第74話 怒るエリーと察したリディアたち

「では、お主はアレスリー。こっちはアレフォ。こちらはリディで、そっちはニアとする」


 ……メイリンは名前を付けるのが大変になったのだろうか。

 リディアの人形リディと、ニナの人形ニアはまだしも、俺の三体目の人形アレスリーと四体目の人形アレフォという名前はどうなのだろうか。

 まぁ分かり易いと言えば分かり易いが。

 ただ、今生み出されたばかりのアレスリーとアレフォが、すぐさま全裸のリディとニアの身体をチラチラと見ている。

 それぞれの年齢からすると、リディアは人間換算で十六歳と言っていたから、子供姿は八歳くらいで、ニナの子供姿は七歳か。

 どちらも、モニカよりも幼いし、変な目で見ないように。

 あと、アレスもな。お前にはモニーが居るだろ?


「アレスリーはリディを。アレフォはニアを守るように。あと、服も作る事」


 メイリンの指示により、一先ず新たに生まれた四人が、小屋へと向かって行った。


「しかし、聖水を作れるのはモニカ殿だけだと思っていたのだが、リディア殿とニナ殿も作る事が出来たのだな」

「げ、厳密に言うと聖水ではないのだが……いや、何でもない」


 メイリンにスキルを使ってもらうために聖水と言ったが、予想通り聖水ではなく、愛え……げふんげふん。

 子種と対を成す? アレで作れるという事が分かってしまったな。

 まぁそれはさておき、まだまだ木材が足りないので、今度は真面目に木を伐採していき、木材を増やしていく。

 途中からは、リディアにノーラの手伝いへ回ってもらい……日が暮れる頃には、小屋よりも更に小さな家が二つ完成し、木材も十分な量が確保できた。

 一先ず、一軒目の家に一組目のアレスとモニーを。二軒目の家に二組目のアレクとモカを。

 三組目のアレスリーとリディ、四組目のアレフォとニアは、小屋を使ってもらう事にした。

 ちなみに、三組目と四組目は、アレスたちと違ってアレはしていないようなので、アレな事になっていたのは、やはりモニカが幼い頃から、性に興味を持っていた事が原因……という事にしておこう。

 ……逆に言うと、三組目と四組目がそういう事をし始めたら、俺が原因という事になるので、口には出さないでおくが。

 ノーラに作ってもらった家を小屋の傍から眺めて居ると、


「ただいまー……って、あれ? あんな所に小屋が……どうしたの?」


 地下洞窟から、エリーとモニカが、ウサギや鉄を持ち帰って来てくれた。


「エリー、モニカ、おかえり。えっと、昼間にメイリンの人形たちが、その……あんな事をしていただろ? だから、住む家を分けてあげようと思ってな」

「二軒あるって事は、今はこの小屋は無人なのね……あ、あれ!? ちょ、ちょっと待って! 中に、リディアさんとニナちゃんを更に幼くした人形が居るんだけど! それに、アレックスの人形が二人も。……どういう事なのっ!?」

「え、えーっと……せ、聖水。リディアとニナも聖水が作れるみたいなんだ。び、ビックリだよな」

「…………ふーん。へぇー、そうなんだ。じゃあ、次は私の聖水も作ってもらうからね?」


 エリーがかつてないくらいに、物凄いジト目だ。

 いや、違うな。顔には出して居ないけど、長い付き合いだから分かる。

 エリーがメチャクチャ怒っていると。

 前にエリーから得られたスキルが「怒り」に関するスキルだったからか、必死で怒っていないと装っているが……これはヤバい。

 というか、いつの間にか背後に虎が見えているんだが。


「じゃ、じゃあ、私たちは先に戻って夕食の準備をしていますね。乳女さんも、巻き込まれる前に……こほん。とにかく早く行きましょう」

「ノーラ。一緒に家へ戻ろう。お兄さん……は、ちょっとエリーとお話があるんだって」


 リディアとニナはスッキリしているからか、それとも今のエリーが物凄く恐ろしいからか、逃げるようにして去って行ってしまった。

 小屋の前に残されたのは、俺とエリーの二人だけ。


「アレックス。リディアさんと、ニナちゃんとエッチしたのね?」

「し、していないっ! いや、本当だ。俺がしたのは、その……指で……」


 人形たちの様子を見て、火が付いてしまったリディアを治める為に協力した事と、その様子を見たニナにも同じ事をした事を告げると、


「じゃあ、当然私にもしてくれるわよね? 私だって、アレックスの恋人なんだから」

「えーっと、今からか?」

「当然でしょ」

「ど、どこで?」

「この小屋の中で良いでしょ。居るのは、小さな子供たちなんだから、何をしているかは分からないわよ」


 エリーに腕を引っ張られ、小屋の中へと連れ込まれる。

 そこでは、四人の人形たちが真面目にウサギの毛皮で服を作っているのだが、


「さぁアレックス。私にもしてっ!」

「いや、どうして服を脱ぐんだよっ!」


 周囲の人形たちを完全に無視して、エリーがベッドの上で服を脱ぎだした。

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