第76話 急ピッチで開拓を進める東エリア

「うふふ、ご主人様ったら。前だけでなく、後ろでもしてくださるなんて……えっ!? まさか夢だったのかっ!? 何故だっ! 何故、私は眠ってしまったんだーっ!」


 フィーネのスキルで皆を起こしてもらったら、モニカが突然叫びだし、


「ご主人様っ! 今から私の中に……」

「却下!」

「エリー殿には……」

「却下ーっ!」


 皆の前でエリーとの事を言おうとしたので、全力で阻止した。

 今はモニカしか知らないが、エリーとしてしまった事をしったら、リディアも……もしかしたらニナまでもが、同じ事を言ってくるかもしれない。

 一先ず、大変な事にならないようにと、モニカを宥めていると、


「……そういえば、ご主人様。フィーネ殿をシェイリー殿の所へお連れしなければならないのでは? 確かウィッチのスキルの説明をしていただくとか」

「あ、確かにそんな話だったな」

「では、私も護衛としてお供いたします。宜しいですよね?」


 シェイリーの所で、エリーにした事と同じ事をしないと、バラしちゃうかも……という、有無を言わさぬ笑顔でモニカがニッコリと見つめてくる。


「わ、わかった。では、また移動する時は、モニカも一緒に頼む」

「はい。畏まりました」


 くっ……これは、かなりマズい流れだ。

 いや、モニカの事が嫌いな訳ではない。問題なのは場所だ。

 シェイリーの社で、アレをしてしまったら、当然シェイリーもすると言いだしそうで怖い。

 実年齢はともかく、シェイリーは見た目が完全に幼女だからな。

 それに、フィーネも一緒に行くのだから、当然フィーネもするだろう。

 既に今朝、勝手にしていたし。

 そうなったら、フィーネが初めてではない事がバレてしまい……いや、それはもういいか。

 フィーネは、サキュバスだという事を隠し通せれば良しとしよう。


 一先ず朝食を終え、午前中の作業の確認をする。

 俺、エリー、モニカ、フィーネは、シェイリーの所へ行き、ウィッチスキルを教えてもらう。

 ノーラとニナとリディアは、昨日に引き続き、人形たちの家作りを。

 メイリンは、人形たちと共に作物の育成と収穫を。


 それぞれの作業を決め、先ずは全員で小屋の近くまで移動すると、おそらく一組目の人形たちだと思われる、アレスとモニーがメイリンへ挨拶しにきた。


「あ、お母さん。おはようございます」

「母上。おはようございます」

「めいりんママー! おはよー!」


 うん。子供ながらに、しっかり挨拶が出来て……って、ちょっと待った! アレスとモニーの間に居る、五歳くらいの小さな女の子は誰だっ!?

 モニカを更に幼くしていて、どことなく俺にも似ている気がするんだが。


「お、お主たち。二人の真ん中に居る、小さな子供は一体何だっ!?」

「えっと、朝起きたら居ました。一先ず、名前が無いと不便なので、勝手ながらアニーと名付けさせていただきました」

「アニーは、モニーママから、うまれたのー!」


 えーっと……まぁ確かに、アレスとモニーは思いっきりしていたからな。

 ただ、メイリンの話では、人形はこういう事を出来ないと言っていた気がするんだが……って、メイリンの様子をチラっと見てみたら、しゃがみ込んで思いっきり頭を抱えていた。

 ……とりあえず、短いスカートでしゃがみ込むのはやめような。下着が丸見えだから。


「は、母からこんな話は聞いていないのだが……いや、そもそも女性の人形が作れた事自体が初めてだから、母が知らぬのも無理はないか」


 暫く何かを考え込んでいたメイリンが、ようやく復活した所で、


「あの、母上。私の所にも女の子が居ました」

「母様。私の所にも幼い女の子が居たのですが」

「ママー! ニアの所にも、ちっちゃい女の子が居たよー! ニアがお世話しても良いよねー?」


 二組目のモカ、三組目のリディ、四組目のニアが、それぞれモニカ、リディア、ニナを更に幼くした女の子を連れて来た。

 モカはともかく、リディとニアまでっ!? という事は、あの後、そういう事をしたという事か!?


「……まぁエリー殿とご主人様が見本を見せていますからね。あんなのを見せつけられたら、したくなるのは仕方ありません」


 気付けば、モニカが俺の耳元で囁きながら、身体を触って来ていた。

 た、確かに小屋の中には人形たちが居たけど……うん。俺とエリーは、どちらも夢中になってしまって、途中から人形たちの存在を忘れていたな。

 というか、一気に人形が十二体で、物凄く幼い子供まで居る。

 これは、食料と住み家を何とかしなければっ!


「シェイリーの所へ行くのは午後からに変更! 全員で人形たちの家を作ったり、畑を拡張するぞっ! メイリンも、人形たちに出来る範囲で加わるように依頼しておいてくれ」

「えぇっ!? ご主人様っ! わ、私は今すぐにでもシェイリー殿の所へ……」

「この子たちを放ってはおけないだろ。頼む」

「えぇぇぇーっ! うぅ……私の身体も、昨日から放ってはおけない状態なのですが」


 一先ずモニカの呟きをスルーして、俺とリディア、アレスたちで東エリアのにある、人形の家を囲う石の壁を大急ぎで広げる。

 その一部をモニカとニナにも手伝ってもらって畑を耕すと、俺とリディアとリディで作物を生やしていき、人形たちで作物を育て、ノーラたちが人形たちの家を作って行く。

 全員で協力して頑張った結果、何とか人形たちの住む家や食料を確保する事が出来た。

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