第382話 アレ液の力

 森の中なので村の中から見られてはいないと思うが、女性陣を満足させ、一旦終了となった。

 なったのだが、


「ご主人様ぁ……もっと続けて欲しいですぅ」


 分身を消した後もモニカがねだってくる。

 しかも、凄い量の聖水を垂れ流し……いや、流石に出し過ぎだろ。


「モニカ。今日の活躍には感謝している。だが、やるべき事はちゃんとやろうな」

「ご主人様? どうして突然私の名前を?」

「え? ……あれ? いつの間にモニカはそっちへ……ん? んん!? モニカ……いつの間に分身スキルが使えるようになったんだ?」

「いえ、分身スキルなんて使えませんよ? というか、そちらの女性は誰ですか? ご主人様……私と別の女性を間違えるなんて酷いです!」


 モニカが涙目で訴えてきたので、改めてよく見てみると、聖水を垂れ流して居る方のモニカは……モニカによく似ているけど、ところどころ違うな。


「……って、誰なんだ!? 顔や体格に、声や喋り方までよく似ているんだが」

「ご主人様っ! よく見てくださいっ! そっちの謎の女性は、私のように胸が大きくありませんし、髪の色だって違いますっ!」


 確かに、その通りだな。

 顔はモニカを少し幼くした感じで、体格は一緒。だけど、胸が随分と小さくなっていて、髪の毛が青みがかっている。

 だけど、アレはモニカと殆ど同じ……げふんげふん。


「君は……誰だ? このモニカとよく似ているが」

「私に名前はありません。ただの木です。だけど、この人間族の女性が私にくれた力と、ご主人様が私にかけた濃い魔力で、人の姿になっていました」

「ただの木……って、木が人間の少女になったという事なのか?」

「はい。精霊に名前なんてありませんし、決まった形もありません。ですから、力をくれたこの女性がベースになったのではないかと。あと、こちらの竜人族の幼女の力も少し入っているかと」


 ん? ちょっと待ってくれ。

 今の話からすると、もしかしてこの少女は……


「ま、まさか、ドリュアスなのか!?」

「エルフからそう呼ばれる事もありますね。私は木の精霊。そして、ご主人様の一撃は本当に凄かった。だから……もっとしましょう。あと、竜人族の幼女がくれた水の力が止まらないの。だから、ご主人様ので私のに栓をしてくださいっ!」


 やっぱりかぁぁぁっ!

 牛や猫の式神がボルシチやムギになったように……って、流石に木が俺のアレを食べたりはしないだろう。

 どうしてこうなったんだ!?


「マスター。私以外の女性は、皆マスターの魔力の素を全て取り込めず、溢れ出ています。おそらく、その際に落ちたマスターのが、ドリュアスの木の根から吸収されたのかと」

「わかる。アレックスは沢山出すけど、レヴィアたんの身体は小さいから、全部は無理。早く子供が欲しいから、凄く勿体なく感じる」

「ご主人様ぁぁっ! もう宜しいですよねっ!? 何が起こったかお伝えしましたし、早く私に栓を……お水が止まらないんですぅっ!」


 この流れ出ている水は、レヴィアの力か。

 モニカからは聖水を。レヴィアからは魔力を。そして俺からアレを取り込んで、こうなったと。

 ……いや、それでもこうはならないだろ。


「アレックスさん。このモニカさんに似た女性から、木の精霊の存在を感じます。おそらく、話していた事は本当かと」

「……そうか。リディアが言うのなら本当なのだろうな。えっと、ドリュアス……と呼べば良いのか?」

「いえ、ドリュアスは木の精霊の事を指します。ですので、人間とかエルフといった種族名で呼ばれているようなものなので、何か名前を付けてくれませんか? 先程もお伝えした通り、私に名前は無いのです」


 えぇ……確か、同じ様な感じでソフィにも名前を付けたのだが、命名が俺で良いのか?


「モニカ。何か良い名前はあるか?」

「そうですね……ドロシーなどはいかがでしょうか?」

「良いんじゃないか? ……ドロシーと呼ばせてもらっても良いのか?」


 問いかけると何度も頷いたので、ドロシーと呼ぶことに。

 しかし……どうしたものなのだろうか。

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