第813話 怒りの王女
「じゃあ、俺たちはそろそろ行くよ」
「アレックス様! ご依頼いただいた新しい盾をしっかり作っておくニャ! だから、明日も……何なら、今晩も来て欲しいニャ!」
「うむ。アレックスが私に注げば注ぐ程、皆が幸せになるアル。あ、ミオが来ていると聞いたから、そこまで行くアル」
スダマたちに見送られ、白虎とレミ、モニーの三人と共にミオたちのところへ戻る。
ちなみに、白虎が出したアダマンタイトという凄い金属をどうするか聞かれたので、盾を作ってもらう事にした。
ニナがなおしてくれたとはいえ、白虎の攻撃で壊れてしまったし、パラディンである俺にとって非常に重要だからな。
ただ、普通の鉱物ではない為、加工に時間を要するらしいが。
「ミオの気配がするアル」
「ウチが使わせてもろてる小屋で、おとんの分身たちと仲良くしてたハズやでー」
「なるほど。これからアレックスには毎日来てもらわないと困るし、もっと家を増やすアル」
いや、毎日来るとは言っていないんだが。
ただ、白虎曰く、普通の鉄なんかを出す分には、そこまで力を必要としないらしいし、まぁいいか。
「むっ……アレックスよ。少々分身を消すのが早いのじゃ」
「マリはあれくらいでも良いよー! 幸せだもん!」
「……ひぐっ! あ、アレックスの……凄すぎ」
小屋に入ると、早々にミオが口を尖らせ、マリーナは嬉しそうに抱きついてきて……イベールの王女は大の字になってピクピクしていた。
とりあえず、無理しないでもらいたい所だ。
「ほほう。白虎の力が少し回復しておるのじゃ。アレックスよ。我らがおらぬ所で、やる事をやっておるではないか」
「やっぱりアレックスは凄いアル。けど、あの大人数を相手にした割に、元気過ぎるアル」
「アレックスはシェイリー……青龍から、超回復スキルを得ておるのじゃ」
どういう事? と白虎が不思議そうにしているが、そういえば色々あり過ぎて白虎から得たスキルの事をすっかり忘れていた。
何処かでシェイリーの所へ行って、スキルを見てもらわないとな。
「……という訳で、白虎から何かしらのスキルを授かっていると思うんだ」
「なるほどアル。という事は、金に関するスキルか、気に関するスキルと思うアル」
「気? 気っていうのは?」
「んー、説明が難しいアル。魔力とはまた違う系統の力アル。男性が修得すると、いつまでもアレが元気になるって聞いたアル」
とりあえず、魔法とは違う力がある……くらいの感じかな?
まぁエクストラスキルだとか、種族ごとの色んな力だとか、まだまだ俺の知らない事は多いな。
それから、ミオと白虎が情報交換を。レミは先程のバケツの中身を大量の小瓶に移し替え……マリーナとモニーが暇そうなので、遊んであげていると、イベールの王女が立ち上がる。
「す、すまない。まだ腰がガクガクしているが、回復したようだ。アレックスのは凄いのだが、体力も必要としそうだな」
「短時間とはいえ、父上と一対一で過ごしたのですから、仕方のない事かと。気絶する人も多数いますし、昼よりも夜をお勧めします」
「なるほど。夜なら、そのまま就寝……いや、これを一晩中というのも一度味わってみたい。アレックスよ。今晩イベールの私の部屋へ来るのだ」
王女が無茶苦茶言ってくるが、そんな事をしたら投獄されそうなのだが。
「いや、これから王女を誘拐しようとした者たちの所へ行き、攫われたドワーフたちを助けようと思っているんだ」
「な、何っ!? どうしてそれを早く言わぬのだっ! 何か我らが支援出来る事はないか!? ドワーフの誘拐事件は我らの重大な課題なのだ!」
「いや、何度か話したような……」
「奴らはどうやっているのかは分からぬが、警備を掻い潜って私の寝室まで来るような者たちだ! 王城へ忍び込めるのだから、国民が狙われればひとたまりもない! 国民の為、私が寝室でアレックスと安心して夜を過ごす為にも、是非潰してもらいたい!」
王女が途中までは良い事を言っていたのだが、最後が……とはいえ、警備をしていない訳ではなく、何故か警備を無効化出来るのか。
何か特殊な力があるのかもしれないし、気を抜かないようにしないとな。
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