第275話 二人の娘!?

 ブリジットを含めた熊耳族が、ビビアナと共に帰国した翌日。

 レイが作った新しい薬を鑑定してもらう為、ウララドの街へ行こうと、マミとジュリに来てもらった。


「アレックスさん。今日は、アレックスさんの人形さんを連れて行かないんですか?」

「ん? いや、特に連れて行く用件は無かったが、どうかしたのか?」

「いえ、その……も、もう一人くらい男の子が増えても良いなぁーなんて思いまして」


 なるほど。三人居れば、朝昼夜で交代しながら警護が出来るようになるからか。

 とはいえ、基本的に俺の人形は番となるようにメイリンが生み出している。

 俺の人形を連れて行くなら、そのペアとなる人形も連れていってやりたいな。


「メイリン。ウララドの街へ行っても良いというペアは居るだろうか」

「待って! それなら私が行くよー! 私なら戦闘も斥候も、夜のお相手も、何だって出来るよー!」

「ツバキ……じゃなくて、イチゴか。残念ながら、マミたちが運べる樽は小さいからな。イチゴは入れないぞ」

「そっかー、残念。あと、お父さん。私はイチゴじゃなくて、サンゴだからねー。イチゴは育児があるから、他の場所には行かないんじゃないかなー?」

「そうなのか、すまん。……って、増えてる。まぁ昨日の……って、待った。イチゴが育児で忙しいって、子供を産んだのか!?」

「そうだよー! イチゴが子供を産んだのは二日前で、ニゴも今朝に女の子が生まれていたから、こうして私がお父さんの傍に居るんだよー」


 サンゴ曰く、昨日の南東エリアでの熊耳族たちとのアレに、ニゴが参加していたらしく、今朝起きたら娘が居たのだとか。

 ……あれ? じゃあ、人形同士の子供じゃなくて、本当に俺の子供なのか!?

 そういえば、イチゴの事をツバキだと勘違いして、してしまった事もあったが……え? えぇぇぇっ!?


「ちなみに、イチゴとニゴの娘は……」

「イチちゃんと、ニコちゃんって名付けたんだってー。八歳くらいだから、ツバキちゃんの人形さんに似ているよー」

「ほ、他の人形に子供は増えていないのか?」

「うん。イチちゃんとニコちゃんだけだよー」


 前に、人形たちが子供を産んだ時には、一斉に皆が産んでいたのに、今回はアレに参加していたニゴだけ。

 しかも、ツキやレナは毎日俺の人形としていたと言っていたが、子供が生まれたという話は聞かない。

 人形が子供を生む条件は、ハッキリと分からないが、少なくともイチとニコについては、俺との子供だと言えそうだ。


「マミ、ジュリ。すまない。少しだけ待っていてくれ」


 一旦二人を待たせ、大急ぎでイチゴとニゴの元へ向かう事にした。

 ちなみに、メイリン曰くカスミの人形は五人……ヨンゴとゴゴが居るらしい。

 それと、昨日でモニカ、リディア、ツバキ、カスミの人形が四体ずつと、俺の人形が十六体増えており、イチゴとニゴの子供を含め、全員で二百人近く居ると。

 とりあえず、またノーラに頼んで家を作ってもらわないとな。

 そんな事を考えながら、東エリアに移動すると、


「お父さーん! サンゴに聞いたよー! イチとニナに会いに来てくれるって! イチちゃんもニコちゃんも、アレックスお父さんにご挨拶して」


 二人のカスミの人形が、それぞれ女の子を連れて来た。


「おはようございます。イチです。アレックスお父さんのお役に立てるように、頑張りますので、宜しくお願いします!」

「は、初めまして。ニコです。アレックスお父さんの為に、お母さんと修行を頑張ります。えっと、房中術を極めたいです」

「アレックスだ。その……父親と思って接してくれ」


 ツキに似た二人の女の子が挨拶してきたが、イチゴとニゴはそっくりなのに、その娘のイチとニコは微妙に違うんだな。

 改めてメイリンのスキルが不思議というか、凄いと思いつつ、二人に……いや四人に抱きつかれ、ウララドの街へ行ってくると告げ、マミとジュリの所へ。


「アレックスさん。わ、私もアレックスさんの子供が欲しいなー」

「私もアレックスの子供が欲しいポン! 早速作るポン!」


 いや、ジュリもマミも余計な事を言うと……


「アレックスさん!? 今からここでします?」

「お兄さーん! 昨日の続きをするのー? しよしよー!」

「アレックスー! ウチも子供が欲しいんよ! 出来れば男の子だと嬉しいんよ!」


 ほら、リディアやカスミに、ヴァレーリエが迫って来たっ!

 早く出発してくれーっ!

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