挿話53 困惑するプリーストのステラ
「……という訳で、アレックスさんは、エリーちゃんとモニカさんに、フィーネちゃんの三人全員に手を出していたの! もぉっ!」
タバサさんに呼び出されて冒険者ギルドへ行くと、魔族領へ行ったアレックスさんたちの痴話を聞かされる事になってしまった。
「でね! 更に酷いのが、避妊とか一切していないのっ! 魔族領でずっと過ごすなら、一夫多妻でも好きにすれば良いけど、こっちに戻ってきたら、めちゃくちゃ困る事になるじゃない!」
「そ、そうですね」
「ステラさん……お願い。ちょっとアレックスさんたちの目を覚ましてあげてくれないかしら」
「えぇっ!? わ、私がですかっ!?」
「私からは散々言ったんですけどね。それよりも、元仲間でプリーストであるステラさんが命の大切さについて説いてもらった方が効果があるんじゃないかなーって」
えーっと、命の大切さについては話せるけど、その男女の営みについて話す事なんて出来ないんだけど。
「ちょ、ちょっと仲間と相談させてください」
「あ、そうね。ごめんなさい。ただ、何れ出産の話となる頃には、またステラさんに相談させてもらうと思うけどね」
エリーちゃんとアレックスさんが結ばれたのは良い事だけど、私がこういう話に疎いのよね。
一先ず、ギルドの待合室で待って貰っていたベラさんとグレイスさんの所へ戻り、
「ステラ、お帰りー。またアレックスさんっていう人の話ー?」
「うん。何だか凄い話になっちゃってて……」
一先ずタバサさんから聞いた話を、話せる範囲で説明する。
「へぇー、三人を相手に毎晩……お盛んなんだね」
「流石はS級冒険者。体力が違う」
「体力……って、まさかグレイスは、その、男の人とした事があるの!?」
「ない。けど、三人も相手にするなら疲れそう」
「そうよねー。私もした事ないからわからないけど、多分三人を毎晩満足させられているんだから、そのアレックスさんっていう人は凄いんだよね?」
「……S級だしね」
「アレは、S級を超えている気がするけどねー」
良かった。ベラさんもグレイスさんも、私と一緒で未経験だった。
けど、そのせいか、話がどんどん暴走していく。
「……やっぱり、男は大きさだと思うの! 浅い所じゃなくて、奥が良いのよ! なんていうか、凄い勢いで突かれたいでしょ」
「……持久力。すぐに終わるとイヤ」
「あー、それは分かるかも。あと少しって所で終わられたら、どうすれば良いの!? ってなりそうだし」
「……でも、回復が早ければ可」
「いやー、それは中々居ないんじゃない? 聞いた話でしかないけど、普通は一回で終わっちゃうものなんでしょ?」
「……でもS級の人、一度に三人の相手してる」
「確かに。やっぱS級冒険者って、凄い人が多いのかなー? ステラはどー思う?」
ベラさん、そこで私に振るのっ!?
普段は無口なグレイスさんも、結構喋っているし、興味津々なのは分かるけど……だからといって、私にそんな事を聞かれても分からないわよっ!
「え、えっと、愛があれば良いんじゃないかしら」
「そんなの当たり前だよっ! 愛し合っている上で、プラスアルファとして求める物だよっ!」
「……三人全員と愛し合っていれば、アリ?」
えーっと、ベラさんは理想の男性像みたいな話をしているけど、グレイスさんはアレックスさんの話をしているの?
まさか、グレイスさんはアレックスさんに興味を……と、止めるべき? グレイスさんの為にも、向こうにいるエリーちゃんやフィーネさんの為にも。
グレイスさんが直接言った訳ではないから確証は無いけど、どうすべきかと悩んでいたら、
「お嬢さんたち。そんなにしたいなら、俺たちが相手をしてやるぜ? なんせ、俺たちは体力自慢のジョブ、ファイターだからな。一晩中でも出来るくらいに体力があるぜ!」
「そうそう。いい夢見させてやるぜー」
「ぐへへ……俺は、そっちの巨乳プリーストが良いな」
自称体力自慢の男性が話しかけてきた。
今更だけど私たち、大きな声で結構な内容の話をしちゃっていたわね。
「はぁ!? 刺すわよ!? 鏡を見てから声を掛けなさい」
「……斬る?」
「ベラさんもグレイスさんも、手は出しちゃダメよ。とりあえず……タバサさーん! 変な人が声を掛けて来たんですけどー」
対冒険者には最強の手段、ギルド職員さん召喚……と思ったら、奥からギルドマスターが出てきて、声を掛けてきた男性たちが全力で逃げて行く。
……ご愁傷様です。
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