第811話 レミの秘薬の効果

「おとん。見て見てー! あの凄い水と、おとんの凄い生命力があるアレを調合したら、こうなってん」

「えっと、もしかして、この少女たちは……」

「そう! 元々レイスやったんやけど、スダマっていう地霊? になってんてー!」


 レミに連れられて行った先には、元レイスだったという少女が沢山居た。

 敵意や害意は無さそうで、邪悪な感じもしないが……地霊か。霊という割には、半透明のレイスとは違って、割と姿がはっきりしているな。


「レミ。何だか、こっちを見ている気がするんだが」

「元はおとんのアレやからねー。気になるんとちゃうかなー?」

「少しずつ集まって来ているんだが」

「きっと仲良くなりたいんだよー! ただ、悪い霊ではないんだけど、喋れないんだよねー」


 慕ってくれている……という事なのか?

 地面に降りたレミが逃げたりしておらず、俺も害意を感じないので、ちょっと怯えるモニーを抱きかかえたままでいると、スダマの一体が俺に触れ……手が貫通した。

 ふむ。姿ははっきりしているものの、霊体だから触れられないのか。


「あれ? 何となくやけど、ガッカリしてるっぽい?」

「そうみたいアル。ここはアレックスの力を借りるアル」

「ん? 白虎? いつの間に来たんだ?」


 レミと一緒にスダマを見ていると、いつの間にか白虎が来ていた。


「アレックスの魔力を感じたから来たアル。それより、あのアレックスの人形を出すスキルを使うアル」

「まさか、ゲーアハルトのように、俺の人形の中にスダマを宿らせるのか?」

「その通りだけど、あんな奴とは違うアル! この子たちは、ドワーフの魂が変化したものアル。悪意なども無いし、可能であれば、身体を与えてあげたいアル」


 そういえば、イベールの王女もそんな事を言っていた気がするな。

 亡くなったドワーフが、白虎の側に墓を作って欲しいと願ったとかって。


「そういう事なら、わかった。……≪偽造≫」


 スダマは十体以上いるが、とりあえず一体だけ人形を作りだしてみた。

 すると、先程俺に触れて悲しそうにしていたスダマが、俺の人形の中へ。

 俺の人形が何故か少しずつ縮んでいき……少女の姿に変わる。


「わぁ! 動いたニャ! 凄いニャ! しかも思い描いていた姿な上に、喋れるニャ!」

「え? あれ? 白虎……スダマは元ドワーフだと言っていなかったか? 頭に猫耳が生えているんだが」

「うーん。不思議アル。魔力は確かにドワーフの魔力アル。どうして猫耳が生えているアル?」


 白虎が猫耳のスダマに尋ねると、


「私たちはドワーフニャ。そして、白虎様を崇めているニャ! せっかくなら、白虎様のお姿に近付きたいと思ったら、猫耳が生えたニャ! ありがたいスキルニャ!」

「……崇めてくれるの嬉しいアル。けど、私はそんな話し方じゃないアル!」

「私の生前の頃の白虎様は、こんな話し方だったニャ。それを真似ているだけニャ」

「そんな、クネクネしてないし、語尾も違うアル! 止めるアルー!」


 昔の白虎に似せたのか。

 スダマの本来の姿に寄せられるという事は、ゲーアハルトではなくナターリエみたいな状態のようだな。


「アレックス様。我々は言葉を交わす事は出来ませんでしたが、レミちゃんと白虎様から貴方様の事は聞いていましたニャ! そして、レイスから自分の意思で動けるスダマになれたのも、貴方様のお力だと聞いてありますニャ! どうか、他の者にも身体を与えて欲しいニャ!」

「俺の力というより、レミの力なんだが……とりあえず人形は人数分出すよ」

「ありがとうございますニャー!」


 猫耳のスダマに礼を言われながら、偽造スキルを使いまくり、何れも猫耳の少女に変わっていく。

 まぁドワーフの女性自体が小柄だし、白虎も小柄だからな。

 皆、成人だと思うが、子供だらけに見えてしまうな。


「よし。これで最後……だな?」

「はいですニャ! アレックス様! ありがとうございますニャ! ……という訳で、今の私たちに出来るお礼をするニャ!」

「って、何を……」

「もちろん、お礼は身体で払うニャー!」


 いや、おかしいから。

 あと、白虎とモニーも普通に混ざろうとしないでくれ。

 レミは……どうして既にバケツを準備ずみなんだぁぁぁっ!

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