第7章 飛躍するスローライフ

第234話 大人気なアレックスちゃん

「という訳で、俺はウララドの街で情報収集をしてこようと思う」


 マミとジュリが一旦街へ帰ったので、俺たちも家に戻り、夕食をいただきながら、先程の話を皆に伝える。

 俺としては、ウララドの街から誰かを家に帰してあげられないかを調べるつもりなのだが、


「旦那様っ! それはつまり、その街を陥落させ、私たちの領土にする為の偵察ですねっ!?」

「なるほど。では、守備隊に加えて、攻撃部隊を編成致しましょう!」

「ふふん。そんなまどろっこしい事なんてしなくても、ウチが空から炎のブレスを吐けば一撃なんよ!」


 俺の考えとは全く違うとらえ方をされてしまった。

 とりあえず、侵略なんてしないから。

 というか、メイリンとネーヴは居なかったから仕方がないとしても、ヴァレーリエはその場に居ただろうが。

 一先ず、改めて目的を伝え、俺とツバキの人形で向かう事を告げる。

 あとマミのスキルで、俺が子供の姿になれるようになった事も伝えると、


「えぇっ!? アレックスが六歳児に!? 見たい!」

「私も旦那様が可愛くなった所を見たーい!」

「ボクも見たいよー! お兄ちゃん、お家作るの頑張ったし、見せてよー!」


 エリーとユーディットに、ノーラが見たいと迫って来た。

 ノーラは魔法陣を覆う建物を作ってくれたし、一度だけ……という事で≪変化≫スキルを使用する。


「可愛い! そっかー。昔はアレックスもこんなに小さかったのねー。ふふっ、大きくなったんだね」

「旦那様、可愛いっ! きっと生まれてくる子も、こんな風に可愛いんだろうなー」

「ホント、お兄ちゃん可愛いねー! ……ところで、ユーディット。お兄ちゃんの子供って、どーやったら出来るのー? ボクもお兄ちゃんとの子供が欲しいよー!」


 ……そうだった。ノーラは色々と知らないんだよな。

 ユーディットが困った表情でエリーに目を向け、エリーは……目を逸らしたっ!


「ねー、お兄ちゃん! 子供の作り方を教えてよー!」


 子供の姿だから、俺より遥かに大きなノーラに抱きしめられ、耳元で囁かれる。

 ど、どうしよう。ノーラの胸に顔が押し付けられていて、誰かに助けを求める事も出来ないし、真実を伝えるのも今は未だ早い。


「え、えーっと、結婚……結婚したら子供が出来るんだ」

「そうなんだー! じゃあ、お兄ちゃん。ボクと結婚しよー!」

「ノーラがもう少し大きくなったらな」

「えー? ユーディットよりボクの方が大きいよー?」

「……い、家に一度帰らないとな。ユーディットもヨハンナさん……お母さんに祝福してもらっただろ? ノーラの親御さんに許可を貰わないといけないんだ」

「そっかー! じゃあ、早くリス耳族の森を探さないとねー! ……何ていう街の近くだったかなー? ラ……あれ? 何だっけー?」


 ノーラが俺を放し、何かを考え始めた。

 ようやく解放されたと思ったら、再び誰かに抱きしめられ、顔が柔らかい物に包まれる。


「あ、アレックスがこんなに幼く……うふふ。私のアレックス……」

「この声は……ネーヴ?」

「私の家の教えで、成人男性とは定められた手順を踏まなければ触れ合う事が許されぬのだが、子供となれば話は別。あぁ、やっとこの手でアレックスを抱きしめる事が出来た」


 ネーヴとは未だに文通を続けているのだが、そんな理由があったのか。

 あれはあれで悪くないと思うのだが、何かネーヴの様子がおかしい気がするのだが。


「ふふふ……皆がしている事を、今のアレックスとならば私も出来る。さぁ、愛し合おうではないか」

「ちょ、ちょっと待った! ネーヴ、落ち着いてくれ。ネーヴーっ!」

「なるほど。そういう事だったッスね? ネーヴ様、頑張るッス! 僭越ながら、私も応援するッス!」


 そう言って、ビビアナまで抱きついて来て……いきなり何処を触っているんだよっ!


「か、可愛くないッス! 見た目は可愛いのに、アレが凶悪なままッス!」

「ほほう。ならば、尚更このまま……は、初めてなので宜しく頼む」

「ねぇねぇ、ビビアナー。お兄ちゃんの何が可愛くないのー? こんなに可愛いのにー」


 ノーラは知っちゃダメな事だぁぁぁっ!

 ネーヴとビビアナに、いつの間にかミオやモニカも近くに居たが……皆に寝室へ連れ込まれそうになったので、変化スキルを解除し、元の姿へ。

 とりあえず、改めてウララドに街へ行く事を告げ、皆で食事の後片付けをする事にした。

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