第205話 お持ち帰りされる兎耳族

「んほぉぉ……しゅごい! アレックスしゅきぃぃぃっ!」

「こっちも……こっちも凄過ぎらのぉぉぉっ! こんな所まで届くの初めてぇぇぇっ!」

「お姉ちゃん、ずるい! もう七回目だよね! 私、まだ五回しか出してもらってないよっ!」


 兎耳族の女性たちが止まらない。

 人数が多過ぎて、途中で分身を解除し、こっちで分身を出しなおすという、家に戻った後で怒られそうな事までしたのだが、終わる気配が全然無い。

 これは……おそらくボルシチからもらったハグスキルのせいだと思われるので、少し強引な手を使って終わらせる事にした。


「~~~~っ! す、凄い……」

「お姉ちゃん!? だ、大丈夫!?」

「あー、なるほど。そちらの女性なら大丈夫ですよ。私もよくなりましたが、気持ち良過ぎて気を失っただけでしょう」


 ツバキがフォローしていたが、俺からは抱きしめず、だが寝転びつつ激しく突く。

 ハグで癒さず、チャージと寝技スキルで威力だけ上げると……ようやく兎耳族たちが落ち着いた。

 いや、落ち着いたというか、全員気絶したんだが。


「アレックスさん。とりあえず服を着ましょう。コレを見た瞬間、また襲われかねませんよ」

「そうだな。とりあえず着替えを……って、リディア!?」

「ちゃんと綺麗にしますから、少し待ってくださいね」


 ユーディットも混ざり、リディアと共に綺麗にしてくれた。

 それから皆で衣服を整えると、


「≪リフレッシュ≫」


 これからの話をする為に、先ずはパメラの気絶を治す。


「ん……凄い。交尾で気持ち良過ぎて気を失うなんて、初めてだ。アレックス、もう一回……」

「いや、落ち着いてくれ。それより、俺たちの住む国と、パメラたちとで交易が行えないかと……」

「そんな話より、さっきのをお願い! もう一回……もう一回だけ!」

「しないって。そもそも、この中でパメラが一番多くしていただろ?」

「それはそうだが……もうウチは、アレックスのアレ無しでは生きていけないんだ! あんなに凄いのを知ってしまったら、もうこれまでの生活には戻れないっ! 責任を取って結婚してくれ! ……ウチら全員と」

「話が飛び過ぎだっ!」


 というか、どちらかと言うと、俺が襲われた側だと思うんだが。


「アレックスさんは、私と結婚するんですっ!」

「私はもうアレックスと結婚したけどねー」

「大丈夫だ。ウチだって逃げられたが夫はいたし、娘が居る。そもそも一夫多妻制だから気にしないぞ。それに、自分で言うのも何だが、兎耳族はスタイルが良い種族だ。そちらは皆小さいが、ウチらは全員大きいぞ」


 そう言って、パメラが自らの胸をたゆんたゆんと揺らすが、それは地雷ではないだろうか。

 ほら……リディアとユーディットが突然俺に抱きつきだし、ツバキは落ち込んだじゃないか。


「とりあえず、いきなり結婚してくれと言われても、唐突過ぎる」

「では、せめてアレックスがここに住むか、ウチらをアレックスの近くに住まわせて欲しい!」

「ここに住むのは無理だ。近くに住むと言うが、環境は全然違うぞ?」

「構わない! さっきも言ったが、ウチは……いや、ウチら全員アレックス無しでは生きられなくなっているからな」


 とりあえず、他の兎耳族の話を聞こうと、俺とユーディットで治癒魔法を使って起こしていくと、皆起きてすぐに抱きついてくる。

 一旦落ち着かせて説明し、意見を聞いてみたのだが、


「あの凄いので毎日……えへへへ。こ、こほん。毎日アレックス様の為に働くので、どうかお側に置いてください」

「私はもうアレックスの子供がお腹にいるもん! わかるもん!」

「は、初めての人と一緒に居たいです」


 誰一人として反対しなかった。

 とはいえ、いきなりこの大人数で移動は無理だと言ったのだが、兎耳族の女性の中にも戦える者が居るし、そもそも獣人なので身体能力が高いと言われ……とりあえず移動する事に。

 というのも、俺たち人間と同じく、兎耳族の女性たちは様々なジョブを授かっており、ノーラと同じ大工や、衣服を作る者に、料理人などが居て、夜の生活以外は極力迷惑を掛けないようにすると……いや、その夜が一番問題なんだけどな。


「しかし、パメラや他の者はエクストラスキルが発動したのに、一部の者で発動しなかったのは何故だろうか」

「エクストラスキル? ……ほう。あの時々光っていたアレか」

「あぁ。彼女と、彼女。それから、こっちの少女は発動しなかったな」

「んー、他の者は光ったんだな? 共通点は……ジョブが他の誰かと被っているくらいか? いやでも、大工のジョブを持っているのは一人か」

「ん!? いや、大工のジョブを持っている者では、既にエクストラスキルが発動済みだから……ジョブか! エクストラスキルの発動条件はジョブだったんだ!」


 確か天使族が来た時は、全員ヴァルキリーというジョブだと言っていて、誰も発動しなかった。

 そうか。このスキルを得るエクストラスキルは、同じジョブでは発動しない……ようやく、このスキルの発動条件が判明した。

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