第568話 久々の召集
ビビアナが妊娠しているので、熊耳族の少女たちもビビアナの傍に居たいと言い、それを了承した。……したのだが、
「何故、熊耳族の全員で分身たちと、そういう事に参加するんだ?」
「ビビアナ様のお世話をいたしますが、それはそれ、これはこれです。アレックス様にお会い出来たのは久しぶりなんです! この機会を絶対に逃しません!」
物凄く強い意志で分身の上に。
その……うん。何だかすまない。
熊耳族の少女たちに近接戦闘職の者が居たのだが、本人に断られてしまったし、誰に同行してもらおうか。
「旦那様。サクラはいかがでしょうか。遠く離れている場所に居ると言っても、シェイリーさんの魔法陣で戻って来られるのかと」
「なるほど。メイリンの言う通りだな。港町クワラドの屋敷に居るサクラへ、一旦戻るように伝えて欲しい」
「畏まりました……今すぐに行くと申しております」
メイリンから報告を受け、サクラなら何も問題無いと安堵する。
後はソフィと一緒に地下へ降りるだけ……と思った所で、早速サクラが現れた。
「流石はサクラだな。メチャクチャ早……」
「ご主人様……御免!」
「えっ!? サク……ラ!?」
出会い頭に突然サクラが高く跳ぶ。
まさか、ラヴィニアのように誰かから操られているのか!?
飛び蹴りが来ると思って構えていると、空中でサクラが……全裸になっていた。
そのまま真っ直ぐに俺のアレに着地……これは着地というのか?
「ご主人様ぁぁぁっ! どれだけ……どれだけこの時を待ち侘びたか! 放置が……放置が過ぎるでごさるーっ!」
「わ、悪かった。悪かったから、今回の任務について説明を……」
「ダメです! 我慢出来ませ……~~~~っ! ま、まだまだっ! あと、五回はお願いしますっ!」
「わかった。とりあえず、話を……」
「そうだ! ツバキとナズナにもご主人様の感覚を分けてあげないと! ……≪感覚同期≫!」
えっと、ツバキはリザードマンのところで任務中で、ナズナもシーナ国で活動中だというのに、そのスキルを発動させて大丈夫なのだろうか。
「あれ? サクラ。感覚同期スキルって、対象はツバキだじゃなかったのか?」
「ご主人様。ナズナもシノビで、私の妹です。ちゃんと感覚同期を使用可能にしておきました」
「そうなのか。ただ、その……どういう状況か分からない訳だし、程々に……」
「そんなの無理に決まっております! ご主人様が北の大陸へ発たれてから、何日経ったかお分かりですか? 何と十日ですよ!? 十日もお預けだなんて……そんなの無理に決まっています~~~~っ!」
サクラの勢いが止まらない。
普段なら、三回目辺りで一旦休憩を挟むはずなのだが、延々と動き続ける。
だが、サクラが泣きそうになっているので、好きにさせる事に。
とはいえ、念の為確認はしておくが。
「サクラの気持ちはよく分かった。ツバキはリザードマンの村だから、周囲から変に思われるかもしれないが、魔物が現れたり……と、感覚同期を使っていても危険な事にはならないだろう。だがナズナは大丈夫なのか?」
「もちろんです。我々三姉妹は、シノビ独自の手段で連絡を取り合う事が出来ます。流石にツバキとは無理ですが、街に居るナズナとは手紙のやりとりが出来ますので」
「そうか。ナズナは今は何を?」
「はい。母と共にシーナ国各地の情報収集をしておりますので、最悪母がフォローしてくれるので、何とでも~~~~っ! な、なるはずです」
「ん? 母といえば、カスミだよな? カスミは感覚同期を使っていないのか?」
「……あ。一緒に居るナズナが、今の私と同じ感覚になっていれば、当然母が気付く訳で、私と同じく長らくご主人様に触れられていない母は……ご、ご主人様! に、任務を! は、早く出発致しましょう!」
サクラが満足したからか、それともカスミだけ仲間外れになっている事に気付いたからか、もの凄い早さで身支度を終える。
いや、そんなにビクビクしなくてもカスミは怒ら……いや、こういう事には怒りそうだな。
しかも、物凄く。俺もカスミが本気で怒ったら勝てる気がしないのだが。
「そ、ソフィ。出発だ! 急ぐぞ」
「マスター。私はいつでも出発可能な状態で、マスターとサクラさん待ちだったのですが」
「はっはっは。ソフィ殿も久しぶりに会う気がするな。さて、早速行こうではないか」
若干顔が引きつっているサクラに、ソフィとエリーの人形と、ステラの人形……そして、俺の分身とで久々に地下洞窟へと出発した。
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