第3章 スローライフから始まる国造り
第63話 聖水生成スキルの確認
「エリー、モニカ。お疲れ様。後でシェイリーの所へお礼に行かないとな」
シェイリーの協力により、空から訪れた魔物たちを無事に撃破する事が出来た。
それと共に、モニカが新たなエクストラスキルを得たが……聞かなかった事にして、家に向かって歩きだす。
「シェイリーへのお礼だと、やっぱり酒だよな?」
「シェイリー殿への土産ならば、ご主人様が居れば十分かと。あと、シェイリー殿一人では大変なので、私も同行致します」
「え、えっと……シェイリーさんの所へ行くなら、私も連れて行きなさいよね! へ、変な事をしないか、見張らなくちゃいけないし」
いや、モニカもエリーも、目的がおかしくないか?
魔物を倒してくれた事の礼だぞ?
流石に今朝みたいな事になるとは限らな……いや、シェイリーの言葉を考えると、なる可能性もあるか。
「まぁ何にせよ、行くなら明日かな。来たばかりのフィーネを放置するのは可哀想だし」
「そうね。フィーネちゃんは、ウィッチだっけ? 魔法を使うジョブみたいだし、わたしがしっかり鍛えてあげるわ」
「では、私はお掃除の仕方を教える事にしましょう」
モニカの言っているのは、普通の掃除だよなっ!?
エリーが何も突っ込んでいないし、俺が一人で変な事を想像してしまっているだけ……と信じて良いよな!?
そんな事を話しながら家に着くと、
「お兄ちゃーんっ! 無事で良かったーっ!」
真っ先にノーラが飛びついてきた。
「お兄さん。魔物を倒してくれて、ありがとう!」
「アレックスさん。お疲れ様です」
「アレックス様……凄いんですねっ! やっぱりフィーネを助けてくれる騎士様ですっ!」
続いてニナやリディアに、フィーネも抱きついてくる。
「家の中は大丈夫だったか?」
「うんっ! 家の近くに魔物が落ちて来たけど、モニカが倒してくれたし」
「そうか。今回は止めも刺したし、モニカは大活躍だな」
ニナから話を聞いて、モニカを褒めたのだが……あれ? モニカが居ない?
どうしたのだろうかと周囲を見ていると、どこからともなくモニカが戻って来て、
「ご主人様。早速、聖水を生成致しました。どうぞ、ご確認くださいませ」
ノーラが余った木材で作ってくれたカップに入った、謎の液体を差し出してきた。
「も、モニカ。これって……」
「聖水です」
「いや、だから、これは……」
「聖水ですが、なにか?」
いや、モニカが持ってきた聖水って、つまりアレだろ?
並々と注がれているし、モニカが少しスッキリした顔をしているし……いや、これをどうしろと。
「お兄さん。それ、本当に聖水なの? だったら、武器や防具を更に強化出来るよ?」
「ダメだ、ニナっ! うかつに触るんじゃないっ!」
聖水と聞いて、モニカのカップを覗き込もうとしたニナを、間一髪の所で抱き止める。
「何故止めるのですか、ご主人様っ!? 出来立てほやほやで、まだ温かいですよ?」
「何も知らないニナに、変な物を渡そうとするなよ」
「変な物ではないです。聖水です。……まぁ確かに、ご主人様の聖水に比べれば、価値は低いかもしれませんが」
「俺の聖水? 俺はモニカと違って、聖水生成スキルなんて無いぞ?」
「失礼しました。聖水ではなく、性水。いえ、精……」
「ストーップ! よし、俺がモニカの聖水を使おう。それで良いよな?」
とはいえ、俺は聖水を使う程に高位の神聖魔法は使えないんだが。
「ご主人様。私がしたように、聖水を飲んでくださっても……」
「ニナ。鍛治の手伝いをさせてくれ。ニナは、この聖水に一切触れなくて良い。俺が責任を持って扱うからっ!」
「……お兄さん。それ、聖水なんでしょ? そんなに身構えなくても、ニナが普通に使うよ?」
ニナは、この聖水の作り方を知らないからな。
ニナに汚れ仕事をさせる訳にはいかないので、モニカからカップを受け取り……くっ、ほんのり温かいっ!
「じゃあ、ニナ。何か簡単な武器か盾を作ってくれないか? あと、聖水を使うタイミングで声を掛けてくれ」
「そう言われても、鍛治魔法で作るから、直接注いだりしないよ? そこに置いておいてくれればいいよー。あと、昨日お兄さんに作った盾を貸してくれる?」
指示された通りの場所へカップを置き、ベルトにつけていた小型の盾を渡すと、
「≪属性付与≫」
ニナが鍛冶スキルを使用して、盾を強化してくれた。
「うわ……お兄さん、凄いよ。この聖水、かなり品質が良いよ!」
「え? そ、そうなのか?」
「うん。属性付与のスキルは、使用する材料で効果がかなり変わるんだけど、この聖水は上級聖水というか、付与された効果が凄く高いんだよ」
なるほど。つまり、モニカが出すアレは高品質の聖水……う、うーん。いやまぁ、エクストラスキルはシェイリーが神のスキルって言うくらいだからな。
「ふふっ……ご主人様。先程の聖水は、私が水分を採れば容易に生成出来る方の聖水です。次は、ご主人様に協力いただいて生成する方の聖水を試したいのですが」
「……ま、また今度な」
「恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ。あ……もしくは、聖水を作る所をご覧になられますか? いえ、もちろん私も恥ずかしいですが、私にとってはご褒美ですので」
いや、ご褒美の意味が分からないんだが。
「とりあえず、どちらの聖水にせよ色んな事に使えそうですし、保存用の容器が欲しいですね。イメージとしてはガラス瓶ですが」
「ガラス瓶は、タバサが送ってくれる調味料等が入っている物しかないからな。一先ず、木の器に注ぐしかないか」
「じゃあ、ボクが作るよー。どんな形が良いか教えてー」
聖水の保管容器の話になり、モニカとノーラが直接相談する事になったのだが、
「お兄ちゃん。モニカお姉ちゃんの言う保存容器が、尿瓶の形なんだけど、本当にこれで良いのー?」
「……ちょっと大きめのカップみたいなので頼む。出来れば、中身が零れないように蓋が出来ると助かる」
「ご主人様? 何故ですかっ!? 注ぎやすさからすると、私が言った方が絶対に良いのに」
ノーラにモニカの発言をスルーしてもらい、設置場所を家の外にしてもらう事に。
「わ、私だけ屋外でしろと……あ、そういうプレイですねっ!」
よく分からないが、何故かモニカが少し嬉しそうなので、そっとしておく事にした。
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