。


「ちょ、ちょっと待つポン! アレックス……様!? そのロリB……こほん。幼女は一体、何ポン!? ミオが呼び出す、あの燃える蛇並み……いや、それ以上の魔力を感じるポン」

「ん? あぁ。シェイリーは神獣の一人、青龍だよ」

「は……? ちょ、ちょっと何を言っているか分からないポン!」


 マミはミオのライバルみたいな感じだったはずだが、シェイリーとは……いや、シェイリーは封印されていたからな。

 会った事がないか。


「ほほう。この狸はミオの古い知り合いか」


 シェイリーがマミを値踏みするように見つめ、マミがガチガチに固まっている。

 どうでも良いが、二人共未だに全裸でアレが垂れてきているから、とりあえず服を着ないか?


「えっと、マミには第一魔族領に……玄武のところに居てもらおうかと思って」

「玄武っ!? 玄武って、もしかしてあの玄武ポン?」

「どの玄武かは分からないが、シェイリーと同じ神獣の玄武だよ」

「やっぱりポーンっ! アレックスは相変わらずメチャクチャ過ぎるポン! 玄武はスキルやジョブを封じる事が出来ると聞いた事があるポン! そんな事をされたら、マミは何も出来ないポン!」

「いや、流石にそんな事は……し、しないと思う。たぶん」


 少し離れたところで、幸せそうな表情を浮かべながら服を着ているザシャが視界に入り……うん。何も言えないな。


「あ、アレックス。マミに何かあったら、助けて欲しいポン!」

「いや、大丈夫だって……きっと」


 怯えるマミを宥め、シェイリーの魔法陣を使って第一魔族領へ。

 移動してきた女性陣の内、ヴァレーリエとソフィ、マミが第一魔族領に残り、ザシャとシアーシャ、グレイスとユーリを連れて行く事に。


「しかし、ユーリは飛べるから良いとしても、俺とザシャに、シアーシャとグレイスはどうやって地上へ移動するかだな」

「マミの呼び出す鳥には、マミを除いて二人が限界ポン。あと、魔力的に二往復は辛いポン」

「あ、私は大丈夫。得意ではないけど、一応飛行系の魔法も使えるから」


 なるほど。ザシャはそんな魔法が使えるのか。

 となると、シアーシャとグレイスをマミに運んでもらって、俺は……どうしよう。

 下が海なら……いや、流石に危険過ぎるか。


「あ、アレックスは変化スキルがあるポン。だから、頑張れば乗れるポン

「そ、そうか」

「じゃあ、早速行くポン」


 言われた通り変化スキルを使おうとして、空間収納スキルの事を思い出す。

 これを使えば、剣や鎧も持って行ける!

 という訳で、空間収納スキルと変化スキルを使うと、


「アレックス様……こんな事も出来るんですね。短時間ですが、私も出来ますの!」


 シアーシャも俺と同じくらいの姿になった。


「け、けど、この姿になると、もろもろ弱くなってしまうので……ざ、ザシャさん! 早く私に防御魔法を……た、太陽に光で死んでしまいますの!」

「そこまで無理して小さな姿にならなくても良いと思うのだが」

「ですが、アレックス様とお揃いの身体の方が、いろいろ楽しめそうですの」

「いや、その姿ではダメだからな!? というか、今から地上へ送ってもらうんだから、大人しくするように!」


 シアーシャに念押しで注意し……ひとまず何事もなく第一魔族領から飛び立つ。


「アレックス様。どこへ行けば良いポン? 真下は海ポン!」

「あー、そうなのか。じゃあ、近くに灯台はないか? ユーリ経由で連絡してもらっていて、俺の仲間たちとそこで待ち合わせしているんだ」

「見つけたポン! 早速向かうポン!」


 マミが召喚した鳥の魔物に運んでもらい、無事に灯台へ。

 ザシャはかなり遅れてやってきたものの、特に問題はないようだ。


「では、マミはさっきの所へ戻るポン。何かあったら、連絡して欲しいポン。あと、それとは別にアレックスに愛してもらいたいポン!」

「ぜ、善処するよ」

「約束ポン! 頼むポン!」


 そう言って、マミが帰って行った後、少しすると、


「アレックス! ……戻って来るのが遅すぎる」

「アレックスよ。かなり期間が空いたのじゃ。という訳で、早速するのじゃ!」

「プルムもするー!」


 レヴィア、ミオ、プルムがやってきて、いきなり抱きつかれてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る