第775話 セオリツヒメのスキル
翌朝。
目が覚めると、俺の上でシェイリーが眠っていた。
正確には、眠っているように見えるのだが、時折ビクンと身体を震わせている。
……あ、フィーネやテレーゼ、ソフィやナターリエが今も俺の分身の相手をしているからか。
「シェイリー、大丈夫か? 一旦離れた方が……」
「ふぇ? あ、アレックスよ。目覚めたか。……ひ、久々に一晩中し続けて、満足したので教えてやろう。アレックスが新たに得た、体内に秘める強力なスキルは『清祓乃水』だ……っ!」
「清祓乃水?」
「うむ。清流の力で汚れを祓うスキルだ。そうだな。簡単に言うと、水を使った高度な解呪系スキル~~~~っ!」
身体を起こしたシェイリーが背をのけぞらせながら、セオリツヒメから貰ったスキルについて説明してくれた。
とりあえず、シェイリーが大変な事になっていたので、俺の上から下ろして寝かせ、ついでに泡魔法で綺麗にしておいた。
ちなみに、第一魔族領から温泉を目指そうとした分身は、ランランとヴァレーリエにつかまり、未だに二人から交互に……流石にもう解除して良いよな?
ひとまず全ての分身を解除すると、
「マスター。魔力補給が完了し、久々にフルパワーです。モニカ様からお聞きしましたが、何かを倒さなければならないとか。この私の力をお使い下さい」
ソフィがやって来たのだが、ソフィがあの白い光の力を本気で使うと、第二魔族領が崩壊してしまう気がする。
あと、レイスを一掃出来るだろうが、救出対象の白虎も消えてしまいそうなんだよな。
「ソフィの力は第一魔族領の維持のために必要だから、そっちで使って欲しいかな」
「マスターが魔力補給をしてくだされば、私はいつでも戦えるのですが」
「いや、それだと俺が戦えなくなるからな」
ソフィには第一魔族領の維持をお願いし、ぐったりしているモニカを起こす。
「モニカ。改めて第二魔族領へ行こうと思うのだが……大丈夫か?」
「ご、ごひゅじんさまぁ……い、イきます! 私はご主人様と一緒にぃ……」
「えーっと、とりあえず、大丈夫なんだな?」
「ひゃい」
一体何体の分身と居たのか、へろへろになっているモニカを起こし、出発しようとすると、
「お兄さーん! ニナも行くよー!」
「白虎を救出するのに、我に声を掛けないというのは何事なのじゃ」
「アレックス様。私も参りますの」
ニナ、ミオ、シアーシャに、ザシャ、グレイス、レミの西大陸攻略メンバーが来てくれた。
……ただ、いざとなったら聖水を作って貰う事になるモニカと、救出する白虎に一番関係の深いミオが全く寝ていない感じがするのだが、大丈夫なのか?
「ご主人様。何も問題ございません。ソフィ殿ではないですが、今の私はご主人様の愛を沢山受け、力が有り余っておりますので」
「うむ。我も魔力が溢れておるのじゃ。やはりアレックスの子種は効くのじゃ」
「その通りですの。まだ朝ではありますが、今なら私も本来の力を出せる気がいたしますの」
モニカとミオはわかるが、シアーシャまで。
いや、シアーシャはあまり身体が強くないから無理は……いや、違う。
吸血族のシアーシャは夜に強いから、昨晩の間中ずっと俺の分身と一緒に居たのか。
それで、普段は陽が出ている内は辛そうにしているのに、今は割と平然と……あ、そう言いながら、陽の当たる場所は避けているな。
「さて、じゃあ今度こそ白虎を救出に行くか」
「うんっ! ……だけど、お兄さん。とりあえず、服は着て欲しいかなー」
「え!? ……す、すまない。皆、少しだけ待っていてくれ」
俺が眠っている間にシェイリーが何をしていたのかは知らないが、俺自身も身体が大変な事になっていたので、大急ぎで風呂へ入り……いや、フィーネたちは来なくて良いから!
また大変な事になるから!
いつも一緒に来ようとするレヴィアやナターリエがぐったりしている間に出発すべく、急いで身支度を整え、改めて魔法陣へ。
アマゾネスの村で、グレイスと天后の力を借りて、第二魔族領の近くにある湖へ。
さて、今度こそ白虎を救出だっ!
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