第749話 いつものアレックス
「あ、アレックスちゃん……素敵。でも、ママはもうダメ……」
「子供なのに……ううん。子供だから? 体力が無尽蔵なのね……」
「グレイズ殿もガブリエラ殿もまだまだだな。ご主人様が本来の姿であれば、この程度の訳がないというのに」
グレイスとガブリエラが気を失ったところで、何故かモニカが胸を張る。
いやあの、ニナを故郷へ帰してあげたいのだが……
「お兄さん。えへへー、ニナより小さな姿だから変な感じー」
「そうねー。私たちよりも幼いのに、なんて立派なんでしょう……はぅっ!」
「どうでも良いけど、うちのお店でこんな事は……こ、今回限りですからね~~~~っ!」
って、ニナも普通に混ざっているのか。
……いやいや、待った! ニナが三人居るんだが! いや、違うか。ニナに似た、同じ背丈のドワーフの女性が二人混ざっている!?
「み、ミオ……結界を張っていると言っていなかったか?」
「張っておるの……じゃ。あ……遮音の結界は張っておったのじゃが、隔離の結界を張るのを忘れていたのじゃ」
「それはつまり、音こそ聞こえないものの、普通に入って来られるという事か!?」
「はっはっは。そういう事なのじゃ。ついでに言うと、匂いも流れ出ていくから、アレックスのアレの香りに誘われて、カフェの客と店員が誘われて来たのじゃろう。アレックスのアレの香りは、濃厚で芳醇じゃからな」
えぇ……とりあえず、今すぐ分身を消さなければと思ったのだが、それを察したミオから待ったが掛かった。
「アレックスよ。このまま中途半端に終わらせると、投獄されかねないのじゃ」
「えぇっ!?」
「ここはしっかり満足させておくべきなのじゃ。子供の姿でアレがいつもと同じ訳ではないのじゃから、こんな状態で止めてはダメなのじゃ!」
これはミオが満足したいだけ……なのか?
それとも、本当に? だが、万が一にも投獄されてしまうという事になってしまえば、ニナの故郷も白虎の救出も、何もかもが出来なくなってしまう。
「くっ……ならば、分身を元の姿に戻すと店の天井などを壊しかねないから、俺だけでも本来の姿に戻って、本気を出すしかないのか」
「え? お兄さん? 今はニナが……はぅんっ! いきなり大人の姿に戻ったから……お兄さん。待って! 店員さんたちと代わるからぁ」
寝転ぶ俺の上に居るニナが、目を白黒させながら他のドワーフの女性を呼ぶと、ゆっくりとアレを抜く。
「えっ……人間族の大人って、こんなに!? どうしてこれが入るの!?」
「でも、この子に入るという事は、私だって……うひぁぁぁぁっ! こ、これが人間族!」
「わ、私もっ! 私も人間族の本気を味わいたいわっ!」
それから、小柄なドワーフの女性たちを順番に満足させていき……気付いた時には、ドワーフ族の女性の数が凄い事になっていた。
一体、どうなっているのか。
最初は二人くらいしか居なかったはずなのに、十五人程のドワーフの女性が眠っているのだが。
「あっ! 我とした事が、しまったのじゃ。よく考えたら、ここは地上ではなく、地下か。アレックスのアレの香りが消える事なくカフェから外に出て、大通りに居る者たちを引き寄せ、ホイホイここまでやって来てしまうのか」
「なるほどー。おとんのこれを用いた薬は、洞窟の中で使うと大変な事になるんやな。ふむふむ。使う場所も要注意なんやなー」
ミオの言葉を聞いたレミが、何やらメモを取りつつ、俺のアレを回収している。
レミは参加していないから、そこは良いのだが、子供の姿で普通にアレを回収するのは、どうなのだろうか。
いやまぁ、実際アレが薬の材料になっているので、あくまで研究の為なのだろうが。
「と、とりあえず、ここに居るドワーフの女性は全員満足させたはずだ。分身を解除し、終わりにするぞ」
「待つのじゃ、アレックスよ。確かに、ここに居るドワーフの女性は幸せそうに眠っておる。じゃが、先程の我の言葉を忘れたのか?」
「え? ……ま、まさか」
「うむ。そのまさかじゃ。新たにカフェへ十人程ドワーフの女性が入って来たのじゃ。もちろんアレックスのアレの香りに惹かれているようで、真っすぐこっちへ向かっておるのじゃ。さぁアレックスよ。新たな参加者も全員満足させるのじゃ!」
「……俺は早くニナを故郷へ帰してあげたいんだぁぁぁっ!」
カフェの個室でドワーフの女性たちが大量に倒れている訳で、見ようによっては事件のように思われても困るので、結局全員を満足させる事になり……大変な事になってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます