第812話 第二魔族領のお仕事

「ふわぁー! アレックス様は凄いニャ! こんなの初めてニャー!」

「ふむ。相変わらずアレックスは凄いアル。この人数を全員満足させたアル」

「おとんのが沢山手に入ったわー。これでまた色々作るなー!」


 分身を出し、大勢のスダマたちや白虎を満足させ、レミもバケツが満杯になって満足そうにしている。


「父上。私はいつになったら……」

「モニーはダメだってば」

「結衣殿も、あんなに幸せそうにしているのに……」


 この中で唯一モニーだけが不満を口にしているが、こればっかりは仕方がない。

 ひとまず、もう十分だろうと、別の場所に居るミオたちのところの分身を含めて解除しておいた。


「アレックス様。生前では知らなかった、素晴らしい体験をありがとうニャ」

「えーっと、幸せそうでなによりだ」

「これで、私たちも逝けそうニャ……あれ? あんなにイッたのに、逝けないニャ。まだ足りないニャ?」


 スダマたちが不思議そうに小首を傾げながら、チラチラ俺を見てくる。

 いや、今日はもうしないからな?


「ふむ。スダマたちはアレックスの人形とはいえ、身体をえたアル。逝く必要がなくなったのではないかと思うアル。それに、アレックスのを知ってしまったアル。逆に未練になるアル」

「確かに白虎様の言う通りニャ。逝った後に、さっきの感覚がもう味わえないなんて、絶対にイヤニャ!」

「良し。私の力で、この辺りにも家を作るアル。スダマたちは、ここで暮らすアル。あと、アレックスは定期的にここへ来るアル。スダマたちは皆、元ドワーフアル。きっと様々な物が作れるアル」

「アレックス様にご奉仕出来るなら、何でも作るニャ! 皆、武器だったり防具だったり細工だったり、いろいろな物が作れるニャ!」

「うむ! 材料は金を司る私が提供するアル! アレックスがアレを注いでくれれば、魔力が充実するから、いろいろ出せるアル! 手始めに……これでどうアル?」


 そう言って、白虎が大きな石を生み出した。

 俺にはこの石が何かわからないのだが、スダマたちが慌てふためきだす。


「こ、これは、まさかアダマンタイト……ニャ?」

「その通りアル! アレックスがもっとしてくれれば、他の鉱石も含めて、いろいろ出せるアル」

「ふゎー! 流石は白虎様とアレックス様ニャ! 神話級の鉱石がサラッと出てきたニャ!」

「ふっふーん。私は金を司るアル。これくらい朝飯前アル。とはいえ、今は力を失っているアル。アレックスにアレを注いで貰わないと、流石にこのクラスの鉱石は出せないアル。でも、アレックスが毎日来てくれたら、毎日鉱石が出せるアル」


 そう言って、白虎がチラッチラッとこっちをみてくる。

 いや、元魔族領だった場所は、早々に復興してもらいたいし、鍛治が出来る方がスダマたちにも良いのだとは思う。

 とはいえ、流石に毎日は難しいのだが。


「わぁー! こんなに凄い鉱石があれば、きっと凄い武器や防具が作れるニャ! アレックス様や、このドワーフの国も、きっと喜ぶニャ」

「アレックス様が毎日来てくれたら、沢山装備を作って、より安全になると思うニャ」

「装備品に限らず、軽くて頑丈だから、きっと色々なものに応用出来ると思うニャ。欲しがる者は沢山いると思うニャ」


 白虎だけでなく、スダマたちも色んな事を呟きながら、チラチラ俺を見てくる。

 確かに、仲間の安全性がより高まるのは有難い。

 とはいえ、毎日というのはな。


「おとん。おかんに聞いたら、アダマンタイトは鉄よりも安定した金属やから、その鉱石で作った調薬器具があれば、より薬の効能が上がるってー!」

「アレックス。沢山需要があるアル。沢山私に注ぐと、皆幸せアル」

「それから、メイリンおかん経由で聞いてんけど、ソフィはんがアダマンタイトを是非譲って欲しいって言うてるでー。それがあれば、凄い魔導装置が作れるんやってー」

「ほら、アレックス。今から、もう一回するアル! 皆、アレックスのを欲しがっているアル」


 いや、欲しがっているのは、俺じゃなくて白虎が出す鉱石なんだが。


「とりあえず、なるべく来るようにするよ」

「絶対アル! 私は結構長い間待ったアル! 今までしてない分、沢山するアル!」

「白虎様! アレックス様が来やすいように、トロッコを延伸するニャ! 何なら、他の移動手段も考えるニャ!」


 白虎とスダマたちがグイグイ迫ってくるが、イベールの女王を送らなければならないし、今日の所は一旦終了とした。

 ……と、とりあえず、色々と検討しようか。

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