第374話 大急ぎで移動?

 カスミが急いで来て欲しいと言うので、ネーヴと共に出発しようとしたのだが、


「当然ながら、ウチも行くんよ」

「レヴィアたんもー!」

「アレックス様。私も参ります」


 ヴァレーリエとレヴィアの竜人族コンビに、サクラもついて来ると言う。

 まぁ二人は第一班として行動していたし、レヴィアも竜人族なので大丈夫か。


「わかった。だが、ヴァレーリエには違う事を頼みたいんだ」

「ウチ? ふふっ、アレックスがウチに何をして欲しいのか、素直に言ってみるんよ」

「あぁ。ウラヤンカダの村へ人形たちを何人か連れて行きたいんだ。連れて行く人選はメイリンに頼むから、あの壁の下のトンネルまで連れて来て欲しい」

「えぇー。頼みってそういう事ー!? うぅ……あとで、ご褒美をもらうんよ!」


 とりあえず、ヴァレーリエが人形たちを連れて来てくれるようなので、続いてサクラとソフィに声を掛ける。


「サクラとソフィも、ここの食料の一部を村へ運んでもらいたいんだが、頼めないか?」

「畏まりました。私の任務はソフィ殿とシーサー殿を、無事に連れて行く事ですね?」

「マスター、了解しました」


 という訳で、残ったネーヴとレヴィアを連れ、ウラヤンカダの村を目指す事に。

 ソフィの魔導列車であっという間に東の休憩所へ移動すると、元兎耳族の村まで走り、


「アレックスさん。あの、ちょっと寄って行ってくださいませんか?」

「うむ。そうだぞ、アレックス。昨日の夜は我の所へ分身を送ってくれなかったのじゃ。酷いのじゃ。とりあえず、夜の分をするのじゃ」

「あなたー! ねぇ、お願い! 私にも……ね!」


 リディアとミオ、ラヴィニアが声を掛けてきた。

 だが、悪いが今はそういう状況ではない。

 なので、リディアたちには悪いと思うが、先に進ませてもらおうと思ったのだが、


「アレックスよ。ウラヤンカダの村の事は人形たちから聞いているのじゃ。なので、急ぐ理由は分かる。そこで、せめて分身だけでも置いていって欲しいのじゃ」

「そうだぜ。オレの身体が疼きっぱなしなんだ! 頼むよ!」


 ミオとバルバラに頼みこまれる。

 というか、ミオは事情を知っているのかよ。


「ミオ。俺は詳しい事を聞かされていないのだが、ウラヤンカダの村で何が起こっているんだ?」

「……それは、我の口から聞かぬ方が良いのじゃ。ただ、悪い事ではない……のじゃ。だから分身を……分身をお願いするのじゃ」


 ミオも何やら歯切れが悪いな。

 だが、分身を置いていけばどうなるかは分かっていて、そんな状態で走れないのだが。


「アレックスー。分身を出してあげようよー。えっと、レヴィアたんなら小さくて軽いし、受け止めてあげるからー」

「レヴィアは何を言っているんだ?」

「昨日、モニカに聞いたの。モニカは走りながらアレックスから突かれた事があるって。物凄かったって言っていたし、レヴィアたんも、それをして欲しいのっ!」


 モニカはレヴィアに何を話して居るんだよっ!

 レヴィアは好奇心旺盛なのか、他の女性陣がしている事をしたがる傾向がある上に、精神的な幼さ故になかなか諦めてくれない。

 レヴィアがこう言い出してしまった以上、要望に応えてあげた方が結果的に早いかもしれないな。


「わかった……だが急いでいるから、控え目に頼む。≪分身≫」


 五体の分身が現れ、リディアたちの所へ残してきたのだが、その中の一体――月影魔法で生み出された一体は、俺と同じ動きをする。

 なので、俺がウラヤンカダの村に向かって走る為、この分身も兎耳族の村には残らず走り出す。

 まぁ自動モードで動く四体の分身が早速リディアたちを……って、レヴィアが俺に抱きついて来た。

 この前のモニカと同じ事をするんだよな? モニカより小柄で軽いし、竜人族で体力があるから大丈夫……だと思いたい。

 時間も無いので、早速走り出すと、


「アレックスー! こ、これ……ふわぁぁぁっ!」


 モニカの時と同様に、レヴィアが叫びだす。

 流石に竜人族でも無理か……と思っていたら、


「あ、アレックス。そちらに同じ格好で走る分身がいるだろう? わ、私も良い……だろうか」


 ネーヴもレヴィアと同じ事をねだってきて……叫ぶ事に。

 どうしてネーヴは、レヴィアが失神したのを見たのに、同じ事をしたんだよっ!

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