第776話 白虎救出?
「≪清祓乃水≫……なるほど。こういうスキルか」
西大陸へ戻って来たが、まずは新たに得たスキルがどのように発動するのか確認しようと、湖で使ってみた。
シェイリーの話では、清流の力で汚れを祓うスキルだと聞いていたが、俺の正面から結構な量の水が流れ、湖へと流れていく。
「ご主人様。これだけの水が出せるなら、どこでも船を出せるのでは?」
「いや、流石は神のスキルというべきなんだろうな。使用すると、少し疲労感がある」
「なぬっ!? 魔力生成機というか、無尽蔵の種馬というか、無限とも言える魔力を持つアレックスが……しかし、乳女の聖水を超える力を感じるから、使用にはそれだけの魔力を要すると言う事か」
いやあの、モニカの意見はともかく、ミオの言葉には変な単語が混じっていた気がするんだが。
とはいえ、シェイリーからもらった超回復と元々のパラディンの魔力量の多さにより、暫く歩いているとその疲労感も消えていった。
ひとまず、連発しなければ大丈夫そうだ。
「アレックス様。それでは、今回は私がレミちゃんとここで待っております。私は元々短剣使いのローグで、今回の戦闘は相性が悪すぎるので」
「そうか……すまないな。グレイス、悪いがレミを頼む」
「お任せください」
前回はザシャが魔族領の外側でレミを見ていてくれたが、今回はグレイスとザシャが交代するようだ。
「レミ。すまないが、大人しく待っていてくれ」
「うんっ! それより、おとん。絶対に帰ってきてや! さっきのあの神様の水……あれは是非とも研究したいんや!」
レミの照れ隠しなのか、それとも本心なのか……いや、後者な気が凄くするが、レミからも帰ってくるように強く言われ、いざ魔族領へ。
先頭を俺とモニカ。真ん中にミオとニナ、後ろをザシャとシアーシャという六人で進んで行く。
俺たちは二回目だが、重い空気にニナが驚く中を歩いて行くと、まずはレイスの群れが現れる。
「ご主人様、聖水は沢山持って来ておりますが……」
「俺は剣に聖水を付与してもらっているから、モニカが使ってくれ。まずは、このまま戦ってみる……≪ホーリー・クロス≫」
イベール国の女王が直々に強化してくれた剣でパラディンの攻撃スキルを使用すると、レイスが一撃で消滅した。
よし。これならモニカの聖水を節約出来るな。
暫く俺とモニカでレイスの群れを倒していると、
「アレックス! 来たのじゃ! 左手に白虎じゃ!」
ミオの声で視線を向けると、更に大量のレイスを引きつれた白虎が姿を現した。
「来たな。皆、気を付けろ! ミオ、皆を結界で護っていてくれ」
「アレックス、何を言っている! もちろん私も戦うぞ!」
「そうですのっ! それに、今の私は力が溢れて、本来の力が使えますのっ! 周囲のレイスは任せてくださいませっ!」
そう言って、シアーシャとザシャがレイスたちを倒していく。
「ご主人様! 支援致しますので、例のスキルを!」
「あぁ。もう少し近付いて……いくぞっ! ≪清祓乃水≫」
俺の正面から大量の水が流れ、白虎を覆い尽くし、水に触れたレイスたちが一瞬で消滅する。
やはり、セオリツヒメのスキルは効果が高いようだ。
そんな中、水が流れ切ると、白虎だけがその場に残っている。
「白虎よ! 我じゃ……ミオじゃ! 分かるか!?」
「ミ……オ? ミオ!? ど、どうしてこんなところに居るアル? それに、私は一体何をしていたアル?」
「おぉ、その変な喋り方は正に白虎なのじゃ! 良かったのじゃ!」
ミオが白虎に駆け寄り、嬉しそうに話し始めた。
どうやら先程のスキルの効果で、白虎は操られていたのが無事に解除されたようだ。
さて、あとは白虎を操っていた者が何処にいるのかを探さないとな。
「ま、待つアル! ミオ、奴は!? 奴はどうなったアル!?」
「奴とは……お主を操っていた者の事か? それならこれから探して倒す事になると思うのじゃ」
「ち、違うアル! 奴は……奴は姿がなく、憑依して身体を乗っ取る魔族アル!」
「えっ!? どういう事なのじゃ!?」
白虎の言葉でミオが驚いた直後、
「ほう。久々に人間の女の中に入ったぞ。ふふふ、これはこれは、中々良い身体をしているではないか」
モニカが変な事を言いながら、自分の胸を揉みしだき始めた。
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