第312話 海に行きたいモニカ
「あなた……私、元気な子を生むわね」
「我もアレックスの子を生むのじゃ」
「アレックス様。もう一回……普通にしていただけませんか? 水中だといつもの激しさが……いえ、沢山注いでいただいたので、それは嬉しいのですが」
ラヴィニアとミオが笑顔で抱きついてきて、ツバキが微妙な表情で……って、そもそもこういう事をしに来たんじゃないんだ。
「ラヴィニア。もう関係を持ってしまったので妻とするが……水中から出られるのか?」
「短時間なら。呼吸は問題無いのですが、ヒレが乾いてしまうと良くなくて。……次は陸地で子作りかしら? あなたが望むのなら、私は幾らでも良いわよ」
「そういう事ではなくて、この湖はリザードマンたちが生活の為に魚を採っている場所なんだ。俺たちが暮らしている場所には、湖が無くて、どうしたものかと思ってな」
「んー、例えば大きな桶に水を入れてもらって……っていうのでも、大丈夫といえば大丈夫よ。水から出ると殆ど移動が出来ないけど、それでも私はあなたの側に居たい……」
そう言って、ラヴィニアが再び抱きついてきた。
一先ず、皆に相談する為、近くで待機していた……というか、色々覗いていたサクラの人形を介して事情を説明すると、近くに居た第二班のリディアやモニカに、ソフィと熊耳族の少女たちがやって来た。
「アレックスさん。まさか人魚族とまで……」
「ご主人様。私も水中プレイというのを……え? オススメ出来ない? ツバキ殿、自分だけ楽しんでおいて……違う? んん?」
「マスター。純粋に好奇心なのですが、人魚族とはどうやって……なるほど。後ろから……前に魔導列車の中でしていただいた感じですね」
あの、皆……そういう話よりも、ラヴィニアとの生活について相談したいんだが。
「んー、ニナさんや熊耳族の方たちに大きなお風呂を作っていただいて、そこに水を注ぎましょうか?」
「水中の汚れを除去する装置を開発し、そこへ取り付けると良いかもしれませんね」
「風呂はこれまでにも作ってもらったが、ソフィはそんな物まで作れるのか。凄いな」
いや、勿論風呂を作るニナたちも凄いし、水を生み出せるリディアも凄いんだけとな。
「一旦、やや小さめの箱を作ってもらい、シーサーで元兎耳族の村へ運ぶのはいかがでしょうか」
「それならば、先に第二班として行っている道作りを完成させないといけませんね」
「我々としては、一旦壁の上の樹を運んで来て欲しいです。樹の質が全然違って、向こうの樹の方が遥かに作りやすいんです」
ソフィとツバキに熊耳族の少女たちが話をしていると、
「しかし、そもそもマーメイドは海に棲んでいるのではないのだろうか? ならば、海の方へ開拓を進め、海の近くに家を作ってはどうだろうか?」
モニカから割と真っ当な意見が出てきた。
南へ開拓を進めないといけないが、ラヴィニアに環境的なストレスを与えるくらいなら、それもありかもしれない。
とはいえ、早く闇ギルドを壊滅させたい想いもある。
南南東に向かって進むと良いのだろうか?
「海……それは、男女を開放的にする素敵な場所。半裸で居ても、何もおかしくないどころか、服を着ている方がおかしいと言われる素敵な場所。さぁご主人様っ! 海辺に行き、太陽の下で全裸になって愛し合いましょうっ!」
「変態乳女さん。海でも露出はどうかと思いますが」
「ならば、岩場の陰でも可っ! そして、水着が波に流される所までがセットだっ!」
リディアがモニカに冷たい目を向けているが、これは仕方がないだろう。
というか、モニカの発言に感心した俺の気持ちを返してくれ。
「あなた。こちらの変態……こほん。開放的になるのは構わないのですが、水着を流されると海が汚れるので、出来れば……」
「いや、大丈夫だ。しない……というか、させないから。それよりラヴィニアは、海辺に家を作って、そっちに住むというのは……」
「私はあなたから離れたくないんです。ですから海辺とは言わず、普段お過ごしになられている場所へ住まわせてくださると嬉しいです」
一先ず、ラヴィニアからも海辺でなくて良いとの話があったので、元兎耳族の村への道作りを急ぐ事に。
ちなみに俺とソフィは、熊耳族の少女たちから、ラヴィニアを運ぶ大きな桶を作る為の樹が欲しいと言われ、シーサーを連れて魔族領へ戻る事になってしまった。
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