第445話 シャドウ・ウルフの記憶?
「旦那様。出来れば、他のシャドウ・ウルフからも話を聞いてみたいのですが、可能でしょうか?」
「いや、獣人になったシャドウ・ウルフは結衣だけだからな」
そもそも結衣も、魔族を倒してエクストラスキルを得て、こうなった訳で。
誰かのスキルで獣人になった訳ではないんだよな。
メイリンの言葉に、どうしたものかと考えていると、コルネリアが口を開く。
「アレックスさん。結衣ちゃんと、他のシャドウ・ウルフが会話出来たりしないでしょうか?」
「ん? しかし、他のシャドウ・ウルフと言っても……あ、テイムしたシャドウ・ウルフか」
「はい。二体ともアレックスさんに会いたそうにしている気がします」
一先ず西に作ったシャドウ・ウルフの寝床へ行ってみようと思い、衣服を整え……ふと気付く。
ノーラやイネスに、ステラを幼くした人形たちが居た。
「カスミから、各地に妾たちの子を住まわせて欲しいとお願いされましたので、旦那様が眠られている間に、妾のスキルを使用させていただきました」
見れば、ちゃんと番となるように俺の人形も大勢居て……とりあえずイネスの人形を連れて行っても良いだろうか。
是非、各地にイネスの人形をお願いしたい。
ちなみに、コルネリアの人形は居ないのだが、かなり幼いコルネリアを更に幼くするのは……と、メイリンが危惧したらしい。
一先ず、全員着替え終わったので、メイリンとコルネリア、結衣を連れて西へ。
「アレックスさん。ほら、見てください。アレックスさんが来てくれたので、シャドウ・ウルフさんたちがこんなに喜んでいますよ」
俺には怯えているように見えるのだが……まぁビーストテイマーのジョブを授かっているコルネリアが言うのだから、間違いないのだろう。……たぶん。
「結衣。このシャドウ・ウルフと話が出来たりするのか?」
「出来る……こっちの大人しい子が莉子で、こっちの綺麗な顔の子が美月だって」
「お、おぅ。そうか」
大人しい莉子と、綺麗な美月……うん。どっちがどっちなのか、全くわからん。
「何か名前以外で覚えている事はないのかしら?」
「……木と紙で出来た家に住んで居たんだって。あー、そういえば、結衣もそうだったかも」
「なるほど。ますます昔の黒髪の一族の者に思えてしまいますね。……実は妾たちのご先祖様だったりするのかしら?」
「……結衣もそうだけど、莉子も美月も子供を作った事がないって言っているから、それは違うんじゃないかな?」
「いえ、ご先祖様の時代を生きていたのではないかなと……しかし、それにしてもシャドウ・ウルフは一体何なのでしょうか」
メイリンと結衣が話しているけど、シャドウ・ウルフは聖属性以外の攻撃は全て無効で、倒しても掻き消えてしまって何も残らない。
こんなの普通の魔物ではありえないし、シャドウ・ウルフだけ特殊なんだよな。
「旦那様。まだ何とも言えませんが、シャドウ・ウルフは黒髪の一族に関連するかもしれません。可能でしたら、倒さずにテイムしていただけないかと」
「俺からシャドウ・ウルフを倒しに行く事は基本的にないから、それは大丈夫だろう。まぁ襲われたら別だが」
一先ず、シャドウ・ウルフから聞ける事は他に無さそうなので、北へ……玄武の所へ行く方法を考える事に。
だが、竜の姿になったヴァレーリエに乗せて飛んでもらうとか、天使族たちに運んでもらうとか、あまり実現可能そうな話が出てこない。
ただ、その中で出た、スノーウィに召喚魔法で呼んでもらうというのは、ちょっとアリな気もするが。
「場所が分かっておれば、我の魔法陣で行くという手もあるのだがな。聖水もかなり溜まっておるしな」
「なるほど。とりあえず、六合が居るところまで魔法陣を繋げてもらうというのはどうだろうか。よく行き来しそうな気もするんだが」
「六合がいるところか。確かにアリだが……魔法陣は双方向に繋がり、入るだけでここに来れてしまう。そこは繋いで大丈夫な場所なのか?」
「……あー、シーナ国の王都のど真ん中だな。少し不安だな」
シェイリーの魔法陣はとても良いのだが、例のポーションを飲んだ者が押し掛けてくる事があり得るんだよな。
「そうだ。ならば港町の家はどうだ? 街外れにあるし、無関係の者が来る事はほぼ無いぞ?」
「ふむ。アレックスが良いと言うのであれば、そこにしよう。だが、そこに我が魔力を知る者など、魔力的に目印となるような物はあるか?」
「いや……そうだ。今から俺がそこへ行ってこよう。そうだな……そこへ着いたら、俺が何かスキルを使えば分かるか? 例えばこの、フレイムタンとか」
ヴァレーリエからもらった、炎の剣を出すスキルを使うと、シェイリーがこれで良いと言ってくれたので、先ずは六合の所へ戻る事に……いや、モニカは喜んでいないで早く転移スキルを使ってくれよ。
エリーたちのジト目が……ジト目がぁぁぁっ!
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