挿話52 秘密の作戦会議を開く薬師のレイ

「すまない。先に入らせてもらったぞ」

「うむ。良い湯だったのじゃ」

「うぅ……つ、次こそは、私もアレックスと裸のお付き合いをするんだからーっ!」


 アレックスはんがお風呂から出てきて、ミオはんやユーディットはんが続いて出てくる。

 その後、ノーラはん、ニナはんも出てきて、お子様組を除いた、大人の女性のみで風呂や。

 エリーはん、リディアはん、モニカはん、フィーネはん、メイリンはん、サクラはん、そしてウチとソフィはん……いや、ソフィはんは大人の女性というより、お子様組の容姿やけど、アレックスはんと男女の関係ではないらしいので、一旦置いとこ。

 早速、風呂に入ると、


「一先ず、夕食前に話した通りだ。前半の風呂のメンバーを見たか?」

「えぇ。これは由々しき事態ね。まさか、アレックスが……」

「ですが以前より、そういう気配はありましたよ」


 モニカはんの言葉にエリーはんとリディアはんがすぐに応じ、今日の議題……ご主人様はロリコンではないか疑惑に対する緊急会議が始まった。


「しかし、本当にそうなのだろうか。アレックス様は拙者の中にも沢山出してくださるのだが」

「む! わかった! つまりご主人様は、ちっぱい好きという事か?」

「ほほう。モニカはん……それは、拙者に喧嘩を売っているという事でござるな? 買うでござるよ?」


 サクラはんとモニカはんが水中戦を始めかけた所で、


「ねー。何の話なのー? アレックス様がどうしたのー?」


 お風呂で泳いでいたフィーネはんが不思議そうにやってきた。

 フィーネはんは、実年齢で言うとお子様組らしいんやけど、その年齢に似つかわしくない容姿で見た目は大人やから、今回の議題においては、非常に難しい立ち位置や。


「……今話して居るのは、ご主人様がサクラはんのように胸の小さい女性の方が好きなのではないか……がぼがぼがっ! 溺れるわっ!」

「聞き間違いだと思うでござるが、誰の胸が小さいと言ったでござる?」

「ふっ……当然サクラど…………」


 アカン。サクラはんとモニカはんは、一旦放っとこか。


「一先ず、アレックスはんが、実は幼い女の子の方が好きなんちゃうか? っちゅー話や」

「そうなの? でも、アレックス様はフィーネの旦那様だよー? アレも沢山出してくれるもん」

「いや、フィーネはんは見た目が……うん、難しいな。一旦、もう一つの議題に移ってえーか? どっちかっちゅーと、こっちの方が大問題やし」


 もう一つの議題……ウチが見た、アレックスはんと騰蛇との交わり。

 つまり、ショタ好き疑惑や。


「正直言って、それはレイの見間違いじゃない? 流石にアレックスが男の子に手を出すとは思えないもの」

「せやけど、そのロリ……つまり、幼い女の子を男の子の代わりに見立てているなんて可能性はあらへんやろか?」

「それで、ちっぱ……胸のない女の子が好きではないかって事?」


 エリーはんの言葉に無言で頷く。

 ウチの予想は、こうや。

 ホンマは、アレックスはんは男の子が好き。せやけど、ここには居らんから、その代わりとして、まだ成長してなくて、女性らしさの無い幼女が好き。次点として、男性みたいに胸の小さな、ちっぱいが好き……そう考えたら、さっきのお風呂の事とかも、辻褄が合うんやないやろか。

 なんせ、見た目が幼い子だけを連れて、お風呂へ行きはったからな。

 ここに、こんなに綺麗で美人な女性が沢山居るっちゅーのに。


「うーん。申し訳ないですが、私もレイさんの勘違いだと思います。アレックスさんは、ちゃんと私の事を愛してくださいますし」

「リディアさんも、胸は大きく……こほん。な、何でもないわ。何でもないから、ジト目を向けるのをやめてよ。謝るから」


 リディアはんとエリーはんが話していると、


「ふっ……笑止。旦那様が本当にショタ好きだとすれば、とっくにあの可愛らしい私の息子たちに手を出しているはず。だが、そんな事は一度も無いし、そんな素振りすら無いのだ。レイの勘違いであろう」


 ずっと沈黙を保っていたメイリンはんが、突然口を開く。


「人形は手を出したら、すぐにメイリンはんにバレるから……とか?」

「そんな事を言い出したら、一向に話が平行線であろう」

「ほんならミオはんに、もう一度、騰蛇を呼び出してもらうのは……アカンか。何が現れるか分からへんもんな。……男の子に変身出来るスキルとかあったらえーんやけどな」


 何と無しに、ある訳ないと思いながら、そんな事を口にすると、


「ん? 男の子になりたいのー? それなら、フィーネのおまじないスキルで出来るよー! といっても、一時的にだけど」

「な、なんだってーっ! フィーネ殿、そんな事が可能なのかっ!?」

「うん。といっても、シェイリーさんが、おまじないスキルに、そういうのがあるって言っていただけで、詳しい事は聞いていないから、教えてもらわないといけないし、必要な材料とかもありそうだけど」

「おまじないスキル……凄いな。ならば、私が男の子になろう! そして、ご主人様にぶっかけてもら……こほん。私が身を挺して、白黒ハッキリさせようではないか」


 さっきまでサクラはんとじゃれていたモニカはんが、物凄い勢いで食いついてくる。

 とりあえず、男になるスキルを使ってもらうため、何かしら理由を作って、フィーネはんをシェイリーはんの所へ連れて行こう……という事で、第一回の会議が終了した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る