挿話106 第三魔族領で奴隷を管理するダークナイトのローランド
「ローランド……うわぁ。お盛んだねぇ。……まぁそれは置いといて、デドリック様がお呼びだよ。すぐに来いって」
「おぉ、ゴードンちゃん! 一緒に混ざらないか? 俺の天使たちだ。可愛いだろ?」
「ふふ、嫌いじゃないけど、それより今は急いで」
屋敷で七人の美少年たちと愛し合っていると、突然ゴードンちゃんがやって来た。
だが、デドリックとは誰だ?
……あぁ、思い出した。水の四天王か。
俺としてはどうでも良いのだが、ゴードンちゃんが怒られるのはイヤだからな。
「出掛けてくる。後は任せた」
寝室の隅で畏る執事たちに後片付けを任せ、ゴードンちゃんと共に水の四天王の許へ。
「失礼します。ダークナイトのローランドをお連れしました」
「うむ。ローランドよ、首尾はどうだ?」
「男奴隷の管理なら、順調だ。どうやら俺に向いていたらしく、何の問題も無い」
そう言うと、デドリックが満足そうに頷く。
まぁ以前のやり方から何も変えていないからな。
俺の側近というか、七人の天使を選出したくらいか。
「ご苦労。だが、一つ悪い話がある。東の地の奪還に向かわせたレヴィアタンが、消息不明となったのだ。部下に探させているが、死体も見つからず何が起こっているのか分からん。そこで、東の地の調査に向かってもらいたい」
「ん? 既に部下が居るのであれば、その者たちに調べさせれば良いのではないか?」
「我が部下は水棲の者が大半だ。短時間ならともかく、時間を掛けて地上を調査するという事には向いておらぬのだ」
そういう事か。
こいつの部下は水系の魔物で、レヴィアタンという奴も、マーメイドを操っていたようだしな。
「男奴隷の管理はどうするのだ?」
「お前の代わりとなる者を選出するか、信頼に足る奴隷を東の地に派遣しても良い。あと、人間族が海を越えられぬ事は分かっておる。ここへ攻めて来て返り討ちにした勇者たちが乗って来た船があるはずだから、それを使え」
「わかった。奴隷の管理者をころころ変えぬ方が良いだろうから、何人かを向かわせよう」
「うむ。尚、今回の事を我は重要視している。東エリアで女奴隷を管理しているヴォジャノーイと協力して、確実にレヴィアタンの情報を得るのだ」
ふむ。とりあえず、東エリアに行けばよいのか。
ゴードンちゃんに迷惑が掛からぬよう、デドリックの指示に従い、ヴォジャノーイという奴へ会う為に東へ。
暫く進むと、村のような物があり、そこで半裸の女を見つけた。
「え……男!? に、逃げなきゃ! た、大変よっ! 男が……男が来たわっ!」
「えっ!? もうそんな時期なのっ!? いやっ! 助けてっ!」
何故だ? 俺が何かした訳でもなく、ただ歩いて来ただけで逃げられるとは、どういう事だ!?
……殺されたいのか?
「ローランド、ダメだよ。というか、引継ぎの時にレヴィアタン様が言ってたでしょ。人間の奴隷たちを繁殖させるため、定期的に男奴隷と女奴隷を交わらせるって。人間の男が来たから、繁殖の時期だと思われたんじゃないの?」
言われてみれば、そんな事を言っていた気もするな。
興味が無くて、殆ど聞いていなかったが。
それから女共に逃げられながらも、ゴードンちゃんの案内で小さな池に着いた。
「ローランド。ここだよ。この池にヴォジャノーイ様が居るはずさ」
「……ヴォジャノーイとやら。デドリックから協力するように言われて来たのだが」
池に向かってそう言うと、中から何かが……大きな蛙が現れたのだが、その蛙が突然男に姿を変える。
「ヴォジャノーイだ。レヴィアタンの件は聞いている。船はこちらで用意しておこう。レヴィアタン捜索にはワシが直接向かうから、活きのよい人間の男を二十人程用意してくれ」
「それは構わないが、二十人も要るのか?」
「流石に東の大陸は遠い。レヴィアタン程に身体が大きければ泳いで行くが、流石にワシが泳いで行くのは無理だ。人間族の船を使う。男共には、その船を漕いでもらう」
漕いで……って、手漕ぎの船なのか!?
一体、いつの時代の船なんだ?
とはいえ、俺は行きたくないし、こいつが行ってくれるのであれば、奴隷くらい幾らでも提供しよう。
俺は自分の管理地へ戻り、早速適当な男を選び、派遣する事にした。
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