第75話 何かをしようとしているモニカと、真似をするフィーネ
……やってしまった。
これまで何とか避けて来ていたのに、ついにエリーと子作りをしてしまった。
いや、もちろんエリーの事が嫌いな訳ではない。
というか、エリーだけではなく、リディアやニナたちも、俺と恋人関係にある訳だし、当然好きだ。
だからこそ……だからこそ、この魔族領という、プリーストの居ない場所での子作りは避けて来たのに。
もしも出産となったら、当然母子共にリスクを負う。
仮に子供が出来たとしても、生まれるまでには時間が掛かるし、その頃には街へ戻っているだろうから、大丈夫とは思うのだが、万が一という事を考えて、これまで最後の一線だけは守って来たのに。
そんな事を考えて居ると、
「アレックス……ありがと」
エリーが凄く嬉しそうに微笑みかけて来た。
む……エリーが幸せそうにしてくれているから、良しとすべきか。
一先ず、エリーと一緒に家へと戻り、リディアが用意してくれていた夕食を食べて、皆でお風呂という、いつもの時間を過ごす。
ただ、ノーラを抱っこして、リディアたちの行動を気付かれないようにするのはいつもの通りなのだが、今日はモニカがその……エリーにした事を求めて来る。
しかも、エリーとリディアとニナが満足しているからか、俺の前にはモニカとフィーネしか居なくて……ダメだっ! そういうのは、フィーネに絶対見せちゃダメなんだっ!
夜が……夜が大変な事になるっ!
とりあえず、モニカとの子作りは避けられたものの、
「≪夢見る少女≫」
フィーネのスキルで皆が眠る。
そして、
「アレックス様。先ほどのお風呂で、モニカさんは何をしようとしていたんですか? アレックス様がノーラさんを抱っこして座っている時、やたらとこれの上に腰掛けようとしていましたけど?」
小さな寝室へ移った所で、フィーネが俺のを舐めながら、困った事を聞いてくる。
サキュバスの本能を抑えるため、飲む分にはいくらでも提供しよう。
だが、フィーネがその先を知ってしまったら、子供が出来てしまうのが明らかだ。
おそらく、俺が眠って朝起きる前に飲んでいるのが、口ではなくて下に……げふんげふん。
とにかく、何とか誤魔化さなければ。
「モニカもノーラみたいに甘えたかったんじゃないのかな? の、ノーラが正面から抱きついていたから、モニカは遠慮して背中を向けていたんだと思うんだ」
「背中を向けて甘える……ですか? こう……かな?」
ベッドに座る俺の上に、風呂場でのモニカを再現すらかのようにフィーネが腰掛けて来た。
……あ、危ない。フィーネは普通にパジャマを着ているし、本当にただ腰掛けただけだった。
フィーネの性知識の無さに助かったと安堵していると、
「あ……これ、ちょっと気持ち良いかもです。何でだろ? 直接くっつけると、もっと気持ち良くなるのかな?」
何故かフィーネがパジャマを脱ぎ、下着姿……というか、柔らかい太ももで俺のを挟んでくる。
「フィーネ。そういうのは、違うぞ。違うんだ」
「そうなんですか? でも、よく分からないんですけど、くすぐったいというか、変な感じがしますよー?」
「じゃあ、それはくすぐったいんだよ。それより、早く寝よう」
「はーい! でも、アレックス様のは飲ませてくださいねー!」
よし、セーフだ。いや、セーフなのか?
毛布の中でモゾモゾしているフィーネに、変な事を教えないようにするには、どうしたものかと思いながら就寝すると、
「あ、アレックス様ぁー」
翌朝、甘い声と物凄く気持ちの良い感触で起こされる。
ゆっくりと視界がクリアになっていくと、全裸のフィーネが視界に映り……大きな胸が上下に揺れ、目がハートマークになっていた。
「お、おいフィーネっ! な、何をしているんだっ!?」
「何……かは分からないんですけど、凄く気持ち良くて、アレックス様のがお腹の中に直接入って来るんですー!」
「……そ、それは何回入って来たんだ?」
「分からないですけどー、もう十回以上――っ!」
突然、フィーネが大きな声と共に、くてっと俺の胸に倒れて来る。
……結局、エリーはフィーネにこの辺りの事を教えられなかったのか。
「フィーネ……一応聞くが、避妊魔法は使っているのか?」
「避妊……魔法? アレックス様、それって何ですか? フィーネは魔法を使えませんよ?」
いや、魔法でもスキルでも良いんだけど、何にせよ使ってないんだな。
……俺はフィーネを守ると決めたのだから……が、頑張ろう。
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