第10章 旅立つスローライフ
第383話 お昼ご飯の時間
木の精霊であるドロシーが人の姿となった。
それから、この村で一緒に暮らす仲間となったのだが、
「ご主人様ぁ。ドロシーは、早くご主人様のアレが欲しいですぅー」
「とりあえず、ドロシーは服を着ようか」
「えぇー。植物は服なんて着ませんよー?」
モニカに似た容姿なのに、全裸で過ごす為、物凄く困る。
「ご主人様。私もご主人様のが欲しいですー!」
「いや、モニカがドロシーの真似するなよ」
「違いますっ! 私は以前からお願いしていますっ!」
「だからと言って、全裸になるなっ!」
二人の変態……こほん。露出の激しい二人というか、ドロシーに服を着せようとしていると、昼食が出来たとメイドさんが呼びに来た。
「アレックス様。昼食のご用意が……あ、お取込み中でしたか。では、午後からは私たちにもお願い致しますね……わーい! 午後からはアレックス様に愛してもらえるーっ!」
「いや、何をだよっ! というか、いろいろと誤解だっ! お、おいっ!」
「アレックスー! メイドさんとか、その精霊ばっかりズルい! レヴィアたんにもー!」
メイドさんが盛大な勘違いをしながら部屋を出ていき、レヴィアが抱きついてくる。
一方でドロシーも抱きついてくるものの、断固として服は着てくれない。
「アレックスさん。食事が冷めてしまいますので……」
「そ、そうだな。せっかく作ってくれた者に悪いよな」
料理好きのリディアの言葉で、ドロシーとモニカの事は一旦諦めて食堂へ。
モニカが全裸のまま食卓に着き、メイドさんたちを騒めかせると、
「ご主人様ぁ! どうぞ」
「……ドロシーは何のつもりなんだ?」
「何って、もちろん椅子ですぅ。ドロシーは木ですから、じっとしている事は得意なのですぅ! ……という訳で、私の上に座ってくださぁい! さぁ早くぅ」
ヤバい。ドロシーが全裸で四つん這いになり、その上に座れと行ってくる。
……俺の横の席で、尻を向けられているリディアが頭を抱えてしまったんだが。
あと、ナズナは何を感心しているんだ? はっきり言うが、俺はドロシーの上に座らないし、真似をする必要もないからな?
「アレックスー! レヴィアたんの椅子に座るといいよー!」
「あ、あぁ。すまん。だが、レヴィアはどうするんだ?」
「もちろんアレックスの上に座るもーん!」
そう言って、レヴィアが俺の太ももの上に腰掛ける。
まぁレヴィアなら小さいから良いか。
「むー! ご主人様ぁ。ドロシーにも座ってくださいよぉー!」
「どうして、お尻を向けて迫ってくるんだよっ! 尻を振るなっ! ……モニカ、何とかしてくれ」
「分かりました。私が座りましょう」
それはそれで、どうなんだ? とも思ったが、一先ず任せてみると、ドロシーを跨ぐようにしてモニカが座り……脚を開くなっ!
「ご主人様、お願い致しますー!」
「ご主人様ぁ、ドロシーにもお願いしますー!」
全裸の二人が騒ぎ出し……
「モニカさん……料理が冷めてしまうので、先に食べてください。ドロシーさん……少しはマナーというものを覚えましょうか」
リディアがキレたぁぁぁっ!
ヤバい。いつもの目が笑っていない笑みではなく、微笑すら浮かべていないのだが。
俺の上に座ったレヴィアが小さく震えながら、俺の胸に顔を埋め、ドロシーも凍り付いたように動きを止めて、尻を振らなくなった。
だが、そのリディアに背を向けているモニカは、リディアの様子に気付いていないようで、くぱぁ……って、そんな事をしている場合ではないのだが。
「ご主人様ー! 早くお願いしますぅー! どうか、ここへ……」
「モニカさん……料理を作ってくれた方にも、食材にも失礼ですからね?」
「ん? あ、あれ? ご主人様? 顔が引きつっていますよ? ヴァレーリエ殿やミオ殿も様子が……いつの間にか部屋に居たはずのメイドさんたちが全員居なくなっているし。一体何が……ひぃっ!?」
メイドさんたちは早々に部屋から逃げ、ナズナとネーヴはリディアの背中側だからか、一切こちらを見ないようにして料理を食べており……うん。平然としているのはソフィだけか。
「ちょ、リディア殿……リディア殿!? リディア殿ぉぉぉっ!」
その……料理は作ってくれた人に感謝して食べないといけないよな。
あと、この昼食以降、ドロシーが服を着てくれるようになった。
尊い犠牲はあったものの……良かった。
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