第45話 完成した二段ベッドと、固定されてしまった就寝ポジション
「お兄ちゃん。出来たよー!」
「おぉっ! ノーラは凄いな。上は落ちないように、ちゃんと柵もあるし、ハシゴまであるのか」
思っていたよりも早く完成した二段ベッドを眺め、素直に感心する。
俺の実家にあったベッドよりも大きく、しっかりしていると思える造りなので、マットレスさえあれば、売り物に出来るレベルだ。
「うん。お兄ちゃんとニナちゃんが手伝ってくれたおかげだよ」
「そうだな。ニナも、手伝ってくれてありがとうな」
「えへへー。お兄さん、もっと褒めてー!」
ニナのリクエスト通り、褒めながら頭を撫でて居ると、ノーラもして欲しそうな目を向けてきたので、
「ニナもノーラも、ありがとうな」
「どういたしましてー!」
「うんっ! ボク、お兄ちゃんの為にもっと頑張るよっ!」
ニナと同じ様に頭を撫でてあげると、嬉しそうに抱き付いてきた。
ノーラも、一緒に作業をしたからか、ニナには少し慣れたような気もする。とはいえ、未だに俺から離れてはくれないが。
しかし、ベッドをもっと大きくしないといけないと、途中でリディアが言って来た時には少し驚いたが、今になって考えると、女性三人で寝る訳だから、確かに大きいベッドが必要だよな。
とりあえず、下段にリディア、エリー、モニカの三人で、上段に小柄なニナとノーラが寝れば、全員ちゃんと寝られるな。
俺はこれまで通り床で構わないし、毛布も足りるし、大丈夫だろう。
「ただいまー。アレックス、ベッドはどんな感じ? ……って、凄い! もう完成したの!?」
「あぁ、ノーラとニナが頑張ってくれたからな」
「なるほど。このサイズなら、ご主人様を真ん中に、三人が横になれる十分な広さですね。後は、どれだけ激しく動いても大丈夫かが気になりますが」
リディアが昼食を並べていると、丁度良いタイミングでエリーとモニカが帰って来た。
しかし、モニカの言う激しく動くというのは何だ?
そんなに寝相が激しい者が……って、リディアは結構寝相が凄いか。
背中合わせで眠っていたのに、朝起きたら反対側に居たんだから。
まぁ最近はそんな事もないけどさ。
「ちょっと待った。寝相の話はともかく、俺はベッドを使うつもりはないぞ? このベッドは、皆に――女性陣に使ってもらうつもりなんだが」
「えぇっ!? ご主人様……これは一体、何の為のベッドなのですかっ!?」
「え? いや、だから女性陣たちで眠れるようにする為のベッドなんだが」
「それはつまり私たちに、くんずほぐれつな行為をさせ、それを鑑賞して楽しむという、ご主人様の高度なプレイですか!?」
どうしよう。モニカが何を言っているのか、全く理解できない。
ニナとノーラはキョトンとしているし、普段洞窟探索で一緒に行動しているエリーでさえ、困惑している。
「乳女さん。どうしてくれるんですか? この何とも言えない空気を」
「くっ……い、いや。これは、これで良しとしよう。ご主人様が百合に興味が無いと分かったからな」
「――っ! モニカさんが言っていたのは、そういう意味だったのね!? ば……バカなんですかっ!?」
先程のモニカの言葉をエリーが理解したらしく、何やら怒り出した。
リアクションを見る限り、唯一リディアだけは最初から分かっていたようだが、
「とりあえず、モニカの話の意味を説明して欲しいんだが」
「ご主人様。例えば、私とエリー殿が……」
「絶対にイヤっ! というか、そんなの有り得ないわよっ! というか、アレックスもこんな事に興味を持たなくて良いのっ! それよりお昼ご飯にしましょうっ! 私たちは、昼食の為に一旦戻って来たんだからっ!」
エリーに知らなくて良いと押し切られてしまった。
それから、昼食を食べつつ、誰がどこで寝るかという話になったのだが、
「ボク、お兄ちゃんと一緒じゃないと寝れない……」
「ニナも! お兄さんと一緒に寝るっ!」
「ノーラちゃんはともかく、ニナちゃんはちょっと……」
エリーがノーラは俺と一緒に寝て良いが、ニナはダメだと言う。
ノーラが良くて、ニナがダメな理由は何なのか。
とりあえず、ノーラは来たばかりで不安だろうし、俺と一緒が良いというのであれば、それで良いだろう。
慣れるまでという条件付きで、ノーラの意見を優先して、誰が何処で寝るという話を決めていった結果、
「酷い! こんなの横暴ですっ! ご主人様の夜のお相手は、私の仕事なのにっ!」
「アレックスは、まさか本当に小さい方が……で、でもノーラちゃんが慣れるまでだって言っているし。それに、ニナちゃんがアレックスのアレを触らなくなるなら……」
夜になって、上段のベッドからモニカとエリーから不満そうな声? が聞こえてくる。
一方で、
「お兄ちゃん、おやすみ」
「お兄さん、おやすみー!」
「アレックスさん。おやすみなさい」
俺の胸の上にしがみ付いたまま眠る事になったノーラと、左右にいるニナとリディアは、すやすやと眠りに就く。
結局、お風呂を含めてノーラが俺から離れてくれず、作業を一緒にしたニナと、ご飯を作ってくれたリディアは大丈夫という事で、この配置となった。
「うぅ……ご主人様ぁーっ!」
「ノーラちゃんが慣れたら、絶対に場所を変えてもらうんだからっ!」
上で寝る二人が、ずっと何か言っている気がするのだが、リディアが風の精霊の力を使った防音魔法で上段のベッドを覆い……いつの間にか俺も眠ってしまっていた。
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