第146話 お祭り

「精力剤を飲んだ俺が、全員気絶するまで激しく獣のように突きまくる祭だと!? な、何の話なんだ!?」

「アレックス様が禁止していた精力剤の製造を許可されたとかで、リディア殿とレイ殿が大張り切りされていますが」


 家に戻り、皆がそれぞれの作業へ移ったところで、サクラが今日の祭の内容を教えてくれたのだが……おかしい。

 どうしてこうなったのか、意味が分からないんだが。


「昨日の入浴中にしていないので、その埋め合わせと認識されているかと。というか、少なくとも拙者はそう認識しておりましたが」

「突っ込み所があり過ぎるんだが、とりあえず中止というか、勘違いだと伝えてこないと」

「アレックス様。突っ込まれるなら、ぜひ拙者に……いえ、何でもありません」


 短いスカートを捲り上げたサクラにジト目を向けていたら、恥ずかしくなったらしく、とりあえず無かった事に。


「こほん。あー……昨日の埋め合わせって言うけど、そもそも毎日する必要あるのか?」

「あります! アレックス様はメイリン様と共に黒髪の一族の国を復興いただかねば。その為に、子供を作っていただく事は、非常に重要です」

「子供は沢山居るんだが」

「メイリン様がお腹を痛めて産んだ御子をお願い致します」


 いやまぁ、復興は手伝うのだが、それは必須なのだろうか?

 ……必須なんだろうな。


「なるほど。つまり、メイリンとだけすれば良いという事か」

「そ、それは酷いです。アレックス様のアレを身体が知ってしまっているのに、今更お預けなんて……泣きますよっ!?」

「……と、とりあえず、精力剤の件は誤解なんだ。アレは別の用途で……」

「別の用途? 一体何に使われるのですか?」

「俺がゆっくり眠れるように……いや、この話はどうでも良くて、とにかく止めないと面倒な事になる! サクラ、皆に伝達を頼めるか?」


 俺も皆に言って回るが、シノビのサクラの方が圧倒的に足が速い。

 そう思って依頼したのだが、


「アレックス様、それはご勘弁を。例えば拙者がエリー殿に伝えた場合……間違いなく怒りだして、攻撃魔法の雨が降ります」


 想定外の理由で断られてしまった。


「いや、流石にそんな事は無いと思うんだが」

「他にもフィーネ殿とモニカ殿は、今宵の祭に向けて凄い事をすると言い、何やら頑張られております」

「あー、詳しい事は知らないが、何かしようとしているのは知っている」

「他にもノーラ殿は、歌を披露すると仰り、こっそり練習されているというのに、それを止めると言うのですかっ!?」


 うん。ノーラは凄く健全で、可愛くて良かった。

 そういう娯楽的に楽しむ為の祭なら、時々開いても良いと思うのだが。


「……って、ノーラやユーディットにも、その祭の内容が伝わっているのか!?」

「いえ。拙者の故郷の神様、アタツ神の聖誕祭という事にしております」

「それは助かる。……ちなみに、アタツ神って何の神なんだ?」

「出産の女神です。何と、一発で懐妊された、羨ましい女神様で、安産のご利益も有り、拙者の国では女性に大人気です」


 その女神様が悪い訳ではないのだが、他の神様ではダメだったのだろうか。

 とりあえず、同じ家の中に居るはずのレイの所へ。

 レイが使っている部屋を開けると、変な煙が出てきて、中にはハンカチで口や鼻を覆ったレイ……とリディアも居た。


「レイ……って、リディアも居るのか」

「アレックスはん! いやん、せっかちやなー。今、リディアはんに協力してもろて、めっちゃ強力な精力剤を作ってる所やから、もーちょっと待っててなー」

「いや、違うんだ。精力剤と言っても、俺が作ってもらおうとしたのは……って、おい。何だか身体が変なんだけど、この煙って……」

「あ。いやー、やってもたなー。この煙でもそれなりの効果があるから、ウチやリディアはんはハンカチと風の結界で防いでてんけど……思いっきり吸ってもーたやんな? まぁここを見れば、一目瞭然やねんけど」


 おい、待て。

 俺はレイから貰ったスキルで、薬の効果が増加するんだぞ?

 というか、延々と煙が出ているし、この部屋から出ないとマズい事に……って、誰かに腕を掴まれた?


「え? サクラ? ……って、何だか俺を見る目が妖しくないか? って、分身して何を……待った! 今の俺がそんな事をされたら……」

「アレックスさん。もう、夜まで待たなくても良いですよね?」

「あ、そういう事ならうちも」


 どうしてリディアとレイは服を脱ぎ始めて……あ、サクラ! ……も、もう知らないぞっ!? 歯止めが効かないからなっ!?

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