第314話 道が完成した打ち上げ

「不老長寿か……そういえば、一部の人魚族には寿命を延ばす力を持つ者が居るとか居ないとかって話を聞いた事があるな。アレックスが私と末永く過ごす為にも、人魚族と沢山交わって貰う必要があるのか」

「なるほど。アレックスよ。人魚族の棲家を探しに行くのだ! 人魚族全員をアレックスの妻にするのだっ!」


 ネーヴの言葉を聞き、シェイリーがとんでもない事を言い出した。

 いや、流石にそれは無理だろ。


「アレックス様は兎耳族と熊耳族を合わせただけでも、既に五十人程娶っているかと思います。そこへ人魚族が加わっても大差ないですよ。先程のように、甘い時間を人魚族の皆さんに教えて差し上げれば良いのかと」

「マスター。ラヴィニア様に使っていただく水を綺麗にする装置の開発が終わったら、次は船の開発で宜しいでしょうか?」

「待て待て待て。話が飛躍し過ぎだから。船は凄いし、皆を家に連れて帰ってあげる事が出来るようになりそうだが、そもそも何処へ向かえば良いか分からない状態で、海に出るのは危険過ぎるだろ」


 熊耳族の少女もソフィも先にやるべき事があるからな?

 まぁ最優先は皆を家に帰す事なので、海図があるなら船を造るのもありだが、流石に海で迷子は洒落にならないぞ?

 海のプロとも言えるラヴィニアが居れば、何とかなりそうな気もするが。


「一先ず、やるべき事をやろう。先ずはリザードマンの村から、元兎耳族の村への道作りと、ラヴィニアの家? の作成だな」


 シェイリーとネーヴに東へ行く事を伝え、メイリンに頼んで何人かの人形を連れて魔導列車で移動すると、そこからはシーサーに運んでもらって、リザードマンの村へ。

 連れて来た人形たちを道造りの第二班に加え、俺と熊耳族の少女で木材を元兎耳族の村へ。

 五つある家の右端は何にも使っていない空き家のはずなので、そこを広い風呂にする要領で、ラヴィニア用の場所とする事にした。

 それから皆に頑張ってもらい、昼過ぎには道もラヴィニア用の大きな桶も完成したので、再びラヴィニアの待つ湖へ。


「ラヴィニア。念の為にもう一度確認するが、本当に俺たちの住む場所へ来るんだな? 湖も川も無いが」

「はい。私はあなたのお傍に居ます」

「わかった。じゃあ、この移動用の桶に入ってくれ」


 熊耳族の少女が作ってくれた、人が入れるくらいの大きな桶を湖に入れると、そこへラヴィニアが入る。

 後は力尽くで……俺と熊耳族の少女たちとで水とラヴィニアが入った桶を持ち上げ、シーサーの引く荷車へ。

 第二班のメンバーが邪魔な草木を除去し、リディアが土魔法で地面を平らに均して……うん。シーサーが運ぶ桶から、水が殆ど零れる事なく元兎耳族の村へ。

 ラヴィニアが移動用の桶から、大きな桶に移動し……無事に移動完了だ!


「よし。皆、協力ありがとう。あと、これで第二班は任務を完遂したという事で、次は……」

「ご主人様! 第二班の任務が完了した事ですし、ご褒美を賜りたいのと、ラヴィニア殿が新たに来られたので、歓迎の宴を開かせていただければと」


 おい、モニカ。そんな危険な言葉を口にしたら、この後どうなると思っているんだ!


「アレックス! ウチらも頑張ったんよ! ここから南の方角に何も無い事を細かくチェック済みなんよ」

「そうです。アレックス様、シーサー殿の魔導砲で道を作っても問題無いと確認しましたので、我らにもご褒美をお願い致します」

「お兄さん。昨日の本気の分身……凄かったの。今日もお願いしたいなぁー」


 ほら、第一班のヴァレーリエとサクラに、全体統括のカスミが食いついて来た。


「マスター。ラヴィニア様の水を綺麗にする装置は設置済みです。起動の為に魔力をお願い致します」

「私は終わったら食事を作りますが、ラヴィニアさんは野菜中心で良いのでしょうか? あ、もちろん先にご褒美をお願い致しますね」

「私は何でも食べますので、皆様と同じ物をいただければと。ところで、あなた。新居へ越して来た事ですし、早速夫婦の営みをしましょうね」


 ソフィもリディアも……というかラヴィニアも混ざる気満々じゃないか。


「アレックス! 当然、オレにも頼むぜ! 周囲の罠を沢山解除したからな」

「もちろん私もだぞ? 今回、我ら熊耳族の者たちが、大いに貢献したと聞いているからな」

「アレックス様! シェイリー殿の所でした続きを是非……こほん。あはは……ぬ、抜け駆けとかじゃないですよ? 私、頑張って森で木を切って来たんですからー!」


 バルバラとブリジットも混ぜろと言って来て、熊耳族の少女は一人だけズルいと囲まれているが、だったら我々も……と、結局全員が俺の所へ。

 待ちきれないので、この場ですぐに……という事で、俺の分身を含めた全員で激し過ぎる時間を過ごす事になってしまったのだが、


「あ、あなた。ふ、二桁回数出しても全く終わる気配がないのは凄すぎ……~~~~っ!」


 ラヴィニアの桶の水を綺麗にする装置が完成していて本当に良かった。

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