第919話 海に入るレヴィアとアレックス
影の中から現れた美月がレヴィアを抱きかかえ、莉子が俺に抱きついてくる。
「お、おい。結衣!? 莉子は何をしようとしているんだ!?」
「もちろん、アレックス様の子種をいただく……もとい、アレックス様の鞘だと思ってください」
「……鞘?」
「はい。アレックス様のズボンを汚す訳にも、アレを出しながら移動する訳にもいきません。これまでは私が顔だけ出して飲んでおりましたが、莉子にもアレックス様のをいただければと」
いや、確かに結衣にはかなり助けてもらったが……って、莉子は止まる気がないのかっ!
「お゛ぉ゛ん゛っ!」
「り、莉子? 一気にいったが、大丈夫なのか!?」
「……」
莉子が変な叫び声を上げたかと思ったら、動かなくなってしまった。
大丈夫なのかと思っていると、ぶるぶると震えだす。
「アレックス様。莉子は喜びに震えております。どうか、そのままお進みください」
「しかしだな……」
「大丈夫です。莉子の事は、私が良く分かっておりますので。それより、モニカさんの為にも急いだ方が宜しいのかと」
俺の背中に抱きついた結衣が耳元で囁き……急いでいるのも事実なので、走り始める。
「ぉ゛っ、ぉ゛っ、ぉ゛っ……」
一歩進むごとに莉子が呻き声を上げるのだが、本当に大丈夫なのか?
……そうだ。莉子も結衣も軽いし、レヴィアは美月が抱きかかえてついて来てくれているので、歩幅を広く……跳ぶようにして走れば、莉子が衝撃を受ける回数を減らせるのではないだろうか。
という訳で莉子を抱きしめ、地面を蹴って前に進む。
そのまま暫く走ると……海が見えてきた。
「やっと着いた」
「そうですね。ところで父上。次は私の番では?」
「え? ……って、サラ!? どうしてここに!?」
莉子を抱きかかえ、レヴィアを運ぶ美月と海に目を向けていると、いつの間にかサクラの人形、サラが俺の横に立っていた。
「魔導列車の時から、居りました。流石に父上と連絡が取れなくなるのは良くないので」
「そ、そうか。とりあえず、先へ進むか」
「えっ!? そろそろ交代ではっ!?」
交代というか、そもそも分身を解除して莉子にも離れてもらいたいんだが……と伝えると、
「ダメです。まだ母上が満足しておりません」
サラから止められる。
それなりに時間が経っているはずなのだが、まだらしい。
「ちなみに、リザードマンの村に居る者からの話では、イネス殿が早々にダウンし、ツバキ殿が十体の分身に囲まれているそうです」
「だったら、やはり分身を消した方が良いのでは?」
「いえ、ツバキ殿が分身すれば解決します。ただ、激し過ぎて分身を維持できないらしく、カスミ殿が何とかするようにと怒っている程なので」
それはカスミの要求がハード過ぎる気もするのだが……ひとまず先へ進み、遂に到着した。
それから少ししてレヴィアが目を覚ましたので分身を消すと、結衣たちが影の中へ戻っていく。
「お兄ちゃん。ありがと。ごちそうさま」
姿が見えなくなる前に莉子が声を掛けてきたが……早くも話し方が変わっていた。
「父上のアレに含まれるアレが濃厚だからなのでしょう。魔力で成長するという噂もありましたし」
「……アレックスのは凄い。魔力以外も凄い。レヴィアたんは、早くアレックスの子供が欲しい」
いや、何の話をしているんだ?
「それより海へ来たが、ここから海底を歩いていくのか?」
「……少し距離があるから、それは無理。大人数ではないし、アレックスは水中で呼吸が出来るから、レヴィアたんが連れていく」
「わかった。宜しく頼む」
「……じゃあ、服を脱いで。水の抵抗を減らして欲しい」
なるほど。今回は船で海上を行く訳ではないから、仕方ないか。
という訳で、剣や鎧に服や靴など、下着を除いて全て空間収納へ格納したのだが、
「……ダメ。それも脱ぐ。全裸」
「……脱ぐ必要はあるのか?」
「……大事。海中を舐めちゃダメ」
そうまで言うなら……と、全てを脱いで全裸になる。
ようやく準備が整い、同じく全裸になったレヴィアが俺の手を引いて海へ歩き始めると、
「お待ち下さい!」
何故かサラから待ったが掛かった。
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