第569話 久しぶりの地下洞窟
皆の準備が出来たので、ユーディットが居た西の宿を出て、この魔族領へ来てすぐの頃にニナが掘ってくれたトンネルへ向かう事に。
だが、いざ出発……と言った矢先に、大きな問題が。
「……ズボンが履けないんだが」
「ご主人様。では、せっかくなので拙者の中に……」
「いや、さっきまで何度もしていたし、ツバキやナズナに迷惑が掛かるのではないのか?」
「大丈夫です! さぁご主人様。拙者を抱きかかえながら進み……おごぉっ! ひ、久々の身体にこれは……し、刺激が強すぎます~~~~っ!」
サクラを抱きかかえて数歩進んだら、ピクピクと体が震え始めた。
これはマズい。
サクラにはソフィたちを守ってもらわなければならないし、これは止めよう。
だが、ズボンを履けばびしょ濡れになるし、その辺に撒き散らしながらというのも……困った。
皆に止めるように言っても、聞いてくれないだろうしな。
「パパー。私が飲んであげるー!」
「お父さん。私も私もー!」
エリーとステラの人形たちが無邪気に触ろうとしてくるが、それはダメだ。
仕方がない。
ズボンは後でよく洗えば良いだろう。
「マスター。私が適任かと。というか、常に魔力が補給され続けるので、攻撃し放題になるかと」
「いや、ソフィが地下で全力の攻撃を放ったら、崩落するからやめてくれ。とはいえ、ソフィが適任なのも事実だな」
ソフィーは小柄だし、自動モードで一晩中アレを入れっぱなしでも大丈夫だったりするしな。
「では、失礼いたします」
「ん? 向きはそっちで良いのか?」
「はい。マスターの方を向いていると、有事の際に攻撃出来ませんし……あ、申し訳ないのですが、私の太腿を持ち上げて支えてくださると助かります」
ソフィのリクエストに従い、後ろから膝の裏辺りを抱きかかえるようにして……これ、前から見たら凄い事になっていないか?
幸いソフィがスカートだから、見えていないとは思うが……とりあえず先を急ぐか。
「……っ!」
「そ、ソフィ殿……大丈夫なのか? 拙者は、三歩で気を失いかけた。無理はしないように……」
「も、問題ありません。マスター! さぁ、早く参りましょう!」
戦闘を俺とソフィ。次いでエリーとステラの人形。最後尾を、膝をガクガクさせているサクラ……って、サクラは本当に大丈夫なのか!?
「……≪ミドル・ヒール≫」
「も、申し訳ありません、ご主人様。ソフィ殿、回復したので交代しよう」
「大丈夫です。私がマスターのを全て受け止めますから」
治癒魔法でサクラが復活したので、そのまま地下洞窟へ。
久々に降りて来たなと思っていると、元気になったサクラが颯爽と先頭を歩いて行く。
「ご主人様、こちらです」
「凄いな。一度行っただけなのに、道を覚えているのか?」
「当然です。シノビに記憶力は必須ですから」
所々で現れるサソリをサクラが倒しながら、依頼の証拠を残さぬように依頼の手紙は即座に燃やさなければならないとか、連絡相手との暗号を間違えたら死に繋がるとか、中々壮絶なシノビの逸話を教えてくれる。
サクラやツバキたちは、そんな生活を幼少の頃からしているのだとか。
だがその一方で、ナズナは幼い頃から胸が大きかったため、師匠と呼ばれる人が、寝技や搦め手の修行に力を入れていた……と、そんな話をしているうちに、シェイリーの社を通り過ぎ、地上の水源となっている地底湖へ到着した。
「皆、休憩などは大丈夫だろうか」
「私は大丈夫ですが、ソフィ殿が……そろそろ交代した方が良いのでは?」
「……そ、そうですね。ここは魔物の気配がありませんし、少し休憩……はぅ」
ここまで魔物は全てサクラが倒してくれたが、それなりの距離を歩いたからか、ソフィが肩で息をしている。
サクラを同じ状態にする訳にもいかないし、この地下には魔物しかいないし、もうアレを撒き散らしながら進んで行っても良いのではないだろうか。
割と本気でそんな事を考えていたのだが、
「だ、ダメです! 勿体無いです! ここからも私がマスターのをいただきます」
「それより、私たちが飲むのが一番良いと思うんだけどなー。私たち、とっても元気だよー?」
「ご主人様。やはりここは私が! 主に仕えるシノビとして、こちらのお世話も任務のうちです!」
再びアレの取り合いに。
こういう時に結衣が居てくれると助かるのだが、あくまで結衣は俺の本体の影にしか居ないらしく、出て来てくれない。
という訳で、休憩もしたし、再びソフィを抱きかかえて進んで行く事になった。
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