第268話 ケルベロスから得たスキル

「ごちそうさまでした」

「アレックスさん。いかがでしたか?」

「流石、リディアだな。とても美味しかったよ」


 午後。

 昼食とは別で、リディアが作ってくれたケルベロス料理をいただき、無事に身体が光った。

 ステータスが上がったのか、スキルが増えたのか分からないが、助けた女性の一人にキスされて身体が光った事もあるので、シェイリーの所へ行く事に。


「……って、どうしてサクラ母娘が全員ついて来るんだ?」

「先程、リディア殿が出した料理で身体が光っておりましたので。きっとシェイリー殿の所へ行く……つまり、そういう事をされるのだろうと思いまして」

「それにー、そろそろナズナちゃんも、お兄さんのアレを経験しておいた方が良いかなーと思ってねー」


 サクラとカスミの言葉で、ついて来ていたナズナが恥ずかしそうに顔を赤らめ、俯いてしまう。

 いや、そういうのは本人の気持ちとかもあるし、無理にさせない方が良いと思うのだが。


「うぅ……は、恥ずかしいけど頑張ります」

「ナズナちゃん、頑張って! お父さんのは本当に凄いんだよー! あんな太くて大きくて硬くて、その上何度も出せるのなんて、まず無いからねー」

「そうなんよ。アレックス以外のは知らないけど、普通はあんなに何度も出せるものではないって聞いているんよ。早くアレックスの子供を授りたいんよ」


 いつの間にかナズナとツバキの横にヴァレーリエも居て……


「って、待った。ツバキかと思ったら、カスミの人形か」

「はーい! お父さんと愛し合いに来たよー!」


 いや、その言い方は物凄く危ない気がするんだが。

 ……いや、今更かもしれないけどさ。


「そうだ、お父さん。カスミお母さんから名前を付けてもらったから、これからはイチゴって呼んでねー」

「イチゴ? それは構わないが……カスミ。随分と元の名前から離れたんだな」

「えっとねー、きっとメイリン様のスキルで沢山増えていくでしょー? だから、分かりやすいように、イチゴ……一号にしたのー。次の子が出来たら、ニゴ、サンゴ……みたいにしようかなーって」


 いや一号、二号って、イチゴやサンゴは可愛い名前な気もするが、ニゴやヨンゴは可哀想だろ。

 まぁ俺の人形も多過ぎて、途中から名前が……うん。人の事に口出し出来るような状態じゃなかったな。


「旦那様。早く参りましょう」

「そうですよ、ご主人様。今日は、とっておきを披露するのですから」


 メイリンと、何か企んでいそうなモニカに催促され、いつの間にかリディアやレイに、ミオやボルシチも混ざってシェイリーの所へ。


「ほほう。新しいスキルを得たかもしれないと……うむ。確かに二つ増えているな」

「どういうスキルなんだ?」

「ふふ……一つは絵描きスキルだな。絵が上手く描けるようだ」

「……な、なるほど。あの助けた女性のスキルか」


 まぁ戦闘職って感じではなかったし、ケルベロスから得られるスキルが、絵に関するとは思えないしな。

 これはこれで、何かに役立つ……かもしれない。


「それで、もう一つのスキルは?」

「はっはっは。それを知りたければ、我を満足させてもらおうか。何やら、南の方の街まで出向き、新たな女を捕まえているようだしな」


 いや、女性を捕まえに行った訳ではないのだが……いずれにせよ、このままだとシェイリーはスキルについて教えてくれないだろう。

 あと、後ろに居る女性陣が早く早くと期待を……こほん。

 とりあえず、分身スキルを使い……あれ? 何だ? いつもと感覚が少し違うぞ?


「アレックス様! 流石です! まさか分身スキルで、そのような事が出来るようになるとは。私も、もっと修行しなければ」

「あらあらー、サクラちゃん。まだまだねー、お母さんは本気を出せば、あれくらい出来るわよー?」

「母上……流石ですね。私やナズナには、まだ到達出来ない領域です」


 サクラやカスミに、ツバキのシノビチームがざわつきだし、一体何が起こっているのかと思っていたのだが、


「流石、アレックスなんよ。私に沢山種付けする為に、分身の数を増やすなんて」


 ヴァレーリエの言葉で状況を理解する。


「……あ。確かに分身が二体になって、俺を入れて三人……って、ケルベロスの肉か」

「アレックスさん。アレックスさん本人を含めた三人が、影分身で倍になって、合計六人ですね。これで、一人当たりの時間と回数が増えますね」


 リディアが嬉しそうだが……六人と同時にって、俺の頭がパンクしないだろうか。

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