第73話 次々に生み出される人形たち

 一先ずメイリンが一喝し、アレクとモカの二組目の人形たちが、ぐったりと動かなくなる。

 改めて服を作るように指示していたし、暫くすれば一組目のアレスとモニーのように、作業へ加わってくれるだろう。


「ところで、モニーは料理を作れたりするのか?」

「私? ……いや、無理だ。作った事はないな」

「そうか。モニカは家にメイドが居るって言っていたしな。自分で料理をする事はなかったんだろう。まぁいずれにしても、水が無いから食事はリディアにお願いする事になるか」


 食事の事を考えると、人形たちの家を建てる場所を、もっと南にすべきかと気付いた所で、


「水なら出せる。……≪ウォーター・ガン≫」


 モニーが水を射出する魔法を使って見せた。

 なるほど。エリーの水魔法は、高位のウォーター・カッター――水の刃だが、モニカは中位の魔法までしか使えないから、それより威力の劣る魔法だ。

 これなら、ニナに鉄の水瓶を作って貰い、そこへ水魔法を放てば、飲料水も確保出来るのか。

 魔族領へ来たばかりの頃とは違い、今ならシェイリーのおかげで薪も手に入るし、モニカは火の魔法も使えるから、人形たちでお風呂に水を入れたり、料理も出来るな。

 ただ、料理のやり方は教えないといけないが。


「分かった。メイリン……人形たちには、土の精霊魔法で作物を育てる事と、収穫を頼みたい。その報酬……という訳でもないが、ノーラに家を用意してもらうし、そこの風呂も使ってもらって構わない」

「……育てた作物の一部を、人形たちの食料としても良いのか?」

「もちろんだ。あと、服以外で必要な物があれば、ニナやノーラに相談して作って貰おう」

「わかった。妾も、自分の子と言っても過言ではない人形たちに、ちゃんとした生活をさせてもらえるのはありがたい。では、そのようにさせてもらおう」


 一先ず、新たに東エリアを拡張した所で、アレスはメイリンと共に作物の収穫を。

 モニーはリディアから料理を教わり、ノーラとフィーネは人形たちの家で必要になりそうな、小物作りを。

 俺とニナは北の森へ行って木材の準備を……と役割を決め、家で待機してもらっているノーラたちを呼びに行く事にした。

 した……のだが、今回もリディアが俺と共に森へ行くと言い張る。

 どうしたものかと思っていると、


「アレックス様。お料理なら、フィーネも出来ますよー! だから、フィーネがモニーちゃんのお料理の先生をしまーす!」

「そうか。なら、すまないが頼むよ」

「はーい!」


 フィーネがそう言ってくれたので、一部役割を変える事にした。

 それから、俺とニナとリディアで森へ行き、先ずは大きな木を一本切り倒し、東エリアへ運ぶ。

 ニナがノーラを呼びに行ってくれたので、俺は一足先に森へ戻ると、


「ふふっ……アレックスさん。もう、良いですよね?」

「な、何がだ? どうしたんだ、リディア!?」

「アレックスさんとモニカさんの人形がしていた事……もう、私も我慢出来ませんっ!」

「えっ!? リディアっ!? ま、待った! そういう事は、もっと真剣に考えてだな……」

「大丈夫ですっ! 私は、アレックスさんと生涯を共に過ごしますから。どうか私にも、アレックスさんのを……」

「い、いや……でも、も、森の中だぞ!?」

「エルフは森で生きる種族です。初めてが森の中でも気にしません」


 リディアが抱きついてきて、激しくキスされてしまう。

 その間に、リディアの細い指が下に伸びていて……


「ま、待った。そ、そのうちニナが戻って来るぞ」

「そ、それは……で、でも、私の身体は既にアレックスさんを求めてしまっているんですっ!」


 リディアが物凄く切ない表情で訴えて来た。

 さっきからリディアの様子がおかしいのは、そういう事だったのか。

 つまり、一度火が付くと、俺のアレが大変な事になっているのと同様に、リディアも大変な事になっているという事。

 とはいえ、そんな勢いでしてしまって良い事ではないというのは分かっている。


「わ、分かった。いつも俺はリディアたちに治めてもらっているからな。だったら、今回は俺がリディアを治められるように頑張るよ」

「えっ!? アレックスさ……んっ!? し、下着の上から指で……ちょ、直接でも良いんですよ?」

「いや、そこまでしてしまうと、今度は俺が治まらなくなるから……り、リディアっ!?」


 抱きついてくるリディアのを指で頑張っていると、結局リディアも俺のを触ってきて……お互いがお互いのを触り合う事になった所で、


「お兄さんもリディアも、何を……に、ニナもっ! お兄さん、ニナも同じ事をして欲しいっ!」


 ニナが戻って来た。

 その結果、右手にリディア、左手にニナが抱きついた状態で、三人で触り合いになり……最終的に二人掛かりで俺のを治めてもらう事になってしまった。

 一本目よりもかなり時間が掛かって二本目の木を運んで行くと、


「……あれ? リディアお姉ちゃんもニナちゃんも、すっごく肌がツヤツヤしてる気がする。あと、いつもの変な匂いもするけど、何かあったの?」


 秒でノーラにバレたが、リディアがニナに話さないで欲しいと頼み込んだからか、誤魔化す事に。

 それから、メイリンたちが居る畑に移動し、


「メイリン。ちょっと色々あって、ちょっと違う聖水を手に入れたから、これで人形が作れるか試してくれないか?」

「違う聖水? よく分からないが、やってみよう……む。出来たぞ」

「そうか。やはり出来るんだな。あと、子種もあるから、こっちでも頼む」


 リディアとニナのびしょ濡れになったパンツを、それぞれ木のカップへ絞って採取した液体をダメ元でメイリンに渡すと、二人の人形が生成出来てしまった。

 という訳で、新たに三組目――俺とリディアの人形と、四組目――俺とニナの人形が生み出された。

 ……ノーラに謝って、家を更に二つ増やしてもらおうか。

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