第204話 発情期のウサ耳たち

 兎耳族の家は靴を脱いで上がり、小さくて低いテーブルを囲み、床に直接座るという様式だ。

 ツバキの故郷と同じ様式らしいのだが……テーブルが低すぎて、今立ち上がると確実にアレが大きくなってしまっている事がバレる。

 初対面かつ、この集落のリーダーだというパメラと話しているのに、俺がこんな状態だという事は、絶対にバレないようにしなければ。


「……こほん。先ずは、罠を壊してしまって悪かった。今は大した量の食料を持っていないが、後程謝罪と親睦の為に、こちらで採れる作物を持って来よう」

「作物……つまり、野菜などがあるの!? た、例えばニンジンとかも……?」

「あぁ、あるぞ。うちで採れる作物は旨いと他の国からも評判なので、期待に応えられるだろう」

「他の国!? というか、さっき言っていた西の壁の上って? あんな凄い壁をどうやって登ったんだ?」

「そっ!? ……それはだな。俺たちの仲間にドワーフの少女たちが居るから、協力してトンネルを掘ってくれた……んだ」


 くっ……マズい! 非常にマズい!

 これは……モニカだな!? どうして、こんな朝からするんだよっ!


「大丈夫か? 何やら顔色が悪そうだが……横になるか?」

「いや、それなら……そうだ! ≪リフレッシュ≫……すまない、もう大丈夫だ」


 状態回復魔法でアレを静めると、暫く互いの情報交換を進め、この集落は五家族の兎耳族が住んで居るだけだという事が分かった。

 主に、罠で動物を捕らえ、森の中にある果物や野草を主食としているらしい。

 だが、そんな話をした直後……また新たな感覚が! しかも、今度は複数人になっている!?

 まさか俺が無理矢理アレを静めたから、モニカが応援を呼んで来たのか!?

 同時に色んな個所を攻められ……ダメだ! 神聖魔法を……状態異常を治さないと!


「アレックス。本当に大丈夫なのか? 我々、兎耳族は家に土足で上がらないから、このまま床で眠っても問題ないぞ?」

「いや、本当に大丈夫だ」

「しかし、ついさっき自ら治癒魔法を使ったばかりだろう。それなのに、この苦しみ様は……えっ!? なるほど、そういう事だったのか」


 しまった! ついにパメラに見られてしまった!

 兎耳族と友好的な関係を築きたかったのに、これでは何を話しても聞いてもらえないだろう。

 どうやって弁明しようかと考えていると、


「ふふ……ウチに欲情してしまって、困っていたのね? どうやって切り出そうかと思っていたけど、手間が省けたわね」


 パメラが妖艶な笑みを浮かべて近付いてくる。

 そして、


「皆ー! 集まってー!」

「パメラ、呼んだ?」

「お姉ちゃん、どうしたの? あっ! 男の人だー!」


 小さな家に兎耳族の女性が集まってきた。

 パメラくらいの……二十歳前後の女性から、フィーネくらいの幼い少女まで、全員で二十人くらいだろうか。

 五家族って言っていた割には多い気がするんだが。


「いやー、食料はまだしも、集落に男が居ないっていうのは、本当に困っていたんだよ。アレックスも、ウチらの事を見て興奮する健康な男性で良かったよ。じゃあ、早速始めようか」

「お、おい。何をする気なんだ!?」

「何……って、もちろんナニに決まっているだろ? ウチらも男が居なくて辛かったけど、最近は下の妹たちが初めて発情期を迎えてしまって、どうしたものかと困っていたんだ」


 なるほど。五家族といっても、姉妹も一緒に住んで居るから二十人も……と、そんな事を考えている内に、パメラが服を脱ぎ捨てた。

 それから、パメラに続いて他の女性たちも……って、全員胸が大きい!

 流石にボルシチ程では無いが、モニカやエリーと同じくらいで、幼い少女でさえフィーネに並ぶ程だ。


「あ……そうだ。アレックス様、今更ですが思い出しました。兎耳族の女性は、皆異様に性欲が強く、男が逃げ出したり、干からびるそうです。まぁアレックス様なら大丈夫でしょうが」

「その通り。最初はちゃんと一家族に一人男が居たんだけど、何故か何処かへ行ってしまってな。最後の一人は毎晩ウチら全員の相手は無理だと言い残して……という訳で、久しぶりの男! いただきまーすっ!」


 いや、ツバキ。そういう大事な話は、もっと早く言ってくれっ!

 唖然としていたリディアが、俺を守るようにして抱きついてきたけど、獣人の身体能力の高さで、簡単に引き剥がされ、俺もズボンが奪われる。


「わぉ……アレックス。貴方のは凄いのね! こんなの初めて見るわよ」

「お姉ちゃん。これが男の人のなんだ……思っていたよりも大きいけど、触ってみても良い?」

「待って。先ずはウチが味見をぉぉぉっ! 何これ、凄いっ!」


 小屋に集まった兎耳族の全員……というか、途中からツバキとリディア、ユーディットも混ざり、大変な事になってしまった。

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