第856話 隠れるザガリー
「あの男を殺して、ダークエルフの女を生捕りにしろ! 召喚魔法について吐かせるぞ!」
フョークラを守る為、押し寄せてくる騎士たちを前に、盾を構える。
全員押し返してやろうと思ったのだが、俺の許へ来る前に、圧倒的な力で吹き飛んでいった。
「オティーリエか。殺さない程度に頼む」
「アレックスの事だから、そう言うと思って手加減はしているよ。一応ね」
「すまないな」
それから、周囲にいる騎士たちが順番に吹き飛ばされていく。
……まぁ俺の力は攻撃よりも防御の為にあるからな。
オティーリエに任せておくか。
その一方で、最初に吹き飛ばされた騎士のところへフョークラが近付いていく。
何をする気かはわからないが、万が一に備えてマリーナとミオと共に傍へ行くと……何か飲ませた?
「フョークラ。今のは?」
「これ? 前にも使った、素直になる薬だよー。あと、気絶してるから、気付け薬もー」
少しすると、フョークラの言葉を肯定するかのように、男性騎士が目を覚ます。
「い、一体何が……」
「おじさん。ザガリーって人の所へ案内してー」
「え? ……いや、すまないが、ザガリー卿の護衛は第四騎士団が担当しており、我ら第二騎士団は元より、誰も知らぬのだ」
「どうして? 王女様と結婚する人なんでしょ?」
「だからこそだ。メリナ商会のトップという事で、商売敵から嫉妬されているのだろう。昨晩、メリナ商会の本部に何者かの襲撃があったとも聞くし、式が始まるまでは第四騎士団が専任で護る事になっている」
昨日、オティーリエたちがドワーフたちを助けてくれたのが仇になってしまったか。
ザガリーが警備を強化しているようだ。
「じゃあ、結婚するデイジー王女はどこにいるの?」
「デイジー様は浄めの間だと思うが……ワシは案内出来ぬ。場所は知っておるが、昨晩女性騎士が数名行方不明になっている。デイジー王女を狙う何者かの罠とみられ、今日は近衛騎士以外が近付けば、それだけで投獄される事になっている」
女性騎士が行方不明か……そんな事があったのか。
……あれ? そういえば、今朝女性騎士が何人か居たような……昨日、俺が魅了スキルが発動している事に気付かず、歩き回ったせいか!
ひとまず、この騎士に式が始まる時間や場所、式が始まるまでに何が行われるのかを聞いたのだが、基本的に王族側……デイジー王女が様々な儀式を行っており、ザガリーは式まで何もしていなさそうだ。
これは、式が始まる前にザガリーを何とかするというのは難しいかもしれないな。
「アレックス。私だけなら、その王女のところへ行けるし、様子を見ておこうか?」
「そう……だな。もしもザガリーが現れ、変な事をしようとしていたら、止めておいてくれ。とはいえ、今の話を聞く限りでは、直前まで隠れていそうだが」
「かもしれないね。まぁ念のためって事で、浄めの間っていうところへ行ってくるよ」
騎士に浄めの間への行き方を聞くと、ミオからオティーリエが離れた事を知らされる。
姿が見えないというのは、便利でもあるが……やはりちょっと困るな。
「しかし、どうしたものか……」
「ねーねー、アレックスー。その辺にいっぱい騎士が倒れてるし、その中の一人になっちゃえばー?」
「ん? マリーナ。どういう事だ?」
「例えば、あの人……すっごく大きい鎧を着てるでしょ? あの人の鎧を貰って、アレックスが着れば良いんだよー!」
「なるほど。騎士に扮して、警備として紛れ込むのか。だが、それならもっと俺の身体にあった鎧の者も居るんだが」
「ピッタリの鎧を着ちゃうと、マリが中に入れないよー! マリはアレックスから離れないからねー!」
そう言って、改めてマリーナがギュッと抱きついてくる。
騎士に扮するのは良いアイディアだと思うのだが、大きな鎧の中に二人入るのは無謀だと思うのだが。
「ふむ。それは良い考えなのじゃ。我も入れる鎧の大きさにするのじゃ」
「……二人も入ったら、暑さで大変な事にならないか?」
「我は熱さに強いから気にするでない。それに、熱と汗でムレムレのムラムラ……こほん。何かあった時に、我らが近くに居る方が何かと良いであろう」
俺は炎無効化スキルで熱にも強いから問題ないが……本当に大丈夫なのか?
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