第800話 困惑するモニカ

「アレックス様ぁぁぁっ!」

「あなた、ズルいわっ! そういう事をするなら、もっと早く言ってくださいな」

「アレックス様っ! 私たちにもお恵みぉぉぉっ!」


 全裸になったヴィクトリアが迫って来て、ラヴィニアと人魚族の女性たちが大勢押しかける。


「……アレックス。レヴィアたん、ここまで頑張った。ご褒美」

「アレックス様ぁぁぁっ! ダークエルフの人口増加にご協力お願いしまぁーっす!」

「父上。今度こそ私も混ぜて下さいっ!」


 レヴィアやフョークラたちも迫って来て……し、仕方ない。


「≪分身≫……≪閉鎖≫」

「久しぶりのアレックス様よぉぉぉっ!」

「父上っ! この結界はやめてくださぁぁぁいっ!」


 分身スキルを使用し、人魚族の女性たちが喜ぶ中、モニーはしっかり結界を張らせてもらった。

 ただ出来れば、目にする事すら避けさせたくて、ザシャが居れば闇も纏ってもらう所なのだが。


「あ、アレックス殿。また私に変なものを飲ませようと言うのか!?」

「えへへ、流石はアレックスだよねー! いただきまーす!」

「アレックス様ぁぁぁっ! おほぉぉぉっ! こ、ここまで来た時のように、また走って下さ~~~~っ!」


 モニカが何か言っていた気がしなくもないのだが、トゥーリアが俺の所へ来て、ヴィクトリアが分身と共に外へ出て行った。

 まぁこの小部屋は狭すぎるからな。

 人魚族たちも、分身を連れて水路から外へ行っているし。

 ……って、この狭い場所にトゥーリアとルクレツィアの二人が居るのはマズくないか!? 確か催淫効果があるんだろ!?


「くっ! 何だ!? 身体の奥が……熱い! アレックス殿、私に何を……」

「えへへー。お兄さん。大好きだよーっ!」

「ニナまで……む、無理はするんじゃないぞ?」


 ニナが分身を一体確保し、グレイスもそれに続く。


「うぅ。アレックス殿。こういう事は、人前ですべきでは……」

「アレックスー! マリも、皆がしているそれ、やってみたーい!」

「マリーナ!? だ、ダメだぁぁぁ! ≪閉鎖≫」


 慌ててマリーナに閉鎖スキルを使ったけど、触手を使った高速移動で、既に分身の一体に密着している。

 だが、モニーに使った結界とは違い、殆ど身動き出来ない程に結界を狭めたので、最悪の事態は避ける事が出来た。

 ただ、アレを飲まれてしまってはいるが。


「あ、あのような幼い子まで……あ、アレックス殿。いやしかし、私は……」

「アレックス様ーっ! たまにはプルムも直接欲しいよー! という訳で、いただきまーす!」

「ご主人様ぁ! 結衣にもお願い致します!」


 プルムと結衣も、それぞれ分身を確保していった。

 ここが行き止まりで、水路も細かったおかげかもな。

 そうでなければ、大勢の人魚族たちに分身を連れて行かれ、残っていないだろうし。


「うぅぅ、アレックス殿……」

「まったく……アレックスったら。河に強大な生命力と魔力を流してはいけないと言っているのに。ひとまず、河ではなく私に直接注いでもらいますからね」


 今のは……セオリツヒメか!? ただ、今までと違って威圧感のある魔力ではないような気もしたが。


「くっ! こんなのを見せつけるなんて! アレックス殿! 私にも……」

「セオリツヒメ。こんな状況で悪いが、一つ教えて欲しい事があるんだ」

「んっ! あ、アレックス……ど、どうしたの? わ、私なら子供は三人くらいが……」


 いや、セオリツヒメは何の話をしているんだ?

 それよりも、モニカの状態について教えて欲しいのだが。

 とはいえ、今の状態でセオリツヒメが話を聞いてくれる気がしないというか、聞いた所でしっかり考えられない気がする。

 つまり、先ずはセオリツヒメを満足させる必要があるのか。


「あ、アレックス殿? 私も……」

「セオリツヒメ! 今から分身を本気モードにする! その後に、セオリツヒメの力について教えてもらいたい!」

「アレックスが私の事を知りたいの? もう全てを知っているくせに……いいわ。でも、その前に私を満足させてねっ!」


 セオリツヒメが挑発するような表情を浮かべ、俺の分身二体を抱きしめる。

 二対一か。臨む所だ。

 一刻も早くセオリツヒメを満足させ、モニカを元に戻すんだっ!


「うぅ……アレックス殿。どうして……はっ! 何故だ? 何故私は、放置され、焦らされている事を、少し喜んでいるんだ!?」

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